2009年11月19日 (木)

マスコミの偽善キャンペーン(3)=その後どうなった?<八ツ場ダム中止>への非難は

◇前原誠司国土交通相が群馬県の八ツ場ダム建設中止を表明するや、地元自治体の長ばかりかマスコミ、特にテレビのワイドショーまでがいっしょになり、非難の大合唱ときた。◇おまけに2009.10.19には、6都県(東京・群馬・栃木・茨城・埼玉・千葉)知事の現地視察というミエミエ・パフォーマンスまで挙行され、反<建設中止>包囲網は頂点に達した。

◇石原慎太郎・上田清司・森田健作という受け狙いの面々にあって、それは格好の舞台だったといえるが、残念なこと、国民の反響たるや微々たるものにとどまった。◇これもまた、<政権交代>というパラダイム転換体験のいい影響だろう。◇クサいパフォーマンスへの見極めが身につき始めているのだ。コイズミ劇場や安倍晋三ブームに懲りた分だけ。

◇一方のテレビはといえば現金なもので、その後、米国大統領訪日にからむ普天間飛行場移設問題、民主党政権による<事業仕分け>等が前面に躍り出るや、八ツ場ダム問題など一気に<鎮火>し、口にのぼることすらなくなってしまった。

◇驚くにはあたらない。まさにいつものパターンというやつだから。◇その点で、マスコミ、特にテレビの姿勢は一貫していた。

◇しかし、火が消えた状態にせざるをえなかったのにはもうひとつ理由がある。◇<建設中止>反対キャンペーンを持続させるだけの論理的強さを、彼らテレビ自身が内包していなかったからだ。

◇言ってみれば、<弱者の側に立つ>という偽善的なスタンスだけがテレビのよりどころ。◇<ダム絶対反対>しかし<最後は仕方なく建設を容認した><にもかかわらず今度は一転して建設中止>に。

◇住民の屈折した心情と生活を民主党は分かっているのか!オンリーの情緒的アプローチが、そう長続きするはずもない。◇ある程度の時間が過ぎたらハイさよならの、刹那的無責任<テレビ業界論理>がここでも大手を振っていた。

◇田中康夫長野県知事の時代にはあれだけ脱ダムに入れあげたマスコミや評論家が、今度は一転、中止される側の心情もくみ取れと居丈高に主張する。◇あれだけ公共事業投資を批判してきたマスコミや御用評論家が、いざ削減となれば、景気への影響は大丈夫なのか、二番底・三番底になるぞとエラそうに説教する。

◇盾の両面を行き来することで自身の善玉ぶりをアピールし、視聴者を引きつけようとのあざとさといったら嗤(わら)うしかないが、しかし世の中、相当変わってきているのを彼ら自身いまだ気づいていない。

◇八ツ場ダム中止にしても公共工事削減にしても、テレビが案じるほど国民は否定的にとらえていないのが実態なのだから。◇ゆえに最近のテレビはウケないし、視聴率もパッとしないのである。

◇こんなダメマスコミが多いなか、毎日新聞などは社説で以下のような正論を展開し、面目を保っている。

★★社説:鳩山政権の課題
八ッ場ダム中止 時代錯誤正す「象徴」に
毎日jp.・09.09.23

◇「この間、首都圏の水需要は減少傾向にあり、洪水対策としてのダムの有効性に疑問が示された。しかし、そもそもの目的が疑わしくなり、悪影響が指摘されながら完成した長良川河口堰(ぜき)、諫早湾干拓、岐阜県の徳山ダムを追うように、(八ツ場ダム建設では-筆者註)ダム湖をまたぐ高架道路、移転住民のための用地造成などが進み、ダム本体の着工を残すだけになった。まさに『いったん動き出したら止まらない』大型公共事業の典型である」。

◇「これに対して利水・治水のため建設費を負担してきた1都5県の知事は『何が何でも推進していただきたい』(大澤正明・群馬県知事)などと異論を唱えている」。

◇「(もう既に多くの投資をしてしまっているから-筆者註)単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である」。◇だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直しそこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ

◇「『ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす』という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える」。◇「高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである」。

◇IFSAはかねてより、田中康夫・天野礼子的な脱ダム論(=ダムはムダ。そもそもコンクリートは生理的に嫌い!)を根底から批判してきたくちだが、コトこの八ツ場ダムに関しては絶対反対の立場。◇ハナから<根拠レスのダム計画>があからさまだからだ。

◇これについての詳細は09.09.27の当IFSA通信<マスコミの偽善キャンペーン(1)=<地元無視の八ツ場ダム中止>という情緒的誘導>をまずはご覧いただきたい。◇それからすると、上記毎日新聞の社説にはたったひとつだけ誤りのあることが分かろう。

◇そう、「単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である」のくだりがそれで、これなどまさに「単純に考え」すぎている。◇そもそも、計画通りの金額で収まるなど誰が信じよう。

◇さて、ここのところ鳴りをひそめた八ツ場ダム報道よと思っていたら、ポロポロっと<品木ダム>の件が取り上げられ始めた。

◇品木ダムなど、八ツ場ダム関連を少しでもかじったことのある人間なら知らない者はいないキーポイント。◇にもかかわらず、マスコミは勉強不足で本当に知らなかったのか、それとも政治的意図からカマトトを決めこんでいたのか、火の消えた今ごろになって少しずつ伝えだしている。

★★群馬・品木ダム:「八ッ場」前提、ダムに難題
石こう堆積、処理追いつかず
強酸性の川、中和目的で建設
毎日jp.・09.11.10

◇「草津温泉の硫黄分などで強酸性の河川を中和する過程で生じた石こうを堆積(たいせき)させる目的で、群馬県六合(くに)村の湯川に建設された品木ダムが、満杯になる恐れが出てきた。堆積量がしゅんせつ量を上回り、湖底が水面下5メートルまで迫っている」。

◇「同ダム鳩山政権が建設中止を表明している八ッ場(やんば)ダム計画を進めるため建設されたが、地元関係者は八ッ場の中止表明に続く難題への対応に苦慮している」。◇「苦慮している」って、表ざたになったことを?

◇「品木ダムは65年に完成。中和で生じる石こうと土砂は現在、年間約5.5万立方メートルがダムへ流れ込む。一方、しゅんせつ量は約3万立方メートル。総貯水量166.8万立方メートルに対し、08年度の堆積量は142.1万立方メートルで、85%に達した」。

◇そして、ここでしゅんせつした<一種の産廃>を貯蔵する陸地、それももはや限界といわれる。◇しかもこれらにかかるランニングコストはいったいどれほど?◇そもそも無理筋!のツケがここにも象徴的にあらわれている。

◇と思えば、今度は朝日新聞が・・・・・・・。

★★八ツ場上流、ヒ素検出を公表せず 国交省
asahi.com・09.11.13


◇「八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設予定地の利根川水系の吾妻川とその支流で、国土交通省が少なくとも93年以降、環境基準を超えるヒ素を毎年検出しながら、調査結果を公表していなかったことが朝日新聞社の調べでわかった」。

◇「報告書によると、草津温泉を流れる湯川や、酸性の水質を改善するために設置された品木ダムの放水口、八ツ場ダム建設予定地から約10キロ上流の貝瀬地点では86年度以降、ヒ素濃度が高く、基準が強化された93年度以降は基準を上回っていた」。◇「08年度の平均値は湯川で基準の約100倍、品木ダムの放水口で約10倍、貝瀬地点で5倍を記録した」。

◇「吾妻川の水質は、草津白根山系の硫黄鉱山からしみ出す水や草津温泉からの水が流入して酸性が強い。1952年に計画が浮上した八ツ場ダムも、コンクリートが溶けることを理由に一度は断念された」。◇「だが、63~65年に、強酸性を改善するための中和工場品木ダムが造られ、湯川など上流の三つの川に石灰液を投入して中和化が進められ、八ツ場ダム計画が復活した」。

◇テレビ朝日のワイドショーも早速これを取り上げたが、あれだけ威勢のよかった地元町長などは、国がいいと言っているから大丈夫!の一点張り。◇お~お、お里が知れたというところだろう。

◇ところでこの無理筋・八ツ場ダム問題を知るに格好の出版物がある。◇といっても大部なものではなく、たった70ページ弱の小冊子。◇『八ツ場ダムは止まるか-首都圏最後の巨大ダム計画-』(八ツ場ダムを考える会 編・岩波ブックレット・05.02)がそれで、定価は480円(税別)と安い。

◇このブックレットは、同じ岩波でも天野礼子『ダムと日本』(岩波新書)といったヒステリックといおうか、あるイミ<狂信的>な本とは違い、冷静な記述のオンパレードで何ともすばらしい。

◇八ツ場ダム建設は利水治水の両面からナンセンス、それに予想される浅間山の噴火や予定地の<熱水変質>を受けた地質からしても建設はきわめてリスキー。◇筆者は諄々と説いていく。◇どうか、往復の電車内ででもぜひお読みいただければと思う。

◇6都県知事や情緒に訴えるマスコミは、まずこの本の提示する論点をめぐって<公開討論会>を開く、そこからスタートすべきなのだ。◇政治的ではなく、あくまでも科学的・実証的に。

◇<八ツ場ダムが止まるだけでも政権交代の意義があった>とのIFSAの見方は、あながち暴論でもなかろう。◇わが世代の全共闘風に言えば、<一点突破・全面展開>てな感じで。

◇冗談はともかく、政権交代なかりせば、あの6都県知事たちの妙な<論理>が表街道をずうずうしく闊歩(かっぽ)する。◇その一点だけでも気色悪いではないか。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年10月29日 (木)

IFSA流アーカイブズ=調子のいいヒネリヨイショでその場を取り繕う名人・テリー伊藤

◇ちょっと前、テリー伊藤宮崎哲弥が人気コメンテーターの上位を占めると何かで読み驚いたことがある。◇宮崎なんて、何の実績もないのにいつしかエラそうな顔をし、テレビで政治や経済の講釈をしている。

◇IFSAは7年前に『m2われらの時代に』(宮台真司・宮崎哲弥、朝日新聞社・02.03)を読んで以来、このふたりのmにいだいたブッタマゲッチの感覚が消えたことはない。◇宮崎はもとより、カッコつけの社会学者・宮台の底の浅さに出会えたのは、あるイミ収穫といえたけれど。

◇そんななか、本日はコメンテーターのもう一方の雄?テリー伊藤を取り上げるとしよう。◇本当なら無視すれば済む程度の論者ではあれ、ダントツ人気&マスコミの寵児(ちょうじ)ときてはそうもいくまい。

◇実は当IFSA通信、過去に何度かこのオポチュニストを継続して批判してきた。◇しかし今回は方法を変え、テリー作<ひねったつもりのエッセー>(毎日新聞掲載)よりナマのマテリアルを引っ張り出し、IFSAの批評をほとんど加えることなく読者に呈示していくとしたい。

◇そこで展開されるテリーの得意技をあらかじめ表現すれば、世の中の常識的な論評など笑っちゃうゼ→<オレはそんな偽善を引っぺがし、その後ろに隠れた真実を国民に指し示していくんだ。もちろん、政治的には無色の中でとなろうか。

◇しかしこちらが<笑っちゃう>のは、テリー伊藤の誇る<ひとひねり>の内実が何とも陳腐・お定まりのオンパレードといった現実であり、それこそヒネリヨイショがただ単に<な~んちゃって>といったレベルでしかない点である。

安倍晋三が護憲派や平和主義者を嘲笑したつもりになって得意気に見せびらかすのが<戦後レジームの見直し>や<真正保守主義>というのとどこか似ている。◇それはまた、月刊誌「WiLL」に蝟集(いしゅう)するゴリゴリ保守連中のワンパターンにも通じる。

◇しかしこの月並みな<ひねり>が一部の日本人には妙に受けるようで、「WiLL」が駅の書店で平積みされているさまにぶちあたれば、それこそ笑っていられないとならざるをえない。◇そこでは、横浜市長職から敵前逃亡した中田宏が臆面もなく書いちゃったりしていてサ。

◇紛う方なき正論に対してさえ、とにかく<アカ>のごとくイチャモンをつけさえすれば、それはもう彼ら流メチャ体制的・超安全な<反体制の世界>!?◇あの一群の人々は、その手の自己陶酔から逃れられないようだ。

◇ひねりを気取るテリー伊藤にもそうした方法論上の弱点がミエミエであり(=もちろん彼には<アカ>流発想はない)、業界人としての安全地帯から一歩も歩み出せていない。◇しかし、本人はそれにとんと気づかない。

◇では、あの外務省元幹部・田中均(=コイズミ訪朝を画策したこのエリート、本当にアタマのキレの悪いのが一連の文章からよく分かる)のそれと並び、わが愛する毎日新聞をけがしまくるトンデモ連載「テリー伊藤の現場チャンネル」(本年度分)より淡々と引く形で、<アーカイブズとしての「IFSA通信」機能>を発揮していくとしたい。

★★森田健作
青春の巨匠 千葉県の、団塊世代の星になれ
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.04.04

◇4年前の千葉県知事選落選。「そのときの森田さんの悔し涙を間近で見ていた私としては、彼がこの4年間、どんな思いで戦ってきたかを知っている」。◇「(今回森田が当選した-筆者註)この選挙戦は睡眠時間を削っての必死の戦いだった」。

◇「今回の勝因の一つは、やはりタレント出身の東国原知事と橋下知事がそれぞれ県民の強い支持を得て改革を進めていることだろう」。◇「森田健作という人間は政治家として期待できると私は常々思っている。それは、私利私欲がないからだ。金にもキレイだし、権力やポストにしがみつこうとしている姿を一度も見たことがない」。

◇「いつでも熱くて、正義感が旺盛で、国や地域を愛する気持ちが人一倍強い」。◇「『シラケの時代』とか『冷めた日本人』などと言われる時代の中にあっても、この森田健作の熱さに国民が反応したのだ」。◇「『ニッポン男児』という言葉は、まだ死語ではなかったのである」。

◇「(前略)団塊の世代の人たちが森田健作新知事の元気な姿を見れば、きっと勇気づけられるにちがいない」。◇「60歳を前にして新たなスタートを切る森田健作は団塊の星である」。

◇団塊のひとりであるIFSAならずとも、森田健作をわれわれ世代の星とか何とか言われた日にゃ、たまったものじゃなかろうが、歯の浮くようなことを平気で言うお調子者のたわ言、それはそれとしようか。

◇とはいえ、安倍晋三の首相就任時にヨイショしまくったのとトーンがよく似ていることよ。

◇次は、例のエバリまくり慎太郎による東京五輪招致(失敗)劇に関して。◇テリーはこれに向けても十八番のヨイショ先兵一辺倒だったが、大半は過去のIFSA通信にて紹介済みだから、本日は別のフレーズからの引用を。

★★東京五輪
21世紀モデルで次世代に感動を伝えたい
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.04.25

◇「IOC評価委員の東京視察が無事に終わった。委員たちは、リップサービスもあるだろうが、かなり好印象を抱いて帰ったように見える」。

◇「この不況のなか、すぐにお金の話をしたくなる気持ちはわかる。しかし、2016年東京五輪の意義は、経済とはまったく別のところにあると私は思っている」。◇「1964年東京五輪当時、中学生だった私は、あのときの興奮と感動をいまでも忘れない」。

◇「2016年に東京五輪を開催するということは、今度はそのときの子どもたちが五輪の感動やスポーツの素晴らしさを目の当たりにできるということだ」。

◇「南米やアフリカなど、いまだに五輪を開催していない地域で開催するべきだという意見には私も賛成だ」。◇「しかし、じゃあ、そうした国々が北京五輪のような巨大開発型の五輪を開けばいいというのだろうか」。

◇もうやめにしておこう。それよりも、たまたま同日の同面に掲載されたエッセーとの巡り合わせがあまりに皮肉なので、つい対比の誘惑に駆られる。

★★IOC委員東京視察
劣勢にまわった招致反対派
週刊テレビ評 やくみつる・毎日新聞夕刊・09.04.25

◇IOC委員が視察に来てテレビ界も浮き足立っている環境下。「(前略)開催に異を唱える側が、どうも劣勢にまわってしまった観は否めない。私も当初より『2度目の東京五輪はいらん!』と抗(あらが)っているクチだが(後略)」。

◇とはいえ、「(みのもんた起用の招致アピール・テレビCMでは-筆者註)いわく、東京への五輪招致がなれば『街路樹100万本!』『学校の校庭を天然芝に!』って、ドサクサ紛れにオリンピックと絡めた都市整備話にしている」。

◇「そんなことはオリンピックが来ようが来るまいが粛々と進めてもらえばいいわけで、ここらが狡猾(こうかつ)なところだ」。

◇「大義といえば、当初唱えられていた『アジアでの初の2度目開催』という苦し紛れの文言はさすがに聞かなくなりましたね。転じて打ち出したのが、やはりエコ」。

★★鳩山政権
「国民の期待」と「政府の答え」が見えやすくなる
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.09.19

◇安倍晋三首相をあれだけ持ち上げた男が、今度は手のひらを返して民主党政権へのオマージュ。◇ばかばかしくて書き写す気にもなれないからその部分は割愛するとして、野党・自民党に触れたお笑い部分のみを紹介する。

◇「自民党への期待。それは『戦う野党』になることなどではなく、『国民のために、不慣れな民主党政権を助けてやろう』という姿勢を国民に示すことだ」。

◇「『自民党と民主党』は『巨人と阪神』ではない。(中略)(野球とは違い-筆者註)政治はどっちが勝とうが国民が幸せになればいいのである」(出ました!=IFSA)。

◇「国民が求めているのは自民党の再生でもなければ2大政党でもない。国民のための政治を実現してくれる政治家であり政党なのだ」(まさにテリー伊藤の真骨頂でありんす=IFSA)。

★★石田純一
すべて見せるプロ意識 芸能人中の芸能人だ
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.10.03

◇「石田純一さんが『ロンドンハーツ3時間スペシャル』のなかで、東尾理子さんとの結婚を発表した」。◇石田やそれを商売にするテレビって見てらんねえという世間の声に対し、テリー伊藤はここぞとばかり反撃を試みる。◇喜々として、オレの独擅場(どくせんじょう)といった風情で。

◇「『いや、さすが石田純一だよ。”ここまでやるか”と思われるようなことをあえてやる。彼こそ、芸能人のなかの芸能人だ。石田さんはヤサ男に見えて、本当は腹が据わった男なんだよ。理子ちゃんも、そこに惚(ほ)れたんだろうな』」。

◇「きっと石田さんは、妻となる理子さんを一緒にバラエティー番組のテレビカメラの前に立たせることによって、身を持って自分の生きざまを彼女に伝えたかったのだ」。◇「おそらく彼は『芸能人にプライバシーなんかない』と考えているはずだ」。

◇「『ファンや視聴者が見たいというものは、すべて見せる』という凄(すさ)まじいプロ意識。それが石田純一のプライドなのである」。

◇おそらくはこの文章こそが、テリー伊藤の度し難き本質とクサさをもっともよくあらわしているとIFSAは見る。◇あとは読者のご判断に委ねるとして・・・・・・・。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年10月11日 (日)

IFSAの予想どおり慎太郎五輪はドボン=そうなった必然性を一度振り返っておかねば!

150億円(いや、一説には400億円[註])ともいわれる巨費を投じた東京五輪誘致は、ほら見ろ、だから言わないことではといった感じで大敗した。◇IFSAは過去何度か、当通信でそのばかばかしさを論じてきたが、今回は毎日新聞の記事だけを頼りに敗退の必然性を総括しておきたい。

◇もちろんもっと多元的な見方も成立しようが、過去の報道を丹念にフォローしていれば、たとえ毎日新聞1紙だけからでも見えてくるものは想像以上に豊かなはずだ

[註]きっこのブログ(09.10.03)<五輪惨敗で石原都知事の責任重大>と題してこう書き記す。◇「今回の招致活動では、単なるジオラマ制作に5億円もかけ、50人もの関係者に1着30万円のスーツを配るなど、都民の血税を湯水のごとく使い続けたため、東京都の発表している150億円という予算を大幅に超え、一部では400億円超える血税がドブに捨てられたと言われている」。

◇手始めは、五輪誘致の不純な動機から。

◇「石原知事が都議会で五輪招致を宣言したのは05年9月。銀行税やディーゼル車規制に代表される華々しい都政運営が鳴りを潜め、人気にも陰りが出始めたころだ」。◇「『知事の、知事による、知事のための五輪』。トップダウンで決まった立候補は、そんなふうにも揶揄(やゆ)された」(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/上 残り1年半、知事を待つ嵐・毎日jp.・2009.10.04)

◇「今年初め、招致に慎重な民主党都議が党中央に冷静な対応を文書で求めたことを知ると、知事は都議会の一室でこの都議らを呼び止め、『みていろよ、恥をかくからな』とののしった」(同上)。◇どちらが恥をかいたかは歴然であろう。

◇動機のひとつは、石原人気沈没へのこのような一発逆転策。しかし彼の意図はそれにとどまらない。◇「五輪招致の目的についても石原都知事は、東京の再生によって日本国の底力を世界に示し、国威を発揚させる、と力説している」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・谷口源太郎・毎日新聞朝刊・09.04.03)からだ。

◇そしてこの上にかぶさってくるのが、例の経済効果[=註]という妖怪であるのは言をまたない。◇だから産業界は事前に50億円ものカネを出したのだし、五輪開催による不動産価格の値上がりを見込み、皮算用に余念のない人士も大勢いたに相違ない。

[註]=「五輪を開催した場合の経済波及効果を、都は全国で2兆8000億円(うち都内で1兆6000億円)と試算したが(後略)」(★★クローズアップ2009:三たび招致失敗 日の丸五輪、遠のく夢・毎日jp.・09.10.04)

◇だから、以下のような本末転倒そのものの嘆息が役人からもれたりもする。◇「五輪招致というエンジンを失った今、都の幹部は言う。『開催を想定した都市像は、東京が直面する問題の解決をさまざまに織り込んでいた。これに代わる目標は、すぐには見いだせない』(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/中 残る借金と未利用地・毎日jp.・09.10.04)

町村敬志・一橋大大学院教授にこう指摘されるまでもなく、何ともお粗末な話というしかない。◇「本来、独自の理念を持っているはずのスポーツイベントが、都市開発の道具としてしか語られないのは不自然だと思う。さらに言えば、五輪のようなイベントにしか、都市の未来を託せない思考にこそ、問題があるのではないか」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・毎日新聞朝刊・09.04.03)

◇しかし不純な動機は以上の3点ばかりでなかった。◇そこには、これまた妖怪のようなスポーツ界もからんでくる。

◇「国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、東京五輪の招致に失敗したことは、スポーツ界にとって、トップ選手強化の『大義』が失われたという側面を持つ」。

◇「上村春樹・選手強化本部長は『16年五輪の国別メダル数で3位以内に入るには、12年ロンドン五輪で5位になっておく必要がある』と説明。ロンドンでは14~16個、幻となった東京で25~30個の金メダルが必要と具体的な目標も掲げた」。

◇「08年北京五輪で日本が獲得した金メダルは9個で、国別ランキング8位」。◇東京五輪を想定し、それ向けの「強化費増額への期待があったはずだ」(以上、★★敗北の衝撃:16年招致/中 強化費増額に暗雲 JOC構想「大義」失い・毎日jp.・09.10.06)と記者は書いている。

◇お~お、日本全国すべては東京での五輪開催にかかっているってか?◇ダメだ、メダル数激増までが招致の動機!ってんじゃ。◇また彼らの背景に、以下のような考え方があるというから、IFSAはフレッシュな感じをもって驚かされる。

◇「JOCの福田富昭副会長は『これまでは火山の爆発で溶岩を流れさせ、底辺を広げようという考え方だった。この方が”ボトムアップ”の方法より、コストがかからない』と持論を展開し、新政権のスポーツ政策に注目している」(同上)。◇何とも安直な思考法。やはりこれじゃ日本のスポーツはネ、とあらためて感心させられる。

◇さて、以上のような思惑がいくつもからまれば、世界に発信すべき<理念>とやらが笑止千万なものに堕するのは理の必然といえよう。◇「環境に配慮した五輪」やら「コンパクトな五輪」やら、そうした理念でも追いつかないとなれば、平和憲法をせせら笑う石原慎太郎、恥じらいもなくこんなものまでをも持ち出した(=当IFSA通信にて既報)。

◇「招致の理念について石原都知事は『どうにでも書ける』と、理念のなさをさらけ出し、メディアなどから批判された」。◇「揚げ句の果てに作文されたのが、『平和に貢献する 世界を結ぶオリンピック・パラリンピック』という理念だった」(谷口源太郎・同上)。

◇しらじらしい<平和>はともかく、得意満面の<環境>ですら、「太陽光パネルなど最新技術を駆使した環境対策を強調する東京に対して、IOCの評価委員は『我々は国連ではない』と冷ややかだった(★★16年夏季五輪:東京落選 南米初、リオ選出・毎日jp.・09.10.03)てな調子で一蹴(いっしゅう)されてしまうといった案配(あんばい)。

◇そりゃそうだろう、何でも言えばいいってものじゃない。◇評価委員の皮肉は実にいい線をいっている。

◇そんななか、今日、昼食のそば屋でスポニチを読んでいたら、美輪明宏が辛辣(しんらつ)な石原慎太郎五輪批判を展開していた。◇そのなかで特におもしろかったのは、コペンハーゲンでの石原プレゼンに触れた部分。

◇あんな都職員への訓辞のような演説でウケるわけはないだろう、と。◇傲岸(ごうがん)不遜、ひとに頭を下げるなど体験したこともない男が、とってつけたようにお願いをしたところで、ミエミエは避けようがないというわけだ。

◇その石原が、先の総選挙応援演説でけなしまくった敵陣の鳩山由紀夫首相に頼み込み、デンマークへのご足労をお願いしたのだから、よほど万策尽きていたとみえる。

◇鳩山首相はといえば、この際、石原に貸しを作っておくのがいちばん。◇もしくは、人のせいにするのが得意な石原のこと、誘致失敗の戦犯にされてはかなわないから、勝算のないセレモニーへも出かけていった。◇加えて、<気分転換も兼ねて>といった鳩山一流の遊び心も加わり。

◇それらをひっくるめた成り行きのすべてを、国民は淡々とながめていた。◇今回の石原独り相撲はまあそんなところであったといえよう。

◇おごれるもの久しからず。◇責任をとっての辞任はないと開き直る石原慎太郎に対し、そうもいかないという情況がこれから展開されるはずとIFSAは見る。◇まずは最低でも150億円という、常識を超えた<使途精査>から。

◇へたに辞任し、次期東京都知事から洗い出しをされるのも怖いし、プライド高き男、議会からの攻撃にさらされるのもゴメンだし。◇さらにはそこへ新銀行東京問題も加わるし。

◇エラそうな石原の相克はつづく。(敬称略)

★★[IFSA]★★Michio Abe

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2009年10月 4日 (日)

マスコミの偽善キャンペーン(2)=<民主党二重権力>批判は何を懸念してのこと?

◇戦後政治史上、実質的にはじめて実現した政権交代。◇だが民主党政権誕生と同時に、ほぼすべてのマスコミが判で押したごとく鳩山由紀夫&小沢一郎の<二重権力>を批判し始めた。◇新聞社やテレビ局によっては<小鳩体制>とか<小鳩政権>と揶揄(やゆ)しつつ。

◇<小鳩>とくりゃ、どこかの幼稚園の名称にありそうで、ひ弱さも漂う。◇ただ、<鳩小>でないところにも彼らなりのイミが込められている。語呂の問題だけでなく。

★★それでも「小鳩関係」が心配だ
政治部長・乾正人
MSN産経ニュース・2009.09.17

「問題は、やはり『小沢一郎』との関係だ」と乾正人は切り出す。

◇「8・30総選挙での民主党の歴史的勝利以来、気になることが一つある。(中略)党内の一部にくすぶり続けていた小沢氏への批判が、魔法のようにかき消えてしまったのだ」。

◇また「小沢氏が幹事長に内定した直後に、テレビに出演した中堅・若手の議員たちは『いい人事だ』と口を揃えた。これまで小沢氏と距離を置いていたベテラン議員も記者たちとのオフレコ懇談の場で、『小沢さんは本当に変わった。二重権力などとんでもない言いがかりだ』と褒めそやした」。

◇民主党内の微妙な空気の変化(=ビビリ感)を紹介した後、産経新聞政治部長はこう書く。◇「それら(小沢+社民党+国民新党徒党等からの圧力と拡散ベクトル-筆者註)をはねのけて鳩山首相が、持ち前の粘りで『脱官僚政治』を実現できるだろうか」と。

◇締めくくりは「『二重権力』構造への危惧が杞憂に終わることを願ってやまない」

◇こうした乾正人の論説にかぎらず、IFSAがどうにも理解できないのは、彼らマスコミはいったい何を<危惧>し、二重権力構造を批判しているのかという点だ。◇そもそも何かを本当に心配したうえで<批判>しているのかさえIFSAは疑問に感じる。

◇彼らマスコミ自身は、二重権力状態というものが世間の絶対善倫理に照らしてバッチリ非難の対象となりうる>とヨムからこそ、まずはたたきやすいものをぶったたいておけ!◇実態はそんなものではないかと、IFSAの生活直観がささやくからだ。

◇というのも、民主党の二重権力をマジに批判するのだとすれば、そのココロは、民主党が最初からコケないよう心配してといったスタンスに立ってのはず。◇逆に、民主党など早く失敗してくれればいいと思うなら、本音は二重権力大歓迎(→政権の空中分解)でなければおかしい。

◇皮肉を込めて言えば、産経新聞はいったいいつから鳩山民主党政権の応援団になったのだろう。◇まあ関連の言説からして、そんなことは考えられもしないけれど。

◇だいいちこの乾政治部長、いつぞやのIFSA通信で紹介したように、以下のような考えをお持ちの人物でもあるのだから。

◇「あの郵政選挙で自民党が空前の勝利を収めてからわずか4年。なぜ、かくも短期間で自民党は凋落(ちょうらく)してしまったのか」への答のひとつとして、彼はこう書いた。

◇「異説ではあるが、私は『ポスト小泉』の安倍晋三、福田康夫、麻生の3代にわたる首相が靖国神社参拝に踏み切れなかったことを最も大きな理由として挙げたい(むろん、福田氏はまったくその気がなかったろうが)」(以上、★★なぜ自民は惨敗したのか 政治部長・乾正人・MSN産経ニュース・09.07.13)。

◇となるとやはり、彼による民主党への二重権力批判は<計算されたアイロニー>ととらえるべきであろう。

◇しかし、民主党政権の二重権力構造批判を展開するのが、産経を代表とする右派系にかぎらぬのは先述のとおり。◇ならば、多くのマスコミがその根拠とするは、<二重権力=アプリオリに絶対悪>と見なす単純絶対善思想(=世論ヨイショ思想)への依拠以外に考えられないだろう。

◇ところが残念なことに、最近の社会はこんな絶対善にそれほど反応しなくなっている。◇それが時代遅れのマスコミにはいまだ理解できていないという現実がある。

◇さあ、ここらで話をいったん現実へ戻そう。◇まず政権をとったばかりの民主党は、いったい二重権力状態なのかどうかと。◇IFSAは当然YES!と答える。

◇いいか悪いかではなく、小沢一郎の持つケタはずれの膂力(りょりょく)で参院選を勝ち抜き、今回の総選挙でも圧勝。◇しかし小沢は単なる選挙職人だから党内で権力を持つな!は、どこの世界でも通るはずがない。

◇小沢がいなければ政権交代など実現しなかったのは自明の理。◇人間的にはまったく魅力のない、好きになどなれない小沢であれ、権力闘争における偉大な貢献度は認めざるをえない。◇そこにはすごみも怖さも漂う。ゆえに、上記のごとき民主党内の空気のユレも出来(しゅったい)する。

◇しかし小沢があのまま代表にとどまり、いま首相の座にあったとしたら?これまた大変なことで、民主党政権が現在のような好感度で迎えられたとは到底思えない。◇鳩山だからこそ何とかうまく回っているといえる。◇そのイミで、目下のところ民主党はついている。

◇現実の話をさらにもうひとつ付け加えれば、<鳩山は内閣、小沢は党と国会>。このようにセパレートするだって?◇そんなことできるわけがないであろう。たとえば、A氏を大臣にと鳩山がいえば、小沢がそれは幹事長代理に・・・・・・・。◇こんな綱引きはいつでも存在する。

◇そして今後の国会運営においても、内閣と党・国会を完全分離などできるわけもない。◇ゆえにかならず衝突が!もしくは、小沢が大人になって何とかくぐり抜けていく!◇そのどちらかしかない。

◇実際は上記のような齟齬(そご)がいたるところで見られるのは想像に難くないとして、それでもIFSAがカマトトぶった二重権力批判に関心を向けないのには理由がある。

◇たとえ二重権力だろうが三重権力だろうが、結果よければすべてOK、アウトプットが悪ければ改めるか、それとも自民党に政権を奪取されるかだけのこと。◇逆にマスコミの好きな一重権力であっても、そのプロセス自体はまったくかわらない。

◇要は権力構造の態様など、われわれには何の関係もないはずなのに、つまらぬ<外形>から絶対善的物さしをあてては悦にいるマスコミのズレズレをこそ、われわれは嗤(わら)わなければならないだろう。

◇たとえば日本を代表する大企業でも、社長がひとりでがんばっているところと、会長-社長のそれこそ<二重権力>で乗り切っているところとがある。◇あるいは、元社長の相談役まで含めた<三重権力>があるかもしれない。

◇読売グループのように、ナベツネがいまだ君臨するところさえある。

◇では後者の企業に対し、エコノミストはすぐさまその態様だけで<批判>を開始するだろうか。

◇大きなお世話とはこのことで、それがプラスに出ているならあくまでも知らん顔、内紛が勃発(ぼっぱつ)したりして業績に影響が出れば<批判>どころかたたきまくる。◇経済界はあくまでさらっとしたものにすぎない。

◇これを再び政治の世界に置き換えると、自民党政権時代、一重権力の内閣など数えるほどしかなかったとの事実にも行きあたる。

◇まずは妖怪的は岸信介が、米国共和党の意を受け、陰に陽に歴代内閣をコントロールしてきた現実は、知られていないながらあまりに大きい。

◇個別でも田中角栄・首相失脚後の闇将軍ぶりは10年以上も継続した。◇これを二重権力をいわずして何といおうか。◇しかし、だからどうしたっていうのだろう。

◇そしてあのやりたい放題だったかに見えるコイズミは、米国ブッシュJr.共和党政権との完全なる二重権力というか、指揮下にすっぽりと入っていた。◇にもかかわらず、二重権力に敏感な絶対善的マスコミが、その不健全さを正面から突いたことはない。

◇ここまでくれば、マスコミによる現下の民主党二重権力批判、もはやお里が知れるといったところではないか。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月27日 (日)

マスコミの偽善キャンペーン(1)=<地元無視の八ツ場ダム中止>という情緒的誘導

手前勝手話とはいえ、ここのところ政治素材が続き、書くほうもいささか疲れ気味本当なら<シリーズ・散歩の凡人>やクルマ・カメラの話といきたいところですが、何せ半世紀ぶりの政権交代とくれば、あと2回ほどは政治ネタにお付き合いくださいそれから<散歩>ということで

◇民主党がマニフェストに掲げ、前原誠司国交相が明言した八ツ場(やんば)ダム建設中止に対し、大マスコミ、特にテレビは連日連夜、<はじめに中止ありきはおかしい><地元民の声を聞け>キャンペーンを展開している。

◇これらはすべて、IFSAがいつも指摘する、例の<絶対善=安全地帯>に寄りかかった無思想・無内容な物言いであるのは間違いないが、それにしてもこの露骨さ、さもしさといったらうんざりする。

◇あの田中康夫が長野県知事当選(=2000.10)数カ月後に打ち出した稚拙なる<脱ダム宣言>、その際の異常なまでのテレビ界リアクションを思い出してみれば、彼らの体質はよりクリアとなろう。

◇何とか劇場にしか興味のないテレビメディアは、<ダムはムダ>なる戯れ言に酔いしれるヤッシーを現代の英雄もしくはオピニオン・リーダーに祭り上げたばかりか、康夫ちゃんの先兵となり<はじめに(ダム)建設ありきはおかしい>キャンペーンを全国へ展開しまくった。

<田中康夫と脱ダム>は、少なくとも<コイズミと聖域なきコウゾウカイカク>の前座にふさわしいフィーバーぶりを、当時のテレビ界で体現していたのだ。◇ワイドショーでもニュースでも、まさに朝から晩までといった調子で。

◇皆さんは既にお気づきであろう。◇康夫ちゃんの時の<はじめに建設ありきはおかしい>と、今回の八ツ場ダム関連の<はじめに中止ありきはおかしい>が見事なまでのマ逆であることに。

◇いやそうはいっても、共通点がたったひとつだけある。◇それは両者とも、何の社会科学的秤量(ひょうりょう)を経ない、単なる情緒的&絶対善的反応の産物という点だ。

◇だからIFSAは当時、康夫ちゃん的脱ダム論を執拗(しつよう)なまでに批判しつづけたし、日本自然災害学会の学会誌「自然災害科学」から求められ、<情緒的「脱ダム論」の限界>という論文を寄稿もした。◇ダムをつくるべきかやめるべきかの不毛な二分法を、根底から批判したのだった。

◇今回の八ツ場ダム問題にみられる<はじめに中止ありきはおかしい><地元民の声を聞け>キャンペーンの推進者、日本の軽薄テレビメディアは、激越な反対運動からようやくダム建設へとソフトランディングを果たした地元民を再度引きずり回すな!のキミワル絶対善につくばかりで、ではこの金食いダムがなにゆえ必要か、もしくは、なにゆえ不必要かの議論にはまったく興味を示さない。

◇自分の不勉強ぶりを棚に上げ、情緒論についているほうがよほど楽だし、何より<安全>だと本能的に知っているからであろう。◇そもそも、連日得々とリポートする彼らは、このダムがつくられようとしている吾妻川(あがつまがわ)のことをどれほど知ったうえで語っているのだろう。

◇もしかすると、長野県との県境、群馬県嬬恋村近辺に水源をもつこの川が、30を超える支川を集め、群馬県渋川市であの日本一の利根川に合流するという事実すら把握していないのではないかと心配になる。◇まさか、吾妻川が直接海へ流れ出しているなんて思っていないでしょうね。

◇八ツ場ダムをつくらないと埼玉や東京が水浸し!というからには、利根川合流以後の地形や防災体制を明確に説明してもらわなければならない。◇多摩川水系を除く東京都の河川問題=埼玉県の河川問題との視点から、埼玉平野の河川研究&現場踏破を試みるIFSAにしてみれば、それらが持つ独特の地形からして本当に分かっているの?と問い返したくなる。

◇今回の八ツ場ダム問題は、<まずダムの必要性・不必要性検証ありき>から出発すべきなのであり、その結果、必要性が優位となれば建設を促進する、逆に不必要性に軍配が上がれば、あとは地元民に再びいかなる補償を行うかの問題へとシフトさせる。◇もちろん、物理的ばかりか精神的なファクターをも補償に含めて。

◇ではIFSAはこれをどうとらえるのか。正直言って八ツ場ダムに関する数値的データを集めたわけではないから、ここで社会科学的証明をなすことはできない。◇ただ、現地に3泊もすれば答えが容易に出せるという自信はある。

◇付近を何度も通っている直観からして、八ツ場ダムが無理筋であるのは分かりすぎるほど分かってしまう。。◇おそらく現場を1度でも訪れたことのある人なら、すぐさまエエ~ッ?といった奇異な感にとらわれること請け合いといえるほど、この計画にはムリがミエミエといったあんばい。

◇いくら<反・脱ダム派>のIFSAであっても、この八ツ場ダム建設の必要性だけは、治水面からも利水面からもまったく理解できないと、とりあえず表明しておこう。◇だから民主党が本気になって社会科学的証明をする気にさえなれば、ノンの結論などは朝飯前といえる。

◇八ツ場ダムへの動機。それが47年のカスリン台風大被害にあったことは間違いがない。◇未曾有の大水害を見て、待ってましたとばかり、政治家・官僚・利権団体連合軍の悪のりが始まった。◇根拠レスでムリムリのスタートを、何はともあれアプリオリに切ってしまえ!とばかりに。

国交省・八ツ場ダム工事事務所のHPが子供だましの域を出ないのは、この動機不純が大いに関係していると思われる。◇そしてダム本体よりもすごいのは、日本でも例を見ない道路・鉄道・集落等のインフラをそっくりやり直そうとする異常なまでの規模だ。◇悪のりの何乗がここにある。

◇直観でも分かるこんな木偶(でく)の坊のようなダムより有効とIFSAがこれまで提唱してきたのは、利根川・荒川・隅田川・江戸川・中川のスーパー堤防化!◇それこそが、埼玉平野から東京都へと流下する大河川群の、急を要する公共事業なのである。

◇ゆえに東京オリンピックなどやっている場合ではないと、IFSA通信で論じたばかりではないか。

◇ところで、マスコミの悪質な情緒的誘導は上記外にもうひとつある。◇<総工費4600億円の7割がもう済んでしまっているのに、中止して何になるのか>といったトンデモカマトト論がそれだ。

4600億円の7割を既に使ったからといって、7割分の工事が完了したことにはならない。◇予算の7割のカネを使って3割分しかできていないといったことは起こりえないというのか。◇まさに冗談ヨシコさんの世界だろう。

◇本体工事がいまだゼロの現状で、あと3割以内の工費にてその建造と付帯工事ができるって?◇2004年の総事業費変更(2100億円→4600億円)、その二の舞・三の舞はいずれ近々!と思わないほうがどうかしている。

◇テレビはグダグダ言う前に、残りの3割のカネでいったい何ができるのかを調べてみるべきだろう。◇ちょいとスタッフを動員すりゃ、いとも簡単な作業なのだから。

◇公共事業万能論に依拠する利権誘導型賛成派と、環境のみが絶対のコンクリート嫌悪型ファナティック反対派のどちらにもくみすることなく、民主党政権がどこまで<社会科学&自然科学的アプローチ>を貫けるか、いまがまさに正念場といえよう。

◇それにしても、テレビマスコミを中心とする彼らの調子よさは、今回あたりで弾劾されなければならない。

◇もっとも国民サイドはといえば、康夫ちゃんやコイズミの時代のようなオメデタさが薄れはじめている。

◇それが証拠に、国民に寄り添っているつもりで地元町長の建設中止反対論を称揚してみせるテレビが、いつしか社会より置いてきぼりを食い始めている情況もチラホラ見えてきたりするものだから。

◇とすれば、日本社会は少しずつ健全な方向へ動きつつあるのかもしれない。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月14日 (月)

テレビの劣化がひどすぎる=ニュースで堂々と<板垣氏が自民党総裁選へ出馬!>

◇昨夕(2009.09.13)テレビ東京のニュースを見ていて驚いた。◇正確な言い回しまでは思い出せないが、女性アナウンサーが<自民党の板垣氏が総裁選に出馬表明>というではないか。

◇あれっ?と思ったら、その後も3回、まさに堂々と板垣氏を連呼した。◇当然のこと、<★★自民党総裁選:谷垣元財務相が出馬表明「私が捨て石に」・毎日jp.・09.09.13>を指してのことである。

◇これがNHKなら、隣に影武者のような暗~いベテランアナが座っていて、ひそかに誤りを指摘したり指示を出したりする。◇そのさまがちらっと画面に映るのを見た人も多かろう。

◇しかしテレ東ともなればどうやらそれすらないらしく、最初の間違いだけにとどまらず、その後も3度、ノーガードで<板垣氏>を繰り返させる仕儀と相成った。

◇以後はツラッと別のニュースへ。◇何だこれでシカトかと思えば、途中でこうきた。<先ほど、谷垣氏を板垣氏と読み違えてしまいました>と。◇むろん、エクスキューズなどはない。

◇IFSAがぶったまげたのは2点だ。◇まずはニュースアナをしていながら、谷垣禎一元財務相の名前すらまったく知らないのだろうということ。◇次は、<読み違えてしまいました>のくだり。

◇原稿自体が<板垣>だったのか、それとも<谷垣>を本当に<イタガキ>と読み違えたのかは別として、いずれにせよテレビを取り巻く知的劣化はすさまじいところまできている。

◇新聞のような校閲というお目付役がないのをいいことに、瞬間芸の刹那(せつな)主義で平然としていられる。

◇テロップの誤字などは言うに及ばず、アナウンサーやキャスターのでたらめなテニヲハと修飾語・誤読・いい加減なアクセントは日常茶飯事で、いちいちカウントしたらきりがない。

◇かといって、女性アナのミスをあげつらう趣味はIFSAにはない。◇大げさではなく、この出来事はテレビという企業の後れた<経営思想>を象徴する。そう思えてならないからこそ取り上げた。

◇今の日本のテレビマスコミには、あのコイズミ劇場クラスがやはりいちばんお似合いだったのではなかろうか。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月11日 (金)

売れっ子ジャーナリスト・上杉隆=国民が嫌悪した<自民党的なるもの>への無自覚

◇6日前、当IFSA通信で【自民党流政治手法への国民的嫌悪=実はコイズミ登場以前から既に顕著なトレンドだった】(09.09.05)をアップロードしたところ、多くのアクセスをいただいた。

◇自民党政治に対して国民がいだく嫌悪とは<利益誘導型>へのそれであり、これ自体、コイズミ登場以前から蓄積されてきたものではあったが、2001年、彗星(すいせい)のごとくあらわれた名優コイズミがまんまとその<うっ屈&閉塞(へいそく)感>をかっさらい、5年半にもわたって籠絡(ろうらく)してしまう。

◇そんななか、歴史に残る05年の郵政解散で国民の嫌悪は<最高度のカタルシス・チャンス>を得る。◇勘違った日本社会は、民営化という<疑似絶対善>へなだれを打ったのだ。◇これでああすっきり!とでもいうかのように。◇さてその結果は!

◇ところが、コイズミ退陣後3年間の自民党政権体たらくと日本社会のハイパー劣化を見させられることとなるお人よし国民は、ようやくにして<世紀の名優・コイズミにだまされた!>とうすうす気づき始める。

◇今回の総選挙の結果は、まさにその延長線上にあった。◇だから、民主党を大勝させた国民の投票行動は<自民党にお灸をすえる>とか<自民党にペナルティーを科す>いったレベルのものではない。

◇IFSAは先日の【自民党流政治手法への国民的嫌悪=実はコイズミ登場以前から既に顕著なトレンドだった】(09.09.05)でそう主張したのだった。

◇そんななか、いま売り出し中で引っ張りだこのジャーナリスト・上杉隆、彼の得意気(とくいげ)な論説に出会う。◇IFSAはへえぇっ~と驚くと同時に、想像通り付け焼き刃の軽い男だなと妙に納得させられた。

◇彼はメルマガ中の優れたメディアであるDIAMOND online(09.08.27=配信は09.28)<全国選挙区で肌で感じた自民への失望 そして民主圧勝への熱狂の不在>と題し、こう書いている。◇もちろん、選挙結果が出る前にあっての執筆である。

◇「日本中の全選挙区の踏破を企図」し、「沖縄県を除く全都道府県を訪問」した結論だとして上杉は誇らしげに論を進める。◇「『どぶ板取材』の末に行き着いた結論は、選挙も、報道も、現場こそが最高の情報の宝庫だという政治の基本であった」とか妙に高揚しつつ。

◇「今回、こうして何十ヵ所もの現場を訪れて気づいたことは、多くの有権者が自民党への懲罰的な意識を持っているということだった」。◇お~お、IFSAの見解とは異なることをいきなり!

◇各新聞は民主300議席を超す勢いなんて書いているが、「日本列島を歩いている筆者にそうした実感はない。とくに民主党選対を訪れても、300を伺う(=IFSAなら<窺う>と表記-筆者註)ような熱狂は感じられない」。

◇「2005年夏、筆者は、郵政選挙で同じように全国を行脚した。その際の狂乱ぶりは、今回のそれとまったく異にするものだった」。◇ここでようやく理解できた。上杉の錯覚の原因が。

◇実際はこうだ。◇あのどんちゃん騒ぎの主役を張った国民は、いつしかあれに自己嫌悪を覚えるようになった。だから当然のこと、今回は<狂乱ぶり>も示さなければ<熱狂>すらそこにはない。◇深く静かに嫌悪感をくぐもらせたのだ。

◇それが軽~い上杉にはまったく見えない。◇たとえ全国を回ったところで、感性と思想に依拠しないそれでは当然というところだろう。

◇「そのために(投票には選挙区と比例の2通が用意されるために-筆者註)、候補者名と政党名でバランスをとる有権者もおり、総じて、世論調査の数字よりも低く出る可能性が高くなるのだ」。

◇「しかも、候補者名については、ベテランの議員になればなるほど、年配の有権者は以前と同じ名前を書く傾向にある。そうなると、強固な地盤を持つ、自民党の方が有利になるという見方が成り立つのである」とかいって、彼は民主300超に疑問を呈している。

◇しかしここで問題にしたいのは、数値的な予想が当たったかどうかのテクニカルな面ではなく、上杉の本質的な認識のほうである。◇そういえば彼は以前にも、こんなおめだいことを書いていたっけ。

◇それを本年5月のIFSA通信【田原総一朗・テリー伊藤らTV界テキトー男が、知ったかぶりだけで民主党代表選を酷評】(09.05.23)から再引用してみよう。

◇<そうかと思えば、最近売り出し中のにわか政治ジャーナリスト・上杉隆が、したり顔で同様の説教を始める(★★民主党は拙速な代表選実施で、政治ショーの最高の演出機会を逃した・DIAMOND online・09.05.15配信)>。

◇<「(前略)選挙期間は実質2日間、それで新代表を選ぶという」。◇「この決定を表現するとすれば、可能な限り、控えめな表現をもってしても、民主党の広報担当者はメディア戦略がいったい何であるかをまったく理解していないか、あるいは、まったくの愚か者であるかのどちらかであることが判明した」>。

◇<「民主党は、代表選という、メディアの注目を集め、自らの党と政策と人材を、国民にアピールする貴重な機会をみすみす逃したのだ」。◇昨年、一昨年と行なわれた自民党総裁選と比較すればそれがどれだけお粗末なものか理解できるだろう>。

◇なのにいま、コイズミ退陣以降のオメデタ自民党総裁選のほうがよほど<お粗末なもの>として世間の笑いものになっているではないか。◇事実、あの時点でも国民はそう燃えてはいなかった。例によってテレビマスコミがあおったにもかかわらず。

◇ここから分かることただひとつ。◇上杉という浅い人間には、安倍や麻生を担いだ自民党的お祭り&イベント志向性がよくお似合いだということ。◇こうした彼に対し、いまや深く静かに沈潜する<国民の自己嫌悪・失望・閉塞感、そして控えめな怒り>をくみ取れといったところで、所詮無理な相談というものだろう。

◇上杉隆は民主党の当選者数を見誤ったという以前に、国民の深層心理に心が届かなかった。◇おそらくは、5年間鳩山邦夫の秘書だったころの視点からいまだ抜け出せていないに相違ない。

◇少し前には、かの定額給付金を「やらないよりはやったほうがいい」と言い放った実績すら持つ。

◇この程度の軽~い政治ジャーナリストが、テレビ業界やマスコミではコメンテーターとしてもてはやされる。◇一部には、民主党政権が彼を取り込むんじゃないかとの推測まで出たりしている。

◇やれやれ、もしこれが本当なら、民主党にとっては大きなマイナスとなること間違いない。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年7月31日 (金)

衆院選2大欺瞞協奏曲=*マニフェスト達成率注視&*「してその財源は?」的常套句

◇読むのも憚(はばか)られるばかばかしい記事がここにある。◇もちろん新聞社の報道ぶりがではなく、伝えられる中身自体が。◇だからIFSAは、タイトルのみちらっと見るだけでパスしてきたが、ここへ引用するとなればそうもいかない。

★★05年の政権公約 自民が自画自賛
45%の項目、A評価
TOKYO Web・2009.07.30

◇「自民党は二十九日、二〇〇五年の前回衆院選マニフェストの実施状況を発表した」。◇「百二十の政策項目のうち、目的を達成したA評価は五十四項目、(中略)取り組み中のB評価が六十六項目で、未着手のC評価はゼロ」。

◇「次期衆院選マニフェストで見直しを公約する後期高齢者医療制度を含む『医療制度改革の断行』もA評価をつけている」。

◇テレビマスコミはこぞってこれを取り上げ、おおむね批判的トーンで論じている。◇A評価が多すぎないかとか、C評価ゼロはおかしいのではないかとか。

◇しかしIFSAはそんなことには関心がない。◇というより、北川正恭・逃げだし三重県知事(兼)どさくさ就任早大大学院教授が唯一得意とする<マニフェスト>にあたかも信仰のごとく乗せまくられ、引っ張り込まれているマスコミの幻想にこそ注目する。

◇ここでひとつ極端な話をしよう。◇たとえばの話、某政党が(1)<日本の核武装化検討>(2)<医療費の自己負担率アップ>を、100を超えるマニフェスト項目のなかのひとつに滑り込ませつつ政権をとったとして、さあどうする、その達成率評価は。

◇4年間で本気になって実現方向へ邁進すればA評価、よくやりました、達成率アップとなるのか。◇その間、コイズミ-安倍-福田-麻生のように同一政党で首相がかわるなか、そりゃおかしいぞ核武装なんてと某首相が気づき、それをあっさり放棄したとしたら、その某政党のマニフェスト達成評価は落ち込むのか。◇その未達成は悪なのか。

◇こうした架空の話から現実へ戻ればこうなる。◇あの05年の、国民の大半が乗せられまくった<コイズミ郵政民営化・シングルイッシュー選挙>。◇インターネット時代の恩恵として当時の自民党マニフェストがまだ残っているから、まずのぞいてみるとしよう。

◇興味のある方は、リンクから実物をご覧いただきたい。◇<自民党政権公約2005 自民党の約束 郵政民営化こそ、すべての改革の本丸。>と題された古証文がキラキラとあらわれる。

◇次に、そのなかの<郵政民営化なくして、小さな政府なし。>をクリックしよう。◇驚くなかれ、太陽系のような怪しげな図が出現。「小さな政府」こそ<この国が抱える問題を解決する、唯一の道。>と説教されるのだ。まるでどこかの宗教のように。

社会的な森羅万象の問題解決は郵政民営化より始まる。<「この国の形」をつくる戦略的外交の推進 安全保障の確立>までもが。これはすっごい。◇そして文字通りの社会的森羅万象例として、「自民党からの120の約束」が官僚作文の典型のようにして挿入された。

◇上記記事にある「百二十の政策項目」とは、まさにこの優等生的作文を指しているのだった。◇ノリとハサミとホチキスによる無味乾燥なアイテムの羅列。間違いなく各省庁の官僚が持ち寄ったものであろう。

◇こんなものの達成率をしたり顔で論じたところでいったい何になる?もはやIFSAが指摘するまでもあるまい。

◇何割達成などお聞かせいただかなくとも、あの郵政選挙を機に日本社会はさらに多くの何を失い、いまの閉塞(へいそく)情況へと確実に到達したのか、国民は肌で感じ、だからこその政権交代前夜が醸し出されているのである。

◇もっと象徴的に言えば、自民党の主張するように仮に目標を45%達成していたとしても<このヒドイ社会>ってこと?◇じゃあそもそも、社会を悪くするための目標だったんだ、120項目は。

◇それに45%なる数字のひとり歩きも大いに気になる。◇だいたい120項目も目標があるというなら、それ自体に重要度のランクがなければおかしいだろう。◇この10項目だけは政権の必達最重要課題だといった具合に。

◇にもかかわらず、定量的に45%達成しただって。◇どうでもいいような重要度の低い項目ばかり達成してみても、マニフェスト達成率は45%ですと相成る。◇ここには定性的な視点からする切り分けがまるでない。日本社会&マスコミは<定量的>のほうへ飛びつく習性があるのを自民党が見越してのことにしても。

◇いや、グダグダ言うのはこれくらいにし、もっと身も蓋もなくいこう。◇先述のように、郵政選挙のハイパー重要課題はコイズミ念願の<郵政民営化>だけ。だから残りの119項目は官僚作成の単なる付け足しにすぎない。

その意味で、当のマジシャン・コイズミにあって<マニフェスト2005>の達成率は100%。しかもそれは、郵政選挙に圧勝した時点で即達成された。◇これはまぎれもない真実である。

◇では論外なる<マニフェスト達成度>はこのくらいにし、8月総選挙の2大欺瞞協奏曲のもうひとつ、「して財源は?」信仰に歩を進めるとしよう。◇テレビの街頭インタビューが民主党マニフェストについての感想を求めれば、平均的な中年男(=おとっつぁん)はだいたいこうこたえる。

「民主の言うことは分かるけど、その裏付けとなる財源がね」と。まるでどこかできいた風な口調で。◇テレビの時局番組をよく見、読売や日経を読むまあまあの勉強家にこの手が多いのではとIFSAは推察する。

◇国民としての<良心>をマスコミフレーズ口移しに吐露してしまっている、といったら言い過ぎだろうか。

◇何を陳腐なおとっつぁんよ、自民党政権が無用の空港や整備新幹線や高速道・有料道・農道、それに港やダムやハコモノを作りまくってきたこの何十年間、その都度「財源は?」ときっちり疑義表明してきましたかね。◇さらには膨大な特殊法人に対しても。

◇いやそれどころか、選挙のたびにそれらを推進する政党へ投票してきたのではなかろうか。◇そうした結果が800兆円超とかいう国のぶったまげ借金を生んでしまった。

◇にもかかわらず、民主党のような<対個人向け>国費投入には即・財源論を持ち出す。◇自民党政権が得意とする<対法人・団体向け>じゃぶじゃぶ大量投入では問題視すらしないくせに。

◇だから、昨今の恣意的財源論議ほど政治的なものはないとIFSAは考える。◇少なくともそんな連中のお先棒を無意識にかつぐのだけはやめにしたらどうでしょう、まじめなおとっつぁん殿!

◇朝から晩まで「民主党マニフェストには財源論がない!」と叫びまくる自民党にうまく利用されるだけですから。

◇それにしても、マニフェスト達成率や財源論を右から左へ平気で流しつづけるテレビマスコミのレベル。◇視聴者が求めるからビジネス上!がタテマエの理由であれ、知的劣化の度が過ぎている。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年7月 6日 (月)

IFSAの<笑止千万>=橋下&東国原知事の魂胆はミエミエ。何が地方分権だって!

◇そのまんま東こと、東国原英夫宮崎県知事の<勘違い本気発言>には、さすがのお人よし日本国民もくちあんぐりといったところであろう。

★★選挙:衆院選 「ガケっ縁」自民、知事頼み
出馬打診に東国原氏「総裁候補なら」
毎日jp.2009.06.24

「内閣支持率の急落にあえぐ自民党が、次期衆院選対策で、地方の人気知事との連携に動き出した」。◇「自民党の古賀誠選対委員長は23日、宮崎県庁を訪ね、東国原知事と会談し、衆院選に党公認候補として立候補するよう要請した」。

◇「これに対し、東国原知事は『私を次の自民党総裁候補として、衆院選を戦うお覚悟があるのか』などと、逆に条件を突きつけ、結論は出なかった」。

◇東国原が自民党へぶつけた衆院選出馬の条件は、上記「オレを自民党総裁候補にしろ」(+)「地方分権への全国知事会要望を100%マニフェストへ盛り込め」。◇前者は<そのまんま東>によるそのまんま本気。そして後者の地方分権うんぬんは、これぞ便利と引っ張り出したキレイゴト・ワンフレーズとIFSAは見る。

★★東国原・宮崎県知事:ハードル下げる?
分権提言の採用「90、80%でいい」
毎日jp.・09.07.03

◇「衆院選出馬に意欲を示している宮崎県の東国原英夫知事は2日、出馬条件として自民党に地方分権改革案受け入れを求めていることについて『100%とは言いません。90、80%ぐらい』と述べた」。

◇「これまで『一言一句漏らさず』としていた条件を自ら引き下げた形で、『国政転身ありきの安売りか』と冷めた見方も出ている」。

◇ビートたけしのお兄さん、北野大・明治大学教授がテレビでまっとうに述べた「東国原さんのことは弟との関係でよく知っているが、いったい何を勘違いしているんですかね」(大意)の宮崎県知事殿、何としても国政へ転身する、それも高値で!となれば今回しかないの思いはいや増しに、か。

★★東国原氏「僕が行けば負けない」 自民出馬要請で
TOKYO WEB(共同)・09.07.01

◇自民党内の悪評に焦りがつのったのか、「(前略)自民党から立候補を要請されている次期衆院選に関し『僕が行けば自民党は負けない。負けさせない。負けたら地方分権ができない』と述べ、立候補した場合は政権交代阻止に全力を挙げる考えを示した」。

◇「次期党総裁候補にすることなど、自らが提示した条件を自民党が受け入れた場合について『(国民は)党が変わった、変革したと思うだろう』と指摘した」。

◇誇大妄想きわまれり!はおくとして、<東国原が出れば自民は勝つ→自民が勝てば地方分権ができる>とは、ぶったまげの論理展開というしかない。◇ひがしにとっては論理矛盾などこの際どうでもいい。何しろこのオレを自民党の最重要職へつけろ、モタモタせずに・・・・・・・なら理解はできるが。

◇こんな男に足元を見られる自民党、この一事をとってももはや政権政党の矜持(きょうじ)は消えうせているといえよう。

◇宮崎県に<しけ込んでいる>(=宮崎県の人には失礼な言葉づかいでIFSAは不本意だが、東国原の言動はこう宣言しているに等しい!)のはもうイヤ、大好きな権力政党自民党のトップマネジメントとして東京へ舞い戻りたい。◇このアリバイ証明に使われるのが<地方分権>なのであった。

◇うん?<地方分権>?またまた出ました、絶対善的標語が。◇1990年代、自民党のあまりの腐敗を隠すため考案されたのが<政治改革>という名のもとの権力闘争だったし(=そのゆがんだ産物が小選挙区制!)、21世紀初頭、米国的市場原理主義を貫徹するためのキレイゴトが<官から民へ><規制緩和>であったのは記憶に新しい。

◇揚げ句は、コイズミ積年の<旧田中派&旧郵政省>に対する怨念(+)米国への便宜供与として考え出された<郵政民営化>。◇そして今回のカイカクは、突然ごとく<地方分権>ときたもんだ。◇ああ~、また例のヤツね・・・・・・と考えるのが正常なる理路というものだろう。

◇東国原の<地方分権>なんて付け足しもいいところと、まあ大方の人はとらえようが、これが橋下徹・大阪府知事となると、本気度が違うと思ってしまうにちがいない。◇さすがに彼は利口だから、東国原のような単純な発言はせず、仕掛けを一見複雑化して煙(けむ)に巻く。

★★首長グループ構想:
西日本の知事らは、独走橋下氏に戸惑い
毎日jp.・09.06.26

◇「大阪府の橋下徹知事が打ち上げた、地方分権を旗印とする首長グループの結成と、次期衆院選での支持政党の明確化」。◇この手の思わせぶりに、マスコミも国民も振り回される。マニフェストを見て自民か民主かを判断するなんて言われちゃうと、なるほどねと。

◇しかしIFSAは、そんなまわりくどいことやめなさいよと言う。◇あの超右派の橋下が、旧社会党の議員も大勢いる民主党支持なんて、まず想定しにくいからだ。◇体質的に<革新>や<市民>が大嫌いの、自民党に入ったとすればまず筆頭右派の、田母神センセイも真っ青のような橋下徹を忘れてもらっては困る。

◇にもかかわらず民主党は、「(前略)民主党の鳩山由紀夫代表は23日の会見で、橋下知事について『自民党中心に当選された方だが、(地方分権の)考え方は民主党により近い』と秋波を送った」(上記・毎日jp.09.06.24)というからさまにならない。

◇ところで、IFSAには今でも忘れられないことがある。◇橋下がまだ弁護士兼タレントでテレビのワイドショーに出ていた時代のこと。◇新聞と違ってテレビは、ビデオにでもとらないかぎり記録がないから困るものの、橋下はそこで仰天発言を行った。

◇記憶があいまいで申し訳ないが、たしか靖国神社に関する問題だったと思う、天皇の発言された内容が橋下の持論と大きく違っていた。

◇司会者にそこを指摘された橋下はこう言った。◇「私は今でもそう思っていますが、天皇さまがそうおっしゃったのなら、私にとって天皇のお考えは絶対ですからそれに従います」(大意)と。◇おそらくこの種の発想は、天皇にとってもご迷惑と思われる。

★★政党支持に賛同1人 橋下氏、市町村長らと会合
TOKYO WEB(共同)・09.07.01

◇「大阪府の橋下徹知事は1日、府内の市町村長と大阪市内で非公開の会合を開催し、『首長連合』で次期衆院選での支持政党を表明することについて参加を呼び掛けた」。

◇「会合では橋下知事が冒頭、記者団に公開したあいさつで『この時期を逃せば、国の形が変わるチャンスは二度と来ない。国に対して地方は最大の圧力団体になるべきで、そのために必要なパワーは”選挙で応援する、しない”に尽きる』と態度表明の意義を強調した」。

◇上昇志向ギラギラで単純そのものの東国原とはちがい、それなりに策を弄(ろう)する橋下大阪府知事。◇しかしその<策>に自縄自縛となれば、みっともない結果を招く。

◇ただどう転んでも東国原とは段違い、自民党は橋下を高く買う、それはほぼ間違いのないところだから自身に損はない、仕掛けを高度っぽく見せるほうがいい、橋下はそう読んでいるのかもしれない。

◇結論を言えば、絶対善的<地方分権>を持ち出したところで、東国原も橋下も最大の関心事は自身の去就というか値段のつり上げ。◇みずから喧伝(けんでん)するほど日本社会への深刻な思いが伝わってこないのがそれを証している。

◇<地方分権>が現代政治最大のマターだって言いまくるのだから、お里が知れるというものだろう。◇<郵政民営化>が国のトップマターだったのと同様に。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年6月14日 (日)

鳩山更迭問題=コイズミ・竹中による恫喝、いまだそんなに怖い?自民党の救いがたさよ

◇麻生太郎首相はかつて、<私は郵政民営化に反対だった。だから、総務相というのに私は郵政問題からはずされていた>(大意)と、公の場の国会委員会で口をひん曲げながら力説したことがある。◇しかしその直後、大ブーイングにあって発言を引っ込めた。というより、ごまかした。

◇いくらトンチンカンな麻生とはいえ、郵政民営化に反対だったか否かくらい間違えるはずはない。◇あれは本当のところだったにきまっている。

◇とすれば、反コイズミとしてのレーゾンデートルを意識する麻生が、<郵政民営化後の西川善文体制。そのいいかげんさをあぶり出す><そこから、コイズミ一派による【民営化そのものの野望】というか【隠された意図】が明確に浮かび上がる><結果、コイズミ・竹中路線のインチキぶりをさらすことにより、麻生の存在がふくらむ>・・・・・・、そう考えたとしても不思議はない。

◇その流れの中で鳩山・西川バトルが勃発(ぼっぱつ)、先日の鳩山邦夫更迭(=実質的罷免)においてまずは第1ラウンドの幕が下りた。◇今回のIFSA通信は、鳩山が罷免された2009.06.12翌13日の新聞記事(すべて電子版)だけを頼りに、この問題の本質を析出するとしたい。 

★★首相、当初は「西川交代」
・・・竹中・小泉コンビが封じ込め
YOMIURI ONLINE・2009.06.13

◇「今年2月、首相官邸の執務室。首相は鳩山邦夫総務相と会い、日本郵政の6月の株主総会で西川社長を含む取締役を一新するよう指示した」。

◇「『ポスト西川』の候補として、NTTの和田紀夫会長、生田正治・元日本郵政公社総裁、西室泰三・東京証券取引所会長らの名を記したリストも手渡し、水面下の調整をゆだねた」。

◇「首相の意を受けた鳩山氏は5月に入り、日本郵政の取締役人事を決める指名委員会の一部委員に『首相は西川氏を代えるつもりだ』と伝え、『西川辞任』に向けた多数派工作を始めた」。

◇ここまでは、あの麻生には珍しい正当な感覚と指示である。◇しかし、彼には思想どころか、戦略もなければ戦術もないから、いつものごとくすぐさまといった感じの<頓挫>に見舞われる。◇しかも、お坊ちゃまの鳩山邦夫は、それこそ<正義?>だけの直球一本。あの腰砕け専門男の麻生を信じきるというヘマまでおかした。

◇「『首相と私(鳩山邦夫-筆者註)は社長交代で完全に一致していた。だから私は安心して事を進めてきた』」(★★「一時は首相も社長交代支持」鳩山前総務相・MSN産経ニュース・09.06.13)。◇底抜けの甘さを笑ってもはじまらない。これが鳩山の<持ち味>なのだから。

◇エグさでは人一倍(=というより、エグさしかウリのない)コイズミ・竹中平蔵にあっては、こんな麻生・鳩山連合軍など物の数に入らない。◇「(前略)委員(上記指名委員会の委員-筆者註)を通じて鳩山氏の動きを察知したのは、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵・元総務相だった」。◇「竹中氏は小泉氏に相談した」。おお、やはり。

◇コイズミ内閣終焉とともに、選挙で選ばれた政治家稼業をもう用なしとばかりドライに放り出し、慶大教授へ返り咲いた竹中がこんな動きをすること自体、噴飯ものだが、だかつのごとき連中はそんなことお構いなく、麻生・鳩山の画策をひねりつぶしてしまう。◇勝負は瞬時についたのだった。

◇麻生首相が西川善文・日本郵政社長を切れば自民党は財界を敵に回す、と一般には言われる。◇しかし実態は、コイズミ・竹中がすでに財界へ手を打ってあるから、財界は即ブーイングを発するよう仕掛けができているというにすぎない。◇これなかりせば、財界ごときが政府と真正面から戦えるはずもない。

◇同時にというより、麻生にとってはここがいちばん肝心な点だが、西川更迭をやらかせば、いまもって自民党内大勢力のコイズミ一派から総スカンを食う。◇財界などよりこちらのほうがよほどこわい。

◇そこで鳩山邦夫を切れば、自分を総裁へと担ぎ上げてくれた大恩人、「太郎会」会長の邦夫お坊ちゃまとたもとを分かつことになる。◇すなわち、自身最大最強の後ろ盾を失う。◇この閉塞状況へ降ってわいたのが、有名な悪知恵コンビの登場であった。麻生がぐらっときたのも無理はない。

◇「まず動いたのは元首相の森喜朗、前自民党参院議員会長の青木幹雄の重鎮2人だった」。◇「2人は8日夜、都内のホテルで麻生とひそかに会い、こう耳打ちした。『鳩山も西川もどっちもどっちだ。けんか両成敗で一両日中に2人とも切れ。党内は何とかする』」。

◇「2人に背中を押されるように麻生は9日、西川、鳩山の更迭に向け、一気に動き出した」以上、★★更迭劇の舞台裏 「けんか両成敗」か「鳩山切り」か・MSN産経ニュース・09.06.13)

◇「これに『待った』をかけたのが、麻生の腹心である選対副委員長・菅義偉だった」。◇「『けんか両成敗ってどういうことですか。鳩山が一方的にけんかを仕掛けているだけじゃないですか。西川さんを更迭すれば自民党は大変なことになる』」(同上)。

◇「自民党は大変なことになる」とは、言わずとしれたコイズミ・竹中一派、そのパシリでもあるテカテカ・中川秀直があばれだすというもの。◇しかし中川の反乱など買いかぶりもいいところで、どうせ動けやしないとIFSAは見ているのだが。

◇にもかかわらず、この程度のジャブで麻生首相は縮み上がってしまったようだ。うわさでは、鳩山邦夫のあることないことを吹き込んだ人間もいたという。◇敵はさるものひっかくもの、用意周到さと執拗(しつよう)さだけでも麻生・鳩山でははじめから戦いにならない。

◇加えて、すでに引退を表明している元首相・小泉純一郎は西川に電話をかけ、『絶対に辞めてはいけない』と激励」。◇「中川は『西川氏を更迭すれば行動を起こさなければならない』と気勢を上げた」。◇おどおど元首相の安倍晋三までがエラそうに「(前略)10日夜、麻生に電話をかけてこう諭した。『2人を更迭して納得する自民党議員は1人もいないじゃないですか』」(同上)と。

◇そんななか、首相周辺が用意した<最終妥協案>が弱々しく示される。◇だが、どうなろうと何ら生活には困らない真のイミのお坊ちゃま・邦夫がにべもなく一蹴することに。

◇「妥協案とは、日本郵政の西川善文社長が鳩山氏に謝罪した上で、総務省の業務改善命令に対しても徹底した改善計画を出すことと引き換えに、西川氏の続投を認める案」。◇それなら「鳩山氏も辞任せずに済む。政権へのダメージを最小限にとどめるため、首相サイドが鳩山氏に水面下で打診していた」(★★鳩山総務相更迭:西川氏謝罪で続投案 最後の妥協策決裂・毎日jp.・09.06.13)

◇これに対し、お坊ちゃまは水を得た魚のようにまくし立てる。◇「西川さんが私に頭を下げる、謝罪をする。そんなバカなことないでしょう? 西川さんが謝罪をすべきは国民に対してであって、私に対してではないんですよ」(★★「正しいと思ったことが通用しなかった」 鳩山氏の発言・asahi.com・09.06.12)

◇鳩山邦夫の他意がどこにあろうとも、形の上でこれほどの正論もなかろう。◇さすがというか、自民党のシニカル公家・伊吹文明はいいところを見ている。◇「(前略)伊吹文明元幹事長『国民の感情からすると、鳩山氏の主張のほうがストンと胸に落ちると思う』と今後の(鳩山更迭による-筆者註)影響を懸念する」(★★鳩山総務相更迭:広がる内閣批判・毎日jp.・09.06.12)

◇ともあれ、政治的には一件落着のように思えようが、IFSAとしては西川善文への跳ね返りエネルギーは従前の何十倍もに達するはずと予測する。◇剛腕だろうが「最後のバンカー」だろうが、そんなものはあの陰湿な閉鎖的特殊銀行業界で通用するものでしかない。

◇本人は悦に入っていても、かならずや追い込まれるときがこよう。◇<鳩山の言い分が間違っていたからこそ鳩山は罷免された>って?国民の大半がそうはとらえていないところに、大きな火種が隠されているのに、世間の心が分からない特殊業界出身の大物はおそらくそのことにすら気づかないであろう。

◇いまだコイズミの亡霊におそれおののく大新聞ですらこう書かざるを得ないほど、事態はひどいところにある。◇勝ったはずの西川が負ける!世の中をなめきった数字オンリーの大物バンカー?その行く末が見えるようだ。

★★落ちた信頼、描けぬ戦略
・・・西川続投・日本郵政は先行き不安
YOMIURI ONLINE・09.06.12

◇「日本郵政では今年1月以降、不祥事が相次いでいる」。◇「保養宿泊施設『かんぽの宿』売却を巡る不手際や、30万~40万件と推測される簡易生命保険の不払いの発覚、障害者団体向け割引制度を悪用した郵便法違反事件の摘発などだ」。

「企業法務に詳しい弁護士の一人は『普通の民間会社なら、どの不祥事も社長の引責に発展してもおかしくない』と話す」

★★自民、内閣支持率低下の懸念広がる
・・・「麻生降ろし」再燃も

YOMIURI ONLINE・09.06.13

◇「首相周辺には、『首相の決断は中川氏らに”反麻生”に走る口実を与えない意味では効果があった』という見方がある」。◇「しかし、党内には鳩山氏と同様、日本郵政の西川善文社長の経営責任を問う声が少なくない」。

★★【鳩山更迭】郵政民営化に曲折も、
西川氏の責任再浮上も
MSN産経ニュース・09.06.12

◇「(前略)西川氏に対しては『かんぽの宿』売却問題などで経営責任を求める声はくすぶっており、鳩山氏が辞任したことで、今度は西川氏への風当たりが強まる事態が予想される」。

◇「しかし、経済界には『鳩山氏との対立で西川氏のイメージも傷ついた』(財界幹部)との声もあり、『剛腕』で知られた大物銀行家は厳しい局面に追い込まれている」。

★★西川郵政、続く多難 総務省としこりも
鳩山総務相辞任
asahi.com・09.06.12

◇「『かんぽの宿』問題に端を発した鳩山総務相と日本郵政・西川善文社長の対立は、鳩山氏の辞任で幕を閉じた」。◇「ただ、『国民の財産の不当な安売り』という批判が、一定の支持を得たのは事実だ。混乱で西川氏の描いた経営戦略は大きく狂った。所管官庁とのしこりも残った」。

09.06.12~13に限定した上記IFSA流新聞スクラップからも、どこに物事の本質があるかがうかがえるのではなかろうか。

◇たとえば、本日(09.06.14)のTBS系<サンデーモーニング>では、正統派のような顔をして体制ヨイショ派の幸田真音が<日銀総裁人事の時もそうでしたが、政治によるゴタゴタはいいかげんに・・・・・・・>(大意)と言ってみせたり、テレビ朝日系<報道ステーション>の古舘伊知郎がしたり顔で<民営化そのものには反対はないのですが>と述べてみたり。

◇あえて核心には踏み込まないこうした人々の職業的セキュリティー&みすぼらしさを、鳩山邦夫罷免劇総体が見事に突いている。

◇にもかかわらず政府与党は、<日本郵政は民間会社ですから社長人事に口は出しません>など、相変わらずすっとぼけたことを言っては本質を糊塗(こと)しようともがく。◇いったいどこの世界に、国が100%株主の民間会社などあるものか。子どもでも分かろう。

◇なお、IFSAがなぜ当時からコイズミ郵政選挙&郵政民営化に大反対してきたかは、過去何度も論じた当IFSA通信のバックナンバーにてご覧いただきたい。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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