IFSAの予想どおり慎太郎五輪はドボン=そうなった必然性を一度振り返っておかねば!
◇150億円(いや、一説には400億円=[註])ともいわれる巨費を投じた東京五輪誘致は、ほら見ろ、だから言わないことではといった感じで大敗した。◇IFSAは過去何度か、当通信でそのばかばかしさを論じてきたが、今回は毎日新聞の記事だけを頼りに敗退の必然性を総括しておきたい。
◇もちろんもっと多元的な見方も成立しようが、過去の報道を丹念にフォローしていれば、たとえ毎日新聞1紙だけからでも見えてくるものは想像以上に豊かなはずだ
[註]=きっこのブログ(09.10.03)は<五輪惨敗で石原都知事の責任重大>と題してこう書き記す。◇「今回の招致活動では、単なるジオラマ制作に5億円もかけ、50人もの関係者に1着30万円のスーツを配るなど、都民の血税を湯水のごとく使い続けたため、東京都の発表している150億円という予算を大幅に超え、一部では400億円を超える血税がドブに捨てられたと言われている」。
◇手始めは、五輪誘致の不純な動機から。
◇「石原知事が都議会で五輪招致を宣言したのは05年9月。銀行税やディーゼル車規制に代表される華々しい都政運営が鳴りを潜め、人気にも陰りが出始めたころだ」。◇「『知事の、知事による、知事のための五輪』。トップダウンで決まった立候補は、そんなふうにも揶揄(やゆ)された」(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/上 残り1年半、知事を待つ嵐・毎日jp.・2009.10.04)。
◇「今年初め、招致に慎重な民主党都議が党中央に冷静な対応を文書で求めたことを知ると、知事は都議会の一室でこの都議らを呼び止め、『みていろよ、恥をかくからな』とののしった」(同上)。◇どちらが恥をかいたかは歴然であろう。
◇動機のひとつは、石原人気沈没へのこのような一発逆転策。しかし彼の意図はそれにとどまらない。◇「五輪招致の目的についても石原都知事は、東京の再生によって日本国の底力を世界に示し、国威を発揚させる、と力説している」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・谷口源太郎・毎日新聞朝刊・09.04.03)からだ。
◇そしてこの上にかぶさってくるのが、例の経済効果[=註]という妖怪であるのは言をまたない。◇だから産業界は事前に50億円ものカネを出したのだし、五輪開催による不動産価格の値上がりを見込み、皮算用に余念のない人士も大勢いたに相違ない。
[註]=「五輪を開催した場合の経済波及効果を、都は全国で2兆8000億円(うち都内で1兆6000億円)と試算したが(後略)」(★★クローズアップ2009:三たび招致失敗 日の丸五輪、遠のく夢・毎日jp.・09.10.04)。
◇だから、以下のような本末転倒そのものの嘆息が役人からもれたりもする。◇「五輪招致というエンジンを失った今、都の幹部は言う。『開催を想定した都市像は、東京が直面する問題の解決をさまざまに織り込んでいた。これに代わる目標は、すぐには見いだせない』」(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/中 残る借金と未利用地・毎日jp.・09.10.04)。
◇町村敬志・一橋大大学院教授にこう指摘されるまでもなく、何ともお粗末な話というしかない。◇「本来、独自の理念を持っているはずのスポーツイベントが、都市開発の道具としてしか語られないのは不自然だと思う。さらに言えば、五輪のようなイベントにしか、都市の未来を託せない思考にこそ、問題があるのではないか」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・毎日新聞朝刊・09.04.03)。
◇しかし不純な動機は以上の3点ばかりでなかった。◇そこには、これまた妖怪のようなスポーツ界もからんでくる。
◇「国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、東京五輪の招致に失敗したことは、スポーツ界にとって、トップ選手強化の『大義』が失われたという側面を持つ」。
◇「上村春樹・選手強化本部長は『16年五輪の国別メダル数で3位以内に入るには、12年ロンドン五輪で5位になっておく必要がある』と説明。ロンドンでは14~16個、幻となった東京で25~30個の金メダルが必要と具体的な目標も掲げた」。
◇「08年北京五輪で日本が獲得した金メダルは9個で、国別ランキング8位」。◇東京五輪を想定し、それ向けの「強化費増額への期待があったはずだ」(以上、★★敗北の衝撃:16年招致/中 強化費増額に暗雲 JOC構想「大義」失い・毎日jp.・09.10.06)と記者は書いている。
◇お~お、日本全国すべては東京での五輪開催にかかっているってか?◇ダメだ、メダル数激増までが招致の動機!ってんじゃ。◇また彼らの背景に、以下のような考え方があるというから、IFSAはフレッシュな感じをもって驚かされる。
◇「JOCの福田富昭副会長は『これまでは火山の爆発で溶岩を流れさせ、底辺を広げようという考え方だった。この方が”ボトムアップ”の方法より、コストがかからない』と持論を展開し、新政権のスポーツ政策に注目している」(同上)。◇何とも安直な思考法。やはりこれじゃ日本のスポーツはネ、とあらためて感心させられる。
◇さて、以上のような思惑がいくつもからまれば、世界に発信すべき<理念>とやらが笑止千万なものに堕するのは理の必然といえよう。◇「環境に配慮した五輪」やら「コンパクトな五輪」やら、そうした理念でも追いつかないとなれば、平和憲法をせせら笑う石原慎太郎、恥じらいもなくこんなものまでをも持ち出した(=当IFSA通信にて既報)。
◇「招致の理念について石原都知事は『どうにでも書ける』と、理念のなさをさらけ出し、メディアなどから批判された」。◇「揚げ句の果てに作文されたのが、『平和に貢献する 世界を結ぶオリンピック・パラリンピック』という理念だった」(谷口源太郎・同上)。
◇しらじらしい<平和>はともかく、得意満面の<環境>ですら、「太陽光パネルなど最新技術を駆使した環境対策を強調する東京に対して、IOCの評価委員は『我々は国連ではない』と冷ややかだった」(★★16年夏季五輪:東京落選 南米初、リオ選出・毎日jp.・09.10.03)てな調子で一蹴(いっしゅう)されてしまうといった案配(あんばい)。
◇そりゃそうだろう、何でも言えばいいってものじゃない。◇評価委員の皮肉は実にいい線をいっている。
◇そんななか、今日、昼食のそば屋でスポニチを読んでいたら、美輪明宏が辛辣(しんらつ)な石原慎太郎五輪批判を展開していた。◇そのなかで特におもしろかったのは、コペンハーゲンでの石原プレゼンに触れた部分。
◇あんな都職員への訓辞のような演説でウケるわけはないだろう、と。◇傲岸(ごうがん)不遜、ひとに頭を下げるなど体験したこともない男が、とってつけたようにお願いをしたところで、ミエミエは避けようがないというわけだ。
◇その石原が、先の総選挙応援演説でけなしまくった敵陣の鳩山由紀夫首相に頼み込み、デンマークへのご足労をお願いしたのだから、よほど万策尽きていたとみえる。
◇鳩山首相はといえば、この際、石原に貸しを作っておくのがいちばん。◇もしくは、人のせいにするのが得意な石原のこと、誘致失敗の戦犯にされてはかなわないから、勝算のないセレモニーへも出かけていった。◇加えて、<気分転換も兼ねて>といった鳩山一流の遊び心も加わり。
◇それらをひっくるめた成り行きのすべてを、国民は淡々とながめていた。◇今回の石原独り相撲はまあそんなところであったといえよう。
◇おごれるもの久しからず。◇責任をとっての辞任はないと開き直る石原慎太郎に対し、そうもいかないという情況がこれから展開されるはずとIFSAは見る。◇まずは最低でも150億円という、常識を超えた<使途精査>から。
◇へたに辞任し、次期東京都知事から洗い出しをされるのも怖いし、プライド高き男、議会からの攻撃にさらされるのもゴメンだし。◇さらにはそこへ新銀行東京問題も加わるし。
◇エラそうな石原の相克はつづく。(敬称略)
★★[IFSA]★★Michio Abe


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