2009年2月27日 (金)

コイズミこそ「笑っちゃう」=読み違いばかりで焦りの色濃い現代の<東照大権現>さま

東照大権現とは、徳川家康の死後に後水尾天皇から家康へ勅諡(ちょくし)された神号。その裏では、黒衣(こくえ)の宰相と呼ばれた僧天海の力が大きくあずかったといわれる。◇あの軽~いコイズミを東照大権現になぞらえるなんて家康に申し訳ないが、あながちカリカチュアとばかりも言い切れないアナロジーがそこにはある。

◇ところで江戸時代のほうは、天海の思惑に反し、<東照大権現→東照宮>というイデオロギー操作(=共同幻想構築)が成功することはなかった。民衆の底辺にまで浸透するほどの広がりはみせなかった。

◇一方の21世紀初頭、わがコイズミ東照大権現はピーク時80%以上にもおよぶ国民からの支持を得、これだけ構造改革のイカサマ性が明らかになったいまでさえ、首相候補の2位か3位にはつけている。◇そう、あの種の手合いを日本国民は大好きだからだ。

◇飯島秘書官をプロデューサーとする座長・コイズミは、在任中の5年間、みずから酔いに酔った。◇彼の唯一の目標は、怨念(おんねん)満載の旧田中派つぶし。だから自民党をぶっ壊すとは、旧田中派をぶっつぶすに等しかった。

◇あの郵政民営化も、コイズミが郵政大臣時代いじめられたことへの仕返しの側面があるにせよ、大もとは、田中派の牙城たる郵政族への爆弾投下だったのは間違いがない。

◇郵政解散もまた、田中派への怨念がなせるわざにすぎなかった。◇そう考えなければ、郵政ごときが解散のメーンテーマになるなど想像すらできまい。通常の神経であれば。◇自民党の国会議員ほぼ全員がぶったまげたのもムリはなかろう。

◇そしてこの個人的怨恨(えんこん)のコイズミ流カタルシス(=コイズミはとにかくしつこく、根に持つ性格だ!)に国民はまんまと引きずりこまれ、みずからコイズミを熱狂的に支持してしまった。

◇コイズミ-飯島ラインが賢かったのは、真意を見抜かれまいと、竹中平蔵を道具として利用しまくったこと。◇わけの分からぬアメリカっぽいグローバリズムが、泥臭い私怨(しえん)を隠すに格好の大義名分となり得た。◇そして竹中は竹中で、自身の利害からコイズミを積極的に使い尽くした。

◇ばかを見たのは国民だけということか。◇いやもっと正確に言えば、日本社会が最大の犠牲者となった。◇現在のテイタラクを見ればそれはもはや明らか。ゆえに多くの国民がコイズミカイカクに疑問をいだき始めた。◇ようやくといった感じで。

◇しかしわがコイズミ東照大権現は、意外にも鈍感な男である。微妙な空気の変換に気づきはしない。◇そりゃそうだろう、安倍晋三を後継者に任命したり、麻生太郎を必要以上に引き立てたりと、首相当時からピンズレが際立っていたのだから。◇ヨミの甘さはいまから5カ月前にもあった。そしてこれが、昨今のコイズミの焦りの源となっている。

★★『首相在任の間に 能力使い切った』
地元支持者に 小泉氏、引退を説明
TOKYO Web・2008.09.28

◇この時点ではまだ余裕しゃくしゃく。「小泉氏は今後、自身が顧問を務めるシンクタンクを拠点に政治活動は続ける考えを明らかにした上で、『環境保護と経済発展の両立、食の安全に力を入れたい』などと述べた」。

◇ぶっ壊すと豪語して何も変わらない自民党へ次男を四世議員として送り込む。これこそ<笑っちゃう>だが、キングメーカー気取りの大権現は気にもとめない。◇環境だ、食の安全と、まあ達観を装っていること。判断の背景には以下のような事情も存在したからである。

◇だがこれまたド・ピンズレに陥ろうとは!コイズミの想像力では到底読めなかったのだろう。まったくかわいそうに。◇期待した解散なんてちっとも実現されなかったのだから。

★★【国交相辞任】10月3日解散濃厚に
中山氏辞任うけ、公明が態度硬化。
MSN産経ニュース・08.09.29

◇IFSAは麻生が解散などするはずもないと一貫して主張してきたが、上記産経新聞は大方の専門家ともども大はずれ。◇コイズミもまたその例外ではなかった。麻生はすぐさま退陣、しかし次男は当確でgood!など、のんびり思っていたはずだから。

◇麻生が粘りに粘り、ひいては郵政民営化批判に打って出るなど、<小政局天才>のコイズミは想像だにできなかった。◇ましてや麻生との緊密連携のもと、鳩山邦夫総務相が<かんぽの宿問題>を徹底究明し始めようとは。

◇こりゃヤバイ、引退している場合じゃない!しかしいまさら撤回はできない。◇引退や落選をすれば国会議員もただのひと。権力に対し、何の防護壁にもなりはしない。◇それを知悉(ちしつ)しながらのコイズミの大誤算、それがスタートラインについたのだ。

◇「郵政民営化を堅持し推進する集い」の幹事会での発言<★★小泉元首相「怒るというより笑っちゃうくらい、あきれた」 麻生首相の郵政民営化発言に・MSN産経ニュース・09.02.12> & モスクワでの記者会見<★★給付金「衆院再議決なら欠席する」小泉元首相が明言・asahi.com・09.02.18>での引きつったようなマジ顔は、怒り・焦りと同時にこりゃどうにもマズッた!を見事なまで映し出していて、IFSAは大いに笑えた。

◇軽薄なテレビワイドショーは、小泉劇場第2幕とはやし立てたものの、続いたのはせいぜい2~3日がいいところ。◇さすがの国民もここまで痛めつけられればもはや冷静で、へえぇっといった風情アリアリだから始末に負えない。◇テレビが煽っても、それ以上の広がりは見せなかった。

◇しかもコイズミの読み違いは、これだけにとどまらない。◇今度はタイミングとしての不運が襲ったのだ。◇<★★中川財務相、G7会見で”迷言” 「深酒」や「居眠り」疑惑・TOKYO Web(共同)・09.02.15>といった迫力を前にしては、コイズミ劇場などいまさら幕も開けられまい。

<★★「究極の愉快犯」 菅代行が小泉氏批判・MSN産経ニュース・09.02.14>は菅直人らしいキレなるも、現在のコイズミには<愉快犯>的ゆとりなどあろうはずもない。

◇コイズミも竹中も、郵政民営化の<逆行>を怒って見せているうちはまだよかった。◇それがかんぽの宿を入り口とする大疑惑問題へ発展ときては、穏やかでいるなど土台ムリな相談ではないか。

◇他方、竹中平蔵もびびりまくっているであろうし、彼の大臣秘書官をつとめ、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授にうま~くおさまった岸博幸にあっては、<★★「かんぽの宿」への政治対応はモラルハザードの塊・DAIAMOND online・09.02.06号>といったオドオド丸出しの文章を書きなぐり、必死に自己正当化を試みている。

◇「今回の騒ぎに乗じて、様々な政治家や評論家の類いの方が発言していますが、『宮内会長はけしからん』、『売却価格が安過ぎる』、『地元の資本に売却すべき』など、呆れる位に感情論ばかりです」。

◇「第一の問題は、かんぽの宿の一括売却という日本郵政の経営判断を否定するのは、郵政民営化の流れを逆行させるのに他ならないということです」。◇「(前略)年間の赤字は40億円です。鳩山大臣の意向によって、日本郵政は今後数年に渡り多額の追加的なコスト負担を強いられることになるのです。このように民間で当たり前の効率経営が否定されるのは、民営化を逆行させることに他なりません」。

◇「第二の問題は、オリックスの宮内会長が規制改革会議の議長だったことを以てオリックスの入札を否定するならば、政府のすべての審議会について同様の見地からメスを入れるべきではないか、ということです」。

◇「厚生労働省のグリーンピアだって、年金保険料2000億円をつぎ込んだのに48億円で売却されたのです。1万円で譲渡したかんぽの宿が6000万円で転売されたと喧伝されていますが、民営化前の公社時代に行われた極端なケースを以て現在の民間経営を否定するのはおかしくないでしょうか」。

◇もういい。しょぼすぎるからやめておこう。詳しくは岸の原文をご覧いただくとして・・・・・・・。◇どちらがモラルハザードかはそのうえでの判断にお任せしよう。◇コイズミ・竹中、そしてその周辺の関係者たち。攻撃は最大の防御とばかり打って出る気持ちを、IFSAも分からないではない。

◇あくまでIFSAの推論にすぎないが、郵政民営化の闇には東京地検も多大の関心を寄せていることだろう。◇もちろん郵政分野に限らず、<規制緩和→民営化>の美名のもと、行われまくった多くの利権に対しても。

◇余談だが、その後の東京新聞にはこんな記事が掲載された。◇<★★2年内でも譲渡可能 かんぽの宿 対オリックス 契約に『ただし書き』・TOKYO Web・09.02.20>。◇なるほどというべきか、やはりというべきか。

◇IFSAの記憶では、落札後もオリックスは雇用を守ってくれる、だから表面価格の多寡だけで論じられても困る、日本郵政はそう言っていたはずだけどネ。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年2月 1日 (日)

IFSA注目の<ベタ>記事=<ワークシェアリングにだまされるな>ほか(09.01.18現在)

★★麻生と心中か麻生を切るかの岐路
Today's Gendai メール ・2009.01.13

◇「内閣支持率はついに20%を切り、逆に不支持は70%台に急上昇」。◇「このままでは自民党も公明党も選挙で消えてなくなるぞ」。◇サラリーマン時代の愛読紙、日刊ゲンダイの最近はず~っとこんな”恨み節”的調子で、これじゃ買う気にもならない。

日刊ゲンダイといえば大昔から自身での取材はほとんどなく、いつも評論調。◇しかしそこには多少の毒が含まれ、企業の仕事で神経をすり減らしたサラリーマンには格好のリフレッシュ剤となっていた。◇だから私も、茅場町駅のホーム売店でついつい手にして。

◇しかし一日でも首相の座にとどまりたい麻生太郎相手には、ゲンダイ的手法は無力。◇だから毎日毎日、こんなことをしていると日本はつぶれるゾのご託宣ばかりとなる。◇こんなものでは<逆リフレッシュ剤>。おそらく購読者も急減していることだろう。

◇麻生は解散などする気なし、せっかく就いた首相の座に一日でも長くとどまりたいと、当初からIFSAはずっと主張しているのに、総裁選後すぐ解散せめて年内には解散・・・・・の希望的観測にすがったマスコミは、一様に裏切られずっこけた。◇シニカルなはずの日刊ゲンダイも同様だからシラケル。

◇従来のゲンダイなら、麻生首相、やりたきゃ最後までやれよ、それを前提に民主党、さあどうする?そうした<逆張り>戦法へ打って出たはず。◇日刊ゲンダイも市民主義に堕したものだ。夕方の楽しみがなくなってしまった。

◇ネットでお世話になっている夕刊フジ(ZAKZAK)のほうがよほどおもしろい。◇古いけど<オレンジ色の憎いヤツ>ってか。

★★ワークシェアリング浮上してきたが
・・・労使「同床異夢」
asahi.com・09.01.09


◇「ワークシェアリングは過去にも議論された。完全失業率が5%台と雇用情勢が悪化した02年、政府、旧日経連、連合の3者が導入に合意した」。

◇「従業員同士が労働時間短縮と賃金引き下げを受け入れることで企業内の雇用を守る『緊急対応型』短時間労働者を増やすことで新規雇用を創出する『多様就業型』が提案された。さらに政府は導入を促すため、財政支援も行った」。◇しかし結果はといえば、誰も動かず・・・・・・・だったのはご承知のとおりだ。

◇動かなくて当たり前だろう。IT不況下で編み出された絶対善的詐術としてのキレイゴト。◇例のコイズミカイカクと同様、日本社会はどうしてこうもコトバ(=名辞)に弱いのか、本当にいやになる。

◇IFSAは拙著にも書いたし当IFSA通信でも指摘してきた。当時テレビのスイッチを入れれば、自民党の政治家まで言いまくっていた○○のひとつ覚え、<ワークシェアリング>&<セーフティーネット>はいったいどこへいったのかと。

◇笑っちゃうのは、ついこの間のリーマンまで、この2語を話す政治家なんてもうどこにもいなかったではないか。◇そしてこんな状態になるや、とってつけたようにきれいで便利な概念を持ち出す。◇彼らの免罪符?まったく冗談ではない。

◇それにこの<ワークシェアリング>。現在の日本社会で本当にそれができるというなら、実際やって見せてもらいたいものだ。

◇なるほど、一斉休業や賃金カットや希望退職という名の早期退職などはわれわれ現役の頃もいやというほど経験させられてきたから、大ざっぱにこれらをワークシェアリングと呼ぶなら、おそらく明日からでも着手可能だろう。◇いや、方々でもうとうに行われていよう。

◇だから問題となるのは、もうひとつの<ワークシェアリング>である「短時間労働者を増やすことで新規雇用を創出する『多様就業型』」のほう。◇調子のいい学者・評論家・マスコミはすぐにでもやらなきゃなんて言うけれど、じゃあまずは下請けいじめのテレビ局から率先して始めてみたら。

◇具体的に考えてみよう。現在2人でしている仕事量を2/3にし、1/3部分を新規採用の人に譲る。◇だからいまの社員の給料はひとまず2/3に。その上で、業績悪化につき賃金はさらにカット。◇結果、企業内人間関係も仕事の効率もガタガタになる。

◇これで正社員の生活が成り立つのならそれでもよいが、そんなことはまずあり得ない。それが実情だ。◇しかし識者は言う。<大企業の正社員はいい目にあいすぎている>。◇冷静に振り返ればすぐ分かることだが、試験を受けて入社した<正社員>ってそんなに悪なのか。目の敵にされる対象なのか。月給泥棒か。

◇ここにもあえて<大企業>を持ち出す詐術が巧みに埋め込まれている。◇いや、上記のことが可能なら、社長のほかに社員2人の小企業であれ、2/3繰法は同じくやれないことがない。別に大企業じゃなくたって理屈上は。

◇ぎゅっとつめてくれれば、7人がけの座席もあと2人は座れるでしょう式の机上の空論がはびこっている。◇いいかげんなことをもっともらしく言ってもらっては困るのだ。

◇そんな連中のデタラメ発言こそ本質を見誤らせるものと、われわれは糾弾しなければならない。◇<ワークシェアリング>だ<セーフティーネット>だと煙幕を張りつつ、一方では労働環境のハイパー規制緩和を敢行。◇それが現在の非正規雇用を中心とする崩壊社会を生んだであろうに。

コイズミ・竹中(+)宮内たちをはじめとしたハイエナのごとき規制緩和論(=自分たちのフィールドへの有利な引っ張り込み)。◇彼らの思惑を隠す作用しか果たさぬ<ワークシェアリング>論など軽々に信用すればまたまただまされるということを、今度こそわれわれは肝に銘ずる必要がある。

◇すぐ持ち出されるオランダのワークシェア。インフラの整っていない日本社会へ即刻導入可能のように装おうたって、そうは問屋が卸さない。◇まずは調子のいい<名辞>にだけは引っかからない!彼らのオレオレ詐欺的甘いささやきはすべて疑ってかかる!スタートはそこからだろう。

◇コトバなんかじゃなく、現実に分け入るところからしか解決策は見つからないのだから。◇運動もせず、カロリー制限もせずにサプリメントで即効性あるダイエットをだって?◇一見遠回りにみえても、日本社会の実態改善から取り組む。まさに<急がば回れ>だ。

★★風力発電、近所で頭痛・不眠 環境省、風車の騒音調査
asahi.com・09.01.18

◇<風力=地球にやさしい=エコ>。これもまた<名辞>の詐術であることはIFSA通信ですでに指摘した。

◇「新エネルギーとして期待されている風力発電所の近くで、頭痛やめまい、不眠などの体調不良を訴える住民が増えている。原因は解明されていないが、風車から出る音が関係していると考えられており、環境省が調査に乗り出した」。

◇「騒音を測ってもらうと、低周波音で家が振動しているのが分かった」。

★★関空路線、国内・国際で減便相次ぐ 成田への集中進む
asahi.com・09.01.18

◇こんなことは開港当初から分かっていたことでありながら二期工事まで突き進み、本四連絡橋・東京湾アクアライン同様の惨状へ。◇そして燃料高騰や国際金融危機がその本質を一層あぶり出した。

◇たとえば、<★★日航と全日空、関空国際線の減便を検討 財界は存続要求・asahi.com・08.07.15><★★関空に寒風 燃油高響く冬ダイヤ、運休・減便相次ぐ・asahi.com・08.11.10>等、話題にはことかかない。◇トヨタの主体的参入で優等生に見えた中部国際空港も、過剰公共投資の正体をあらわし始めた。

★★中部空港 相次ぐ路線減 新規開設 追いつかず
「負のスパイラル」懸念も
YOMIURI ONLINE・09.01.27

◇「中部空港の国内線と国際線を合わせた航空旅客数は、統計値が出ている08年11月まで9か月連続で前年実績を下回っている」。◇「世界同時不況で世界的な観光需要の落ち込みとビジネス客が減少するなどしたためだ」。

◇「中部国際空港会社は2009年3月期決算で連結経常赤字に転落する見通しで、業績回復と2本目滑走路建設に向けた道のりは一層険しいものになりそうだ」。◇こんな状況下で静岡空港の開業ときたもんだ。それでも強行した現静岡県知事に個人的弁済を求めるのがスジだろう。

《IFSA好みの欄外あるいは論外記事》

★★【ドラマ・企業攻防】東京「ホテル・ウォーズ」第2幕
シャングリ・ラ上陸も「外資vs国内勢」の攻守逆転
MSN産経ニュース・09.01.18

◇東京の異常な風景といえば、とんでも規制緩和による超高層ビルの乱立。そのオフィスタワー?へ決まって入るのが、外資系ホテルだった。しかも法外に高い宿泊費。◇だがこのアブノーマル現象にも急ブレーキがかかっているらしい。何ともすっきりする産経の記事ではないか。

◇「シャングリ・ラ東京をはじめとする外資系高級ホテルは、都心の再開発計画の目玉と位置づけられ、空前の開業ラッシュが続いてきた」。◇「規制緩和によりオフィスビルに宿泊施設などを併設すると容積率が割り増しになるため、デベロッパーが競うようにホテルを誘致した」。

◇「ただ金融危機で外資系のお得意さまである外国人ビジネス客が激減する一方で、国内の老舗ホテルが、ここぞとばかりに巻き返しに打って出ており、攻守が逆転した」。◇「生き残りをかけた『外資vs国内老舗』の顧客争奪戦の激化は必至だ」。

◇「外資系にとっては、世界的にデフレが進行し、消費者の節約志向が強まるなか、これまで武器にしてきた”高級”が、逆に弱点となる」。

◇「浮き沈みの激しい”バブリー”な欧米金融機関のビジネスマンを主要顧客としてきた外資系とは異なり、おなじみの固定客が多いことに加え、節約志向で海外旅行から国内旅行への回帰が進んでいることも(国内老舗ホテルにとっては-筆者註)追い風で、不況の影響は外資系に比べれば比較的小さい」。

◇産経の記者は実にていねいに報道してくれている。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年11月 5日 (水)

IFSA・週なか掲載=かなり気になる、先週の <ベタ扱い>的重要記事(08.11.02現在)

★★麻生vs北海道新聞女記者
・・・連夜の豪遊批判に激怒
ZAKZAK・08.10.22


◇首相なんだから、どんな高いところで食事をしようが酒を飲もうが勝手にどうぞの世界で、こちらの知ったことではない。◇へんに格好をつけ、大衆的なところで飲んだからといって、<庶民派>に変身するものでもない。そんなこと、してもらう必要もない。◇ただ現代の政治というのは、一般大衆(=マジョリティー)の<生活>を知らずしてできるものでないことだけはたしかだろう。

◇なぜなら戦前とはちがって現代の<政治>は、一部特権階級の独占物や上からの<施し>ではないゆえ、大衆社会と位相を同一にしないかぎり成り立たないようになっているからだ。◇国のトップがたとえ大金持ちだろうが旧貴族の出身だろうが、政(まつりごと)自体は大衆社会内のそれでないかぎり存在しえない。◇その程度までには日本の民主主義も成長してきたとはいえよう。

◇それを考えるとき、九州の財閥だからといって責められる必要はさらさらない麻生太郎!となろうか。◇しかし、大衆の生活諸相を知らないでいいということにはならない。◇だから、プロレタリアートがブルジョアジーを弾劾するような古典的方法によってではなく、<そんな雲の上の生活ばかりで政治などできるの?>くらいのちょっかいを出したとて何ら不自然なことではない。◇大いにからかってあげれば結構!といえよう。

◇今回の勇気ある、もしくは記者クラブ的にはKYな道新の女性記者(=何とZAKZAKは<女記者>ときた。お里が知れないだろうか!)がどんな意図で聞いたかは別にして、「『1晩で何万円もするような高級店に行っているが、庶民感覚と懸け離れている』」の意見をぶつけたこと、IFSAはエラかったと評価する。◇大手報道機関の政界べったり記者にはとうていなしえない新鮮さ。それだけでもgood!ではないか。

<★★投げ出し・福田の”本性”を暴いた記者の”正体” 「あなたとは違うんです!」の「あなた」・ZAKZAK・08.09.03>をご記憶の読者も多かろう。◇「『”ひとごとのように”とあなたはおっしゃったけどね、私は自分自身のことは客観的に見ることができるんですあなたとは違うんです!』。福田首相は1日の辞任会見の終了間際、国民注視の生中継ということも忘れて気色ばんだ」。

◇「この答えを引き出したのは、広島県の『中国新聞』の男性記者(37)が質問した『総理の会見が国民にはひとごとのように聞こえる』という言葉だった」。◇官邸詰めのベテラン政治記者にはない素人っぽさというかパラダイムの違いに、福田首相も思わずプッツンし、本年度流行語大賞にもノミネートされかねない迷言を暴発させてしまった。

◇これはまた、準大手・産経新聞配下のZAKZAK(=タブロイド紙・夕刊フジの電子版)をして以下のように言わしめる快挙だった。◇「『他人顔』とも揶揄された福田康夫首相を、辞任会見の最後の質問で切り崩した地方紙記者に注目が集まっている。首相は激怒したものの、官邸記者特有の”間合い”にとらわれない乾坤一擲(けんこんいってき)の質問は、首相の”素”の部分を引き出した」。

◇この中国新聞若手記者は、「官邸のほか、永田町の各記者クラブも掛け持ちしているため、いずれのクラブにも滞在時間は短く、官邸担当だった全国紙記者も『1度も見たことがない』というほどの存在感だ」。

◇今回の麻生ぶち切れもこれと類似し、つまらなぬ言い訳&逆ギレを披瀝(ひれき)するに至る。◇「『例えば、安い所に行ったとしますよ。周りに30人の新聞記者がいるのよ、あなたも含めて。警察官もいるのよ。”営業妨害”って言われたら何と答える? 今聞いてんだ。ふふふ』などと、得意の逆質問をまくし立てた」。◇一国の首相が記者をつかまえてのゆとりのなさ。格の違いを見せつけるべき場面でサ。

◇しかし麻生太郎、いったい何を言っているんだろう、営業妨害うんぬんと。◇こんな言い方は、ホテルじゃどうも座りが悪い、神田や新橋の飲み屋じゃなきゃ調子が出ない、しかし立場上・・・・・・・といった人間がのたまうセリフだろう。◇行ったことすらない、または行木もない居酒屋を例にあげての反論?実に小ざかしい。

◇どこで飲もうと、国民の琴線に触れる政治をすりゃいいんでしょう!まかせといてよ!くらいのソフトなぶち切れをしてみたら、まったく。◇情けないったらありゃしない。

◇程度が低い、品がない、ウイットもない、気位だけは高いじゃ、もとより支持率などお呼びでない。◇コイズミほど天性の役者魂があればまた別だが。

★★株価最安値更新に首相「一喜一憂しない」
民主は一斉に政権批判
MSN産経ニュース・08.10.28

◇「(前略)衆院議院運営委員会の川端達夫民主党筆頭理事は、麻生首相が同日昼の記者団とのぶら下がり会見で、東証の前場(ぜんば)のことを『マエバ』と言い間違えたことを踏まえ、『”マエバ”といって、(首相が自身を)経済のプロだと言っていたのがハッタリだとばれてきたのではないか』と皮肉った」。

◇<ラグビーの選手が勢い余ってマエバを折った>じゃあるまいに。◇それとも、証券業界の符丁に<マエバ>があるのだろうか。ちなみに、野村證券のHPでは「ぜんば」となっている。

◇オレはそこいらの首相とはちがい、経営者をやってきた実業を知っているだから経済を肌で分かる麻生。◇社内の階梯(かいてい)一歩ずつ。そんなことすら体験したことのないボンボンが、ちょっとだけ社長のいすに座った。よって実体経済はばっちり。◇メッキがはげたどころか、最初からメッキすらのっていないというべきなのだろう。

★★記者の目:グルジア軍事介入で非難浴びるロシア
=飯島一孝
毎日jp.・08.09.12(A)
★★グルジア:開戦責任問う声強まる 反露結束に亀裂
毎日jp.・08.10.15(B)

◇「ロシアがグルジアに軍事介入し、非難を浴びている」。◇「今回の紛争で責められるべきはロシアだけだろうか。ソ連時代を含めてロシアは必要以上にバッシングを受けてきたように思う。ソ連崩壊前からロシアを取材してきた記者として、ロシア・バッシングに異論を唱えたい」。

◇エエッ?と思う読者も多かろう。しかしいまやあの冷戦期ではない。◇記者の飯島一孝、かつてのような中ソシンパの進歩的知識人目線から主張しているのでないことだけはたしかだろう。◇だからこそ、グルジア情勢にはさっぱりうといIFSAも目を引かれた。

◇「今回の紛争の経過をざっと振り返ると、8月8日の北京五輪開会式にあわせて南オセチア自治州を武力攻撃したのはグルジアだった」。◇「これに対し、ロシアが反撃した形だが、グルジアのサーカシビリ大統領の巧みなメディア戦略もあって、『悪者はロシア』という流れができてしまった」。◇「ロシア軍が停戦合意後もグルジア領内に駐留を続けていたことが、それに拍車をかけた」。

◇「日本のマスコミの一部にも、ロシアを悪者にすれば世論が喜ぶと思い込んでいるフシがある」。◇「そうした風潮が続くと、ロシアをみる国民の目が曇らされていく恐れがある」。◇そう、これはどうも米国とロシアの代理戦争であるらしい。◇しかもこの小国グルジアは、米英に次いで多い兵隊をイラクへ送り込んでいるというではないか。◇何も知らないIFSAでさえ、うん待てよ、という気にはなってくる。

◇「(前略)米国は表向きロシアを戦略的パートナーと持ち上げながら、国際安全保障上の重要問題については、ロシアの意見を聞かずに決定し、実行に移している」。◇「NATOの東方拡大しかり、東欧へのミサイル防衛システム設置計画しかりだ」。◇「こうした米国の『単独行動主義』にロシアは『無視された』と不満を募らせていた」。◇こんなところにまで米国お得意の<単独主義>が登場しようとは。

◇記事の結びで飯島はこう書く。◇「ロシアを過大評価するのはよくないが、過小評価するのもよくない。ましてわが国は隣国であり、未来永劫(えいごう)付き合っていかなければならない関係にある。互いに尊敬できる付き合いを追求することが、いま一番大事なのではないだろうか」(上記はすべて(A))。◇やはり思想は毎日毎日錬磨していかなければいけないな、惰性はヤバイなと教えられる「記者の目」であった。

◇そういえば、コイズミに唯一楯(たて)突きクビを切られた元駐レバノン大使の天木直人が、こんなブログを書いていたっけ。◇題して<★★グルジアのサーカシビリ大統領はくわせもの・天木直人のブログ・08.08.12>。◇興味のある方はご覧いただきたい。

◇この約1カ月後、同じ毎日新聞に(B)の記事がのった。◇「ロシアのグルジア侵攻から2カ月が経過し、反ロシアで結束していたグルジア国内にサーカシビリ大統領の開戦責任を問う声が強まってきた」。

◇「親欧米派の大統領は求心力を高め、戦闘終結後は『我々はロシアに勝った』と宣言した。しかし、ロシアがグルジアからの独立を主張する南オセチアとアブハジアを国家承認したことを受け、グルジア国内には『両地域を事実上失った』との敗北感が漂う」。

◇「今月1日、ブルジャナゼ前国会議長は今回の紛争に関する『43項目の質問状』を政府に突きつけた」。◇「『ロシア軍との軍事衝突はなぜ避けられなかったのか』『だれが紛争の政治的、軍事的、経済的結果に責任を負うのか』など政府を厳しく追及している」。

◇やはり表からだけの情報を鵜呑みにするのは危ない。しかし単なる裏読みもまた。これは国際関係問題にかぎらぬ鉄則だろう。◇そういえば、ワイドショー知識人がこの世の終わりのごとく、しかもずっと以前から心配していたかのごとく大騒ぎしたチベット問題。いったいどうなったんだろう。◇マスコミが取り上げなければ、はや関心外。彼らはいつも最新の情報にだけビビッドに反応し、それを食いつぶしていく。

★★【主張】新銀行東京 不正融資は氷山の一角だ
MSN産経ニュース・08.10.30

◇<新銀行東京の最近>に関し、まずは各紙のタイトルだけを引用してみよう。

<★★新銀行東京の融資、違法手数料15%要求し
 ブローカー横行・YOMIURI ONLINE・08.10.26>
<★★新銀行東京5000万円不正融資
 ・・・詐欺で元行員ら7人逮捕・YOMIURI ONLINE・08.10.27>
<★★焦げ付き、さらに3600万円
 新銀行東京不正融資事件・asahi.com・08.10.28>
<★★新銀行東京:金融庁が行政処分を検討
 不正融資事件で・毎日jp.・08.10.28>
<★★新銀行東京、逮捕の元行員が別融資でもリベート
 ・NIKKEI NET・08.10.28>
<★★新銀行東京 ブローカー暗躍・TOKYO Web・08.10.28>
<★★社説:新銀行東京 このまま存続していいのか
 ・毎日jp.・08.10.29>
<★★新銀行東京 不正融資の背景
 甘い審査 群がる悪意・TOKYO Web・08.11.02>

◇とにかくすさまじい。◇この<石原銀行>がかかえる大問題つき、今年(08年)の3月末から4月初旬、IFSAは<★★都営・石原銀行アーカイブズ=この集成、近々再注目間違いなし!とIFSAは予想>を3回にわたって連載した。◇ほとんどをそこで語り尽くしたから詳述は避けるが、IFSAの予告どおりいよいよひどさが露出してきた。それも、ブラックマターを随伴しながら。◇首のまわりがすーすーする政治家もおそらくは相当数いると思われる。

産経新聞が言う。「経営難に陥っている新銀行東京から融資金をだまし取ったとして、元行員や融資先の元暴力団組員らが詐欺容疑で逮捕された。この事件は氷山の一角だ」。◇「この事件以外にも複数のブローカーがいるといわれ、都議らに融資の口利きを依頼していたケースも伝えられている」。◇「(前略)その際、金融危機に乗じて、公的資本注入を受けて、さらなる延命を図るようなことは決して許されない」。

◇しかしm慎太郎都知事のオドオドヨイショ息子に言わせるとこうなる。「(前略)自民党の石原伸晃幹事長代理は新銀行東京が対象となる可能性について『法律の中には銀行に区別はない』と説明」(★★「新銀行東京対象なら大問題」 金融強化法改正巡り菅氏・asahi.com・08.10.26)。◇そりゃパパにどやしつけられちゃうから、そう言うでしょうね。

◇ところでこの経済情勢下、というよりその前から、東京五輪などとんでもはっぷんとIFSAは言ってきたが、都知事以下はますますやる気のよう。◇都民の支持はもともと少ないものの、国民は依然として支持しようというのだろうか。

◇山谷なら300円で泊まれるのに何でわざわざネットカフェなんぞへ?のトンテモ発言に向け書かれた毎日新聞記者の意見のなかに、こんなくだりがあった。◇「今春から都庁を担当しているが、石原知事の『東京には財政力がある』という発言を何度か耳にした(★★記者の目:「山谷なら300円」発言に見る石原都知事=市川明代・東京社会部・毎日jp.・08.10.30)

◇なるほどこれか。すべての根は、このずれまくった認識というか誇りにあるのか。その延長線上でオリンピックも、となるに相違ない。◇他人のカネなら何とも思わない男の心性が見事にあらわされている。◇富裕に見える東京だっていつ財政再建グループに入らないともかぎらないのに。

《IFSA好みの欄外あるいは論外記事》

★★「ハイエース」窃盗団逮捕
300台以上の自動車盗難に関与
TOKYO Web・08.10.28

◇たしか今年の3月にも同種の記事があったが、泥棒たち、トヨタの商業車・ハイエースにここまでこだわるのには理由がある。◇何といってクルマのモチがいい、それは外国でも有名、ゆえに海外からの引きが多い。◇日産のキャラバンはどこがどう不人気なのか、IFSAとしては聞いてみたい。

◇とんでもない犯罪のむこうから、日本車の思わぬ側面が見えてくる。◇それにしても、ハイエースのユーザーがリスクを負わねばならぬとは。たまったものではない。

★★薬物:白金、麻布が汚染
延べ2万人に売ったイラン人逮捕
MSN産経ニュース・08.10.30

◇「調べに対し、ザルバリ被告は容疑を否認しているが、4人は『ザルバリ被告の指示でやった』と供述、『日本人は金があるし真面目に払うからやりやすかったが、こんなに薬物を買う人がいて日本は大丈夫かと心配になったと話しているという」。

◇大きなお世話とはいえ、このアイロニーにはほとほとまいる。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年8月15日 (金)

IFSA・週なか掲載=かなり気になる、先週の <ベタ扱い>的重要記事(08.08.10現在)

★★麻生幹事長:早くも舌禍 「ナチス発言」に鳩山氏猛反発
毎日jp.・2008.08.04(A)
★★発信箱:本音・建前・・・失言=与良正男(論説室)
毎日jp.・08.08.14(B)←<日付先取り分>


◇「自民党の麻生太郎幹事長は4日、就任あいさつやテレビ番組収録などに追われた。この中で、国会内で会談した江田五月参院議長に『民主党が政権を取るつもりなら、ちゃんと対応してもらわないといけない。ナチスドイツも国民がいっぺんやらせてみようということでああなった』と発言」(A)。◇外相時代の「アルツハイマーの人でも分かる」のトンデモ放言を知るわれわれとすれば、ああまた彼流の<ホンネ>が始まったと思うだけのことだが。

◇問題は、人格・教養・知性とも拙劣きわまりないこの程度の人間を大好きになってしまう日本人のほうだろう。◇<官僚的でなく破天荒っぽければ何でもいい!>。◇官僚への根深いコンプレックス(+)いつもまわりばかりをおもんばかり、はっきりとモノを言えない自分自身への負い目。それらが麻生的な人物を持ち上げさせる。◇まさに代償行為そのものといっていいだろう。

◇毎日新聞論説委員の与良正男は、上記コラムにおいてこの麻生発言(+)例の太田誠一農相発言(=「(食品の安全に関し-筆者註)日本国内は心配ないと思っているが、消費者がやかましいから徹底する」)を取り上げるが、ポイントはむしろ以下の部分にありとIFSAはとらえる。

◇「(前略)建前を言うのは偽善的で、ともかく本音を語るのがいいことだ、あるいは分かりやすくておもしろければ、それでいいといった風潮が社会全体で強まっているのも気になる」。◇「思ったことを、ずけずけと話す。恐らく、麻生氏の『国民的人気』も、それが大きな要素なのではなかろうか」(B)。

◇そう、あのコイズミも麻生も、もともとが軽くて薄っぺらなキャラが幸いし?あることないこと軽妙かつざっくばらんに話す。◇それが国民の琴線に触れ、庶民の心を分かってくれる御仁と勘違いしては高い評価を与えてしまう。◇その効用を知悉(ちしつ)するコイズミ・麻生は、ますます図に乗って国民のコンプレックスにつけ込む。◇その悪循環が繰り返され、頂点にまで上り詰めたのが、世紀のコイズミ劇場だった。

◇そして宴の後は、ご存じ前代未聞の疲弊状態。自業自得の展開というしかない。◇しかし肝心の当事者は、双方ともにその自覚がない。だから、加害者も被害者もいない。◇あるのは荒らされまくった社会だけという不気味な構図である。

琉球新報(08.08.02)<金口木舌>なるコラムで書くように、「国民に人気のある麻生太郎氏を党幹事長に起用した。”人気取り”のつもりなら、有権者を見くびるなというほかない」などと楽観していいものか。◇これなどは、<進歩的知識人の悪いクセ>丸出しの見本といえよう。◇あのコイズミ大明神からは、5年以上にもわたってやすやすと見くびられ続けてきたというのに。

◇中身や思想などより、語り口や身ぶりこそがすべて。それがもたらすカタルシスこそがすべて。◇最後までコイズミマジックが見破られない背景はそこにあった。

◇そんななか、客観的でいられる海外メディアはさらっと本質を伝える。ロイター通信がこう言っている。◇「『国家主義者』で知られる麻生氏の登場で、中国や韓国などの離反を招く危険があるとして、福田首相にとっては『ギャンブルだ』と(ロイターは-筆者註)指摘した」(★★内閣改造:麻生幹事長起用をギャンブルと指摘 英メディア・毎日jp.<共同>・08.08.02)。◇残念ながら、ここまでずばっと表現できる大マスコミは、日本にはない。

◇それどころか、<超国家主義的>要素を含む安部晋三内閣が短命に終わって落胆に暮れる読売新聞産経新聞は、麻生登場こそ好機とばかりウキウキし始めている。◇<★★【主張】福田改造内閣 一丸で危機を乗り切れ 保守カラーの鮮明化に期待・MSN産経ニュース・08.08.02>など、タイトルからだけでも言いたいことが忖度(そんたく)できよう。◇予想どおり、こんな調子で・・・・・・・。

◇「首相と幹事長は、海自の支援活動の中断・撤退は国際社会の責任を果たすことにならないと強調したその通りだ。(それに懐疑的な-筆者註)公明党は政権を担う責任を自覚してほしい」。◇「外交政策で自由主義を掲げる麻生氏により保守カラーが鮮明になることを期待したい」。

◇そうした麻生を、イデオロギーの違う福田康夫首相が三顧の礼で迎えた。◇テレビ会見で思わず、幹事長の「麻生センセイ」にはなどとヨイショしちゃったりして。◇政権維持のため、対極にある人間だろうが何であろうが、利用できるものはというところなのだろう。◇だからこそ、以下のような記事がガセネタ視されることなく活きてくる。最終段階で国民的人気のある?麻生へ総裁・総理の座を譲り、その場で即解散・総選挙というシナリオが。

◇(1)<★★薄氷の再出発(下) ささやかれる「禅譲密約説」の真偽は? 不満くすぶる上げ潮派 守旧派もむくむく・MSN産経ニュース・08.08.03>。(2)<★★【政論探求】「密約」はあったのか 「麻生幹事長」決定は「大福密約」の再来?・MSN産経ニュース・08.08.05>

◇福田内閣誕生の唯一のメリットは、コイズミ-安部と続いた超右傾化路線へブレーキをかけたこと。当IFSA通信はかつてそう書いた。◇たしかに、あれだけ先鋭化していた憲法改正問題や靖国問題は、まるで火が消えるように沈静化し、いまやマスコミもほとんど取り上げることはない。◇IFSAにとっては結構なこととはいえ、何とも現金なものだ。最高権力者の意向ひとつで、日本という社会の全体がコロンコロン変わるんだから。

◇しかもそこには、弁証法的プロセスも何もない。ただ知らないうちに雰囲気が一変するという現象があるだけ。◇だから万一(=本当の意味で万一)、麻生のような人間が首相にでもなろうものなら、社会は再度右傾化へ急旋回する。何のリクツも脈略もなく、雰囲気だけで。◇いまだ成熟できない<民主社会>といわれるゆえんであろう。

★★300万円まで非課税に
麻生氏、株式配当で
ZAKZAK(共同)・08.08.09(C)
★★麻生幹事長:黒字化目標先送り論
政府・与党内に波紋
毎日jp.・08.08.05(D)

◇すでに麻生が出張ってきている。◇しかしその内実はというと、「景気対策として株式投資を拡大する必要性を指摘、300万円以下の株式配当を非課税にすべきだ」とか「税制で貯蓄から投資への流れに切り替える。日本中の株が上がることを考える」(いずれも(C))式のお粗末なものばかり。◇過去から何も学んでいないのが歴然で、これでは、サメのなんとかと評された森喜朗元首相のほうがまだマシと見えてしまう。

◇麻生の件はともかく、第二次福田内閣の迫力のなさたるや、第一次時代からさほど変わらない。◇中国国内で毒餃子による被害者が出ていた、中国政府はその事実を洞爺湖サミット直前に日本政府へ伝えたという読売新聞のスクープ。◇あわてまくった政府は、いかにごまかすかに腐心するが、その方法がこれまた稚拙で話にならない。◇ZAKZAK(08.08.07)<★★隠蔽問題、福田官邸主導か・・・中国製毒ギョーザ事件>にて指摘する。

◇「町村信孝官房長官は同日の会見で『事実無根』と否定したが、『官邸から”この件は掘り下げるな”と指示があった』との報道もあり、官邸主導の隠蔽工作や情報操作が行われていた疑いは強い」。◇「福田首相は6日朝に新聞記事を見て、『へー、知らなかった』と周辺に語ったとされるが、胡国家主席のメッセージを途中で握りつぶせる者が政府内にいるのか」。

★★景気後退局面、政府が事実上認める
・・・月例経済報告
YOMIURI ONLINE・08.08.07

◇IFSAはいやになるくらい何度も言ってきた。◇本当の意味での好景気など全然なかったという現実をひとまずおくとしても、現時点での景気急降下すら認めようとしない政府っていったい何なんだ!と。◇しかし与謝野馨の入閣で、以下の程度くらいには動き始めた。

◇それでもまだ、「前月までの『足踏み状態』から『弱含んでいる』との表現に改めた」というのだから、笑うしかない。◇与謝野の表現を借りれば、「踊り場状態から曲調が変化した」だって。よくもこんな言い回しを探してくるものだ。◇最後に読売新聞は書く。「それでも回復局面は70か月前後続いたことになり、57か月のいざなぎ景気を抜いて戦後最長の回復となることは確実だ」。

◇与謝野も読売も実に白々しい。1965-70年の高度成長(いざなぎ)と比べて何になる。◇だが、分かっちゃいるけどやめられない。これが日本の知的現実なのだ。◇これまでの誤りを認めるのは大臣・官僚・大マスコミともプライドが許さないから、メンツを保つ方策に知恵を絞る。◇この手の小ざかしさをもって<能吏>というと、日本では相場が決まっている。

◇これらに関し、IFSAの好きな毎日新聞江戸っ子記者、専門編集委員の牧太郎が、<★★牧太郎の大きな声では言えないが・・・:私はウソを申しません・毎日jp.・08.08.05>でこう憤っていた。

◇「内閣府が今年度の成長率見通しを実質ベースで2.0%から1.3%へ、名目ベースで2.1%を0.3%へ下方修正しているのに、大田弘子・前経済財政担当相が『アメリカの経済が持ち直すにつれ、日本経済も速やかに回復する』(7月14日)と発言したのには『ウソも休み休みにしろ!』と怒りまで感じた」。◇「(失礼だが)あんな可愛い顔をした(??-筆者註)女性大臣が平気でウソをつく。即座に内閣改造してくれ!と思った」。

★★暑すぎて仕事効率低下も
・・・クールビズ28度の疑問噴出
ZAKZAK・08.08.06

◇「(前略)冷房の設定基準温度とされる『28度』に疑問の声が噴出している」。◇「科学的な根拠はなく、専門家は『パンツ一丁にならないと快適さは得られない暑さ』と指摘、暑すぎて『仕事の効率が下がる』と弊害を指摘する研究結果も出ている」。

◇「設定基準温度は義務ではないが、横並び意識の強い日本人。大手企業を中心に28度を守っている会社は意外に多い」。◇「『「設定温度を守る拠点ではみんな汗だらだらで仕事しています。見ていてかわいそうになりますよ』(大手食品メーカーの女性社員)」。◇「日本建築学会によるクールビズのオフィス環境への影響に関する調査では、軽装でも室温が25度から1度上がるごとに作業の効率は2%ずつ低下」という。

◇「クールビズの源流は、関西の自治体や経済団体で構成する『関西広域機構』が99年に始めた『エコスタイル運動』にさかのぼる」。◇「同機構の広報担当者は『環境相就任直後に視察にこられた小池(百合子-筆者註)さん”それ、いいわね”と気に入っていただき全国に広まったんです』と自慢げに説明する」。

◇ありそうな話ではないか。クールビズをベースに首相を狙うってか?冗談よしこさんの世界だろう。◇とはいえ、ZAKZAKにおける一連のユニークな問題意識には敬意を表すばかりである。

★★諫早干拓、調整池のアオコから強い毒素
熊本の教授報告
asahi.com・08.08.07


◇今年、この目で諫早を実際見てきたIFSAにとっては、むべなるかな。◇とにかく、構想自体があまりにひどすぎるのだ。しかもそうした計画自体、日本社会にあっては<普遍的>であり、コト諫早の特殊性ではない。◇だからさらに救いがたい。

《IFSA好みの欄外あるいは論外記事》

★★文字とおり”性豪”?!
オーストラリアで性の祭典
ZAKZAK・08.08.08

◇これ以上付け加えるものはございません。IFSAはこういうのが大好きというだけのことです。◇なお、タイトルの<文字どおり>は、何度見ても<文字おり>になっていました。

★★テレビ朝日・サンデープロジェクト(08.08.10)

◇例の秋葉原無差別殺人事件の加藤容疑者に関しアナウンサーが、「(青森-筆者註)県内で<いちばん優秀な高校>を卒業」と経歴紹介。◇そんな言い方に違和感を覚えるのはIFSAだけだろうか。(敬称略)

★★[IFSA]★★阿部道生

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2008年8月 9日 (土)

当今珍しく気骨ある読み物に出会い、うれしくなる=網野善彦・副田義也・外山滋比古(下)

◇このシリーズの(上)では歴史学者の網野善彦(中)では社会学者の副田義也を取り上げた。◇そして本日は、英文学者で評論家の外山滋比古へ。

◇その前に、網野善彦に関する注目すべき言及を見つけたので紹介しておきたい。◇トイレに置いては拾い読みしている岩波書店の広報月刊誌『図書』(=この超濃い中身で年間1000円・送料込は、いまどき最高のCP!)の2006.09号に、歴史学者の村井康彦「宮都の風景」と題して書いている。

◇「島国(論)といえばすぐに想起されるのは故網野善彦氏の一連の業績であり提言であろう」。◇「氏は、わが国は大陸との交流が盛んであり、日本の社会を島国という立場で見ることの誤まりを指摘し、強調され、従来の理解を大きく改められた功績はまことに大きい」。◇「しかし交流がいかに盛んであっても、島国であることと地続きであることの間には決定的な違いがある」

◇「氏も批判された戦前の偏狭で独善的な島国論(それに基づく日本文化論)は論外であり、それに戻るというのではない」。◇「しかしわが国が島国であることは厳然たる事実であって、その事実に基づかない議論では困るのである」。◇「島国であることの地政学的検討、あるべき島国論の構築が求められているのではなかろうか」。

◇こういうバランスの取れた視点をこそ、actualな姿勢というのではないかとIFSAは考える。◇網野・村井両者に漂うこの緊張感。ここから学問的パトスを<扇動>される人は、IFSAも含め大勢いよう。

◇では本日のテーマへ。毎日新聞・夕刊(08.07.25)に外山のエッセー(「晴れても降っても 素白の骨頂は散歩にあり」)があり、私は<散歩>の部分に引かれてこれを読んだ。◇氏称賛の岩本素白『東海道品川宿』(ウェッジ文庫)は早速購入するとして、うれしくなったのは以下のような個所である。

◇「ゴミゴミしたところはつまらないから、思い切って皇居のまわりを歩くことにした。途中まで地下鉄で行く。六カ月定期をもっている。これだと休みにくくなる」。

「もともと日本には歩く趣味がなかったのであろうか。旅行記はすくなくないが、散歩逍遙(しょうよう)の文章は多くない」。◇「外国をまねて哲学の道はつくったものの散歩の哲学は生まれなかった」。◇「いったいに日本の文章には灯火書巻の気がただよっていて流動に欠けるところがある。学者、文人は出不精が多いのだろう」。

◇外山滋比古といえば、08.03.21の毎日新聞・夕刊「思考は忘却から始まる」も刺激的だった。彼の著作を1冊も読んだことのない私も、爾来(じらい)、外山の言動には注意を払うようになった。◇異彩を放つコトバを引いてみよう。

「知識と思考力は比例しない。少なくとも、合力にはならない」。◇「あまり本は読んじゃいけないと考えたんです。本を読みすぎると、どうしてもその知識を借りたくなる。知識がなく、頭が空っぽであれば、自分で考えざるをえなくなります」。◇「どうせ読むなら、賞味期限を過ぎた15年も20年も前の本とか、場合によっては、誰が書いたかもはっきりしないような中世ヨーロッパの古典なら、そこから知識を借りることも少なくなります」。

◇「一番いい例が赤ん坊です。(中略)それは(=たった3年ぐらいでのでコトバの獲得は-筆者註)、ただのまねではなく、考えながら覚えているんです。だから教わらない言葉もちゃんと話す」。

◇記者からの「思考力を養うには?」の質問に対しては、「忘却です」。◇「あまり役に立たない、むしろ有害な知識を忘れること」。◇本質を突いたいいことを言ってくれている。

◇また、「昔は、ものを書くことが一番、頭が活動すると思っていたけれど、そんなことはない。しゃべったほうが、はるかに頭の回転は早くなります」とも。◇IFSAなりにこれへ付け加えれば、<歩いたほうが>も。

◇最後に余計な事実をひとつ。◇生年でいえば、故・網野善彦は1928年、副田義也は1934年、外山滋比古は1923年。◇いずれも70歳を超える人たちの怜悧(れいり)な頭脳と豊かな批判精神&闘争心。これは偶然とはいえないだろうとIFSAは思ってしまう。

◇ある意味で功成り名遂げた人たちが、この年齢にいたってもいまだ問題を提起し続ける。いやもっと言えば、コトを荒立てる。高齢者にありがちな日本的境涯なる美徳にはひたらない。◇何ともしびれるではないか。

◇さて、ここのところ暑くて湿気の多い日が続いている。当IFSA通信はついつい長くなってしまうから、今日はこのくらいにしておこう。◇外山滋比古先生にならい、夕方涼しくなったら庭の木々に水をやり、それから散歩へ出かけるとするか。◇いや、またの雷雨で水やりは不要となるか。

◇「思いついたことを街灯の下でメモしたりする。泥棒の下見とでも見えるのか、パトカーがうるさくつきまとう」という外山同様、横浜・金沢文庫の山あいを日が落ちてから散歩する私は、いつも妻から忠告される。「誤解されないようにしなさいよ、こんな時間なんだから」。

◇だからわざわざ、ばかでかい懐中電灯を手に持ち、向かいから人が来るやわざとらしく路上を照らしては<自警団>兼務のような顔をし、他意のない散歩をアピールしつつ早足で歩くのだった。◇ご時世とはいえ、うっかりブラブラ歩きもできやしない堅苦しさよ。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年8月 2日 (土)

当今珍しく気骨ある読み物に出会い、うれしくなる=網野善彦・副田義也・外山滋比古(中)

「当今珍しく気骨ある読み物に出会い、うれしくなる=網野善彦・副田義也・外山滋比古(上)」では、もっぱら網野善彦のみを論じた。◇私が網野から受けた思索的刺激は計り知れない。◇そのひとつを紹介すれば、日本の農民とは単なる従来概念の<農>民ではなく、IFSA流翻訳では<トレーダー>、地域によっては<海民>までをも兼務、そんな存在なのだと網野は当然のような顔で言っていたように思う。

◇たったこれだけの網野的ブレークスルーでも私には十分すぎるほどであり、それ以降の展開は自分で考えよ、自分で切りひらけとハッパをかけられているような気にさせられるから不思議だ。

◇網野に対するアカデミズムサイドのシャクの種とは、実のところそういった点にこそ存するのだろう。◇結果として素人ウケを引き起こす<アジテーター・網野>こそが問題なのだと彼らは憤る。というより、歯がみする。◇しかしそれならば、文献の引用ばかりでなく、きちんと自説を展開してみろよ、中途半端な学者センセイがた。網野はそう言っているようだ。

◇このインターネット時代、資料検索など学者の独占ではなくなってきている。◇だから、海外文献の先取りだけで商売をしてきた学者たちもいまや開店休業状態で、危殆(きたい)に瀕しているのだ。◇なのに、引用文献欄の分厚さでいまもって論文を権威づけようなど、フテエ連中ではないか。

◇真のイミでのアカデミズムの学者は、古色蒼然たるスタイルで自身の対象と向き合っているもの。それならそれで大いに意義がある。◇IFSAが問題にするのは、中途半端な<政治的アカデミシャン>なのだ。そしてこういう人間が学問の世界の多くを占め、勢力を張っているから救いがたい。

◇さて本日は、社会学者の副田義也から始めよう。◇われわれ若いころの副田といえば、東京女子大に在籍する研究者というか評論家で、マンガ論を主とするアウトサイダー的存在としてしか映っていなかった。◇しかし最近、日本社会学会から年4回送られてくる『社会学評論』のVol.59(2008-1)をティータイムにぱらぱらっとめくっていてぶったまげた。

◇書評論文の欄で社会学者の筒井清忠「副田義也著『内務省の社会史』を書き、それに呼応する形で著者の副田義也自身が「『内務省の社会史』書評論文リプライ」を物するのを見、目からウロコというか、いろいろな点でガツンときたからである。◇長らくごぶさたするうちに副田ってこんなにも違う分野へ船出していたのか、それも60歳を過ぎてから本格的に。◇いい意味でこれはショックだった。

◇しかも、700ページになんなんとするこの『内務省の社会史』は70歳を超えてからの大著という。◇これだけでも恐れ入るのに、学会誌掲載の上記「リプライ」の文章が繊細かつインテリジェントな攻撃調ときている。◇60歳少々の私などは、まずその若々しさに大いに鼓舞されるのだった。◇老大家ぶらないすがすがしさよ!

筒井清忠が、「(前略)内務省関係者のタッチしていない純粋な研究者による内務省通史として本書は初めての著作(後略)」、「政治学者によらず社会学者によってそれがなされたことの意味は小さくない(後略)」との賛辞を呈する副田著『内務省の社会史』書評に関連し、間もなく74歳になる副田自身が元気に応じる。

◇まずは日本の社会学への辛らつな批判から。◇「社会学研究者はだれひとり、内務省を素材にした本格論文をも書いていない」。◇「日本の社会学は(戦後-筆者註)60年間にわたって(GHQの手で解体された-筆者註)内務省についてひたすら沈黙してきた(後略)」。◇「戦前期日本の内政は内務省が主導したこと、そして戦後期日本の内政体制の大きい部分が旧内務官僚によって構築されたことをかんがえあわせると、この沈黙にはなにか異様な印象が感じられます」。

◇1947年に解体された内務省は、自治省・警察庁・建設省へ、そして1938年にすでに分立されていた厚生省、そこから戦後派生した労働省を考えれば、その守備範囲と権力の大きさは想像がつこう。◇それなの日本の社会学は<内務省>という格好の対象に無関心。それはなぜかと、副田は大胆な説を挑発的に提示する。

◇戦後日本の社会学は以下のようであるからと。◇「(1)国家権力への関心が幼弱である、(2)反権力的社会運動が偏愛されている、(3)マクロ的な歴史的時間の展望における観察がない、(4)ミクロ的な日常的時間における好事家的関心の蔓延」。◇老社会学者の年来の怒りが集中して込められているといえよう。

◇それどころか、国家権力へのすり寄りを自慢する手合いが昨今社会学界には多くてネと、副田は唾棄(だき)するごとくに語る。

◇「(前略)いまや、社会学が権力と同調する傾向が広く流行し、産軍複合体ならぬ官学複合体という造語を連想させる現象が多く、社会学者たちの口調・文体に役人のそれらがまじる始末です」。◇「私は、自分が会員である小学会(日本社会学会-筆者註)のシンポジウムで、報告者と質問者がおたがいに多少自慢げにそれぞれが異なる政府審議会の委員をつとめていることを紹介しあうのを聞き、そのはしたなさに苦笑いしたことがあります」。

◇「他方、社会学が反権力と同調する傾向は、昔も今も変りません。(中略)そこではたらく社会学者たちの口調・文体に特徴的なのは威勢のよい悪口・雑言でしょう」。◇「趣味に走って発言すれば、私は、役人気取りの言葉より、運動家気取りの言葉をまだしも好みます」。◇この逸話からは、あくまでも単純二分法には頼らず、徹底した事実解明によってコトの真相を導き出そうとの意思が垣間見られるではないか。

◇ところで、私のように若いころ「転向論」関連の長篇評論を書いた人間からすると、内務省といえば即・警保局になってしまう。◇しかし副田は、周到にもそこへくさびを打ち込むのを忘れない。◇「(前略)私は、内務省と日本共産党の闘いを、『悪玉が善玉を迫害した』という風に見ることを拒否し、両者を『等距離にみて』分析することを主唱しました。また、その原則を固く守りました」

◇それは社会学を第3の存在として対置するということ」「社会学は両者の社会的行為を言葉によって理解することに徹して、権力にも反権力にも同一化しない」というに等しい。◇しかし「あらためて周囲をみわたせば、このような(副田のような-筆者註)学問的姿勢はあまりに反時代的であるといわねばなりません」。

◇副田はこの点にこそ、社会学界における自身の方法論的孤立を見ているに違いない。◇いや、それでも信念を押し通して著作を完成させる。そのうえで、「社会学評論」という学会誌上にて予定調和的<慣例>を破り、異論という名の正論をぶちかます。◇自信作を刊行した高揚感が後押しする要素がないとはいえないにせよ、並みの人間にはできることではない。

◇もうすぐ後期高齢者になろうという副田義也のクリアな頭脳と闘争心。◇この現実は、夾雑物をそぎ落とした人間の真の強さを物語ってあまりある。◇年をとるということの意味の深さ。こちらはまだまだ青いと痛感させられるのであった。-つづく-(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年7月30日 (水)

IFSA・週なか掲載=かなり気になる、先週の <ベタ扱い>的重要記事(08.07.27現在)

★★与党内で改革転換論広がる 衆院選危機感も首相慎重
TOKYO Web=共同(2008.07.26)

◇記事のタイトルだけでは何のことやら分かりにくいかもしれない。◇ここでいう「改革転換論」とは、「(前略)財政再建を重視する『小泉改革路線』の転換を求める声が与党内で広がっている。背景には、格差問題や原油高騰への対策予算を十分確保して『国民生活の立て直し優先』とのメッセージを発しなければ、来年秋までに行われる衆院解散・総選挙を乗り切れないとの危機感がある」といった事情に発するもの。

◇ご都合主義が売り物の公明党ばかりか、「『もう小泉時代は終わった。単に構造改革を唱えるだけでは日本が持たない』と宣言」するヤマタク(「山崎拓前自民党副総裁」)などもここに含まれる。◇「だが自民党内では『選挙を意識してばらまき路線に戻れば、かえって国民の批判を受ける』(若手)との警戒感も強い」の構造改革擁護論をバランスよく配置することも新聞は忘れない。

◇IFSAがあえてこの記事を取り上げるのは、こんなつまらぬ両者の意見に注目をしたいからではない。◇<財政再建をタテマエとするコイズミ流構造改革派>vs.<目先の経済を一時的に改善するといった幻想を与えるバラマキ派>。こうした不毛なる二分法的対峙でしか物事を発想できない十年一日の<貧困>を明らかにしたいためだ。

◇こう言えば、またまたさび付いた批判が聞こえてきそうな気がする。◇IFSAお得意のツール<二分法罪悪論>はもういい加減にやめよ!オマエこそが二分法のとりこになっているではないか!と。◇何をおっしゃるウサギさん。IFSAの言う<二分法>の深遠なる意味合いを理解できない連中から<批判>されたって、困ったもんだね、まったく!の反応しか返せはしない。申し訳ないけど、ばかばかしすぎて。

★★政府:行政の無駄を排除
有識者会議に東国原氏起用へ
毎日jp.・08.07.24(A)
★★厚労省改革の懇談会、
テリー伊藤さんら参加
asahi.com・08.07.25(B)

◇「福田康夫首相は会議を『ムダ・ゼロ政府』に向けた取り組みの目玉としたい考えで、全国的に知名度の高い東国原知事の人気にあやかる狙いもありそうだ」(A)。◇桝添厚労相が音頭をとる「厚生労働行政在り方懇談会」には「浅野史郎前宮城県知事や演出家のテリー伊藤さんら6人の有識者も参加」(B)。

◇IFSAが何度も言ってきた最悪のテレビ人・テリー伊藤(+)人寄せパンダだけがウリで、宮崎県の何をどうしてきたのか一度も報じられたことのない東国原の登場である。◇福田内閣のおつむの程度と、彼らを起用しておきさえすれば容易にだまされようと見くびられている日本国民の民度。◇このシナジー効果こそが、現在の日本社会の諸問題を現出しているといっても過言ではない。

◇問題は、こうした悪循環をどうやって断ち切るかだ。◇<ねじれ国会>など妙薬のひとつと思えど、マスコミにも国民にも評判はよろしくない。◇日本社会にあっては<ねじれていない>ことが絶対善であり、正-反-合のような弁証法的情況ほど恐れられ嫌われるものもない。◇だから、ゼロか百か、AかBかのすっきり二分法が好まれる。もしくは、足して2で割る妥協案なども。

★★社保庁の懲戒職員867人、
全員不採用最終合意・・・政府・自民
YOMIURI ONLINE・08.07.23(C)
★★年金機構:「社保庁許すまじ」自民が押し切る
職員採用で
毎日jp.・08.07.23(D)


◇社保庁から年金機構への職員移行問題。◇全員不採用方針は、「次期衆院選を意識し、『不祥事体質一掃』を世論にアピールすることを重視した自民党が、政府を押し切った形だ」(C)。◇この自民党的リクツを押し通すなら、なぜ社保庁時代に「最も軽い戒告の620人」(D)まで懲戒解雇等にしておかなかったのか。◇これでは組合の言う「二重罰」批判が説得力を帯びることになる。

◇「(前略)(厚労省案では-筆者註)自民党は『党の存亡にかかわる』と激怒。結局、厚労省が折れる形となった」。◇「こうなれば、もともと自民党の意向を熟知している舛添要一厚労相の変わり身は早く23日、党に受け入れを伝えるや福田康夫首相に電話を入れ、『政治決断をしました』と報告。首相も『結構です。国民に新しいイメージを持たれる組織にしてください』と応じた」(以上(D))。

◇「パフォーマンス優先の人減らし策に厚生族は懸念を抱きながらも沈黙を守る。厚労省幹部は『こういう時にまとめる人がいない。だから厚生族はだめなんだ』と吐き捨てるように言った」(D)。◇その結果、以下のような何とも皮肉かつ異常な事態が出来(しゅったい)する。

◇「分限免職は、過去の訴訟事例で敗訴の可能性が高く、結果的に厚労省への配置転換の道が残ることになった。機構への移行で非公務員になるはずだった懲戒処分職員が、かえって本省で公務員を続ける矛盾が生まれる結果となった」(C)。◇だがこんなこと、変節漢が板につく舛添要一にあっては何でもありゃしない。「政治決断をしました」と得々としているのだから。

★★安倍前首相は3、4年静かに
野中氏が批判
TOKYO Web・08.07.27

◇どこか怪しげな野中広務も、眼力だけはあるから、しばしばまっとうなことを言う。◇「(前略)安倍晋三前首相が対北朝鮮問題などで積極的に発言していることについて『所信表明演説に対する代表質問の当日に辞意を表明するという、大変な迷惑をかけた。せめて三、四年はもの静かに反省すべきだ』と厳しく批判した」。◇そう、民主党の前原誠司ともども!

★★防衛フィクサー・秋山専務理事逮捕
・・・2億脱税の疑い
ZAKZAK・08.07.24(E)

★★防衛汚職:秋山容疑者、
肩書使い分け蓄財 裏金の流れ、焦点に
毎日jp.・08.07.25(F)

◇「社団法人『日米平和・文化交流協会』専務理事、秋山直紀容疑者(58)」は「『政界と日米の軍事産業をつなぐパイプ役』と呼ばれ、防衛省汚職事件でも関与が取りざたされた」(E)。

外務省所管のこの協会は、「1968年設立。理事には、久間章生元防衛相をはじめ、瓦力、斉藤斗志二、玉沢徳一郎の各防衛庁長官らが就任。歴代の理事には、福田康夫首相や安倍晋三前首相、石破茂防衛相、民主党の前原誠司副代表なども名前を連ねていた」(E)。◇安部-石破-前原ねぇ!年齢的には53-51-46。非常に意味深長な数字の配列ではなかろうか。

◇ところで、毎日新聞には「喫茶店主から永田町へ」と題した秋山容疑者の経歴が紹介されており、興味をひかれる。◇それによれば秋山は、私立高輪高校(東京都港区)→立正大→「その後、東京・神保町で喫茶店のマスターになった」。それ自体は何でもない。問題は次からだ。

◇「政界との接点ができたのはそのころで『小説吉田学校』の作者で政治評論家、故戸川猪佐武氏の事務所に出入りしたのをきっかけに、金丸信・元自民党副総裁(故人)と親しい女性の運転手になり、議員秘書に顔が売れ始めた」。◇「米国人実業家とも知り合い、15年ほど前から毎年、国会議員の米軍視察の案内役を任された。このころ前防衛事務次官、守屋武昌被告(63)とも知り合った」(F)。

◇そしてとんとん拍子に、上記外務省管轄の協会専務理事へと駆け上る。◇「(前略)久間章生元防衛相、額賀福志郎、瓦力両氏ら防衛庁長官経験者だけでなく、福田康夫首相、前原誠司民主党副代表ら与野党の大物を理事に取り込んだ。この理事リストを手に防衛企業を訪ねるなどし、三菱重工業、石川島播磨重工業、神戸製鋼などの会員企業を獲得した」(F)。

◇政界や企業にいたことのある人間なら、このすご腕ぶりが何に淵源するか、単なる実務的能力だけによるものか、それはおのずから想像がつこう。

★★労働白書:仕事の満足度低下
背景に非正規急増や成果主義
毎日jp.・08.07.22

◇もう耐えきれずにといったあんばいで、労働白書・08年版(厚労省刊)までがついに「『日本的雇用制度への再評価が広がっている』と分析」をし始めた。◇IFSAが02.08出版の拙著で、当時全盛の<成果主義>や<終身雇用制破壊>を根底より全面批判し、進歩的知識人からさえ白眼視されたのを昨日のように思い出す。

◇それがどうだ!いまでは<成果主義批判>と<日本的労働慣行ぶちこわしへの疑問>の大合唱とくるのだから。◇まったくいい気なものだ。日本的オポチュニズム(=便宜主義・日和見主義)こそが最大の問題点だということを、当の識者も日本社会もいまだ全然理解していない。

◇<いずれこういうことになるからと、事前証言のイミで私は本を書いた>のに、連中はあったりまえのようにオポチュニストぶりを発揮し、いままた堂々と真反対のことを主張している。

《IFSA好みの欄外あるいは論外記事》

★★「ブラウザ」を「ブラウザー」に
マイクロソフト、カタカナ語の表記を変更
NIKKEI NET・08.07.25


◇「プリンター」が「プリンタ」、「マネージャー」が「マネジャー」、「プロバイダー」が「プロバイダ」、「コンピューター」が「コンピュータ」。◇この汚い<日本語>が、実は「JIS規格では『その言葉が3音以上の場合には、語尾に長音符号を付けない』などの原則を取っており(後略)」に由来すとは知らなかった。◇そこへ外資系のマイクロソフトが英断を。まさにカルチャーショックである。

◇ついでにこの際、テレビと若い人の間でおおはやりの一本調子アクセントも放逐しようではないか。◇たとえば神田の<神保町>を、<じんぼうちょう>ではなく、のっぺらぼうに<じんぼうちょう>と言うカッペ発音などを。

★★今の時期が一番ヒマな人たち
・・・サンタが大集合
ZAKZAK・08.07.22

◇「デンマークで毎年恒例の『世界サンタクロース会議』が開かれ、地元だけでなくロシアや米国、日本から約140人のサンタが出席した」。◇議題は、サンタの「現代的な問題」という「煙突がない家にはどう入ればいいかなど」らしい。

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年7月26日 (土)

当今珍しく気骨ある読み物に出会い、うれしくなる=網野善彦・副田義也・外山滋比古(上)

◇日本中世史学者の網野善彦。これほど毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばする人物も珍しい。◇いやもう少し具体的に言えば、<正統派>学者の間での評価は目の子で2割、われわれのような素人の間での人気は8割といったところだろうか。

◇かくいう私も、網野の本は数えるほどしか手にしていないし、学者としての業績がどう位置づけられるかまでは読み込んでいない。◇しかし彼から受けるインパクトは大きい。ウソでもホントでもなどと言おうものなら語弊どころでは済まないものの、(アカデミズム的にはどうあれ)思想家としての訴求力は半端じゃない。◇その点で、精神分析分野における岸田秀と似たところがあると、私は思っている。

◇こういう人はえてして学会では嫌われる。というより、ヘン!と鼻であしらわれることが多い。◇要は邪道というわけだ。◇いやおそらくは、純学問的に見ると間違いがいっぱいあるのだろうと、私などにも想像ができる。

◇しかし、アウトサイダーとしてひがみっぽく縮こまるのではなく、それを武器とし、<日本的常識>を打破する仮説を携えては打って出る。◇そしてその膂力(りょりょく)が、アカデミズムの得られぬ理路と視座を新たに獲得させる。◇アカデミズムはそれを、学問じゃない、文学だ評論だと嘲笑しだすが、それがかえって網野のような能動的アウトサイダーを鼓舞するから皮肉なものだ。

◇ところで最近、新書館の刊行する季刊誌『大航海』(2007.12)が網野善彦を特集しているのを知り、バックナンバーを買い求めた。◇まだパラパラとめくっただけだが、いずれの論文もメチャおもしろそう。◇なかでも、樺山紘一中沢新一による長篇対話「歴史の論理と倫理」はエキサイティングで、一気に読み通してしまった。

◇ご存じのように、樺山は西洋史学者で東大名誉教授。国立西洋美術館館長もつとめた。◇中沢は宗教学者で、現在は多摩美大教授。彼の『アースダイバー』については当IFSA通信で酷評したことがある。◇そして網野は中沢の叔父さん、つまりは中沢の父の妹、その夫が網野というわけだ。

◇興味のある方は本文にあたっていただくとし、ここでは網野という人間の一徹ぶり(それこそが魅力!)を示すエピソードを、同書からランダムに引用するとしたい。

中沢ただ、網野さんが秀才と言うときはちょっと要注意で、ぼくなんかにもしきりと秀才、秀才と言うわけです。それには必ず皮肉が入っていて。(笑)

中沢:ええ。目から鼻に抜けていくように物事を理解するのは良くないとか、あまりに早く結論を出して物事を意味づけるのは良くないと言ってましたねえ。(後略)

中沢:(前略)(網野の議論は-筆者註)鈍牛というか、刀でいうとあんまり切れ味が良くないけれども、ドーンと当たると大変だという論争をするんですね。(後略)

中沢:(前略)戦後の歴史学界は平泉澄(戦前の超国家主義・皇国史観の代表的イデオローグで、東大はじめ歴史学界を席巻した東大国史教授-筆者註)みたいなものを処分してしまって、もうああいうものから学ぶものはないと言っているけれども、それは違うと網野さんは言うわけです。

樺山:とにかくマルクス主義に対する自分の言動について反省して、もう何か特定のグランド・セオリーや権威主義を笠にかけた理論でもって世の中を変えられるわけではないから、フィールドワークやりながら文書を読んで、わかるところから見方を変えていこうとしていた。(後略)

樺山:(前略)やはり網野さんはマルクス主義との格闘あるいは学生運動、青年運動での体験を自分なりに反省したり咀嚼したりするなかで、物事を語るにはまずはともかく原理より先に事実から行こうじゃないかと考えた。そのうえで原理が見えたところについては、自信をもって語る。

樺山:とくに網野さんは『日本社会の歴史』(岩波新書)をお書きになったんですが、これは日本社会史と大きく銘打ったにもかかわらず、じつは近代どころか近世でも臆病な議論とならざるを得なかった。それは(中世史家の網野としては-筆者註)当たり前のことなんで、人によるとああいう失敗作を書かないほうがいいと言う人もいましたが、やっぱりやってみようというのは歴史家の業というべきものでしょうか。

中沢:ある意味では原則的すぎるくらい原則的で、ぼくは網野さんに、原則を立てて現実の複雑さを見ない、一種のスターリニストじゃないかなんて言って、半分冗談でしたが、ひどくしかられたことがありました。(笑)(後略)

中沢:(前略)まあスターリニストという言い方はちょっとジョークですけれども、少なくとも原理主義者だったかもしれません。(笑)

中沢:(前略)いざ歴史学の論争になると、たとえばぼくが網野さんの批判者の言っていることもけっこう理があるんじゃないなどと言おうものなら、もう大変ですよ。君はいったい何を見てるんだということになって、もう何時間でもボカスカやられるんですから。(笑)

◇最後にひとつ、こんなおもしろい話も。◇座談会で網野が、<この話はヨーロッパではどうなってるの?>云々と樺山に訊いてきた。樺山は「半分以上謙遜」で、以下のようにこたえたらしい。

◇「(前略)私たちはそんな細かいことまでわからないし、そもそも自分たちは所詮ヨーロッパのことをやっている日本人であって、わかっていることはその中のほんのわずかで(後略)」と。◇すると網野は、何と言うことを言っているんだと烈火のごとく怒り、「そんなところにうちの息子(新大陸史の研究者-筆者註)を通わせてていいのかと言われた」。

都立北園高校(わが板橋区にあり)で10年以上教諭をつとめ、その後は名古屋大学助教授→神奈川大学短期大学部教授。◇冗談めかせば、ここにも「原理主義者」の側面が露出しているやもしれぬ。◇<網野はなぜ梅原猛を認めないのか。志向性は同じなのに>と吉本隆明が指摘したという話、それが当対話で明かされているが、梅原が中曽根康弘と組んで国際日本文化研究センターを設立したことを網野は「倫理的」に許せなかったらしい。

◇そんなの、うまく利用しちゃえばいいのに!◇しかし、梅原のしたたかさと政治性は網野には無縁のものというか、忌避すべきもの。と同時に、到底及ばぬもの。◇IFSAは、一見対極にありながら同質的方向性をはらむこの両者に、非アカデミズムの強さと魅力とを感じているのだが。

◇最後に中沢新一が、網野流<気骨>についてこう語っている。

中沢:ことに歴史学者は、年取ってくるとお茶碗とか書画骨董とか趣味に走る人も多いんだけれども(笑)、網野さんはそういう趣味は一切なかった。(後略)

◇そして、「網野さんの対局のような人は山ほど見かけるけれども」とも。

◇なお、この密度の濃い特集を組んだ『大航海』。論壇時評などではしばしば取り上げられる名門誌とは知っていたものの、じっくり読んだのは今回がはじめてだった。◇正式には『ダンスマガジン別冊』という位置づけもミステリアスだ。

◇この号に触発されて手に入れた最新刊『大航海』(08.06)の特集「日本思想史の核心」。◇まだ読んではいないが、目次を見ただけでワクワクする内容となっている。◇最近そうした雑誌にはほとんどお目にかかれなくなってしまっただけにうれしい。-つづく-(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2008年6月17日 (火)

原油高への無為無策=仲間がいれば<高齢者予備軍>のデモを打ちたい心境だ!(下)

◇本連載の(上=2008.06.09)では暫定税率撤廃・復活にともなう<IFSAの個人的な歴史体験>を、また(中=08.06.15)では原油高騰に関する<近過去>からの振り返りを中心に論じてきた。◇そして最終回。ここまでくれば、これらに対して何の反応も示さない福田政権っていったい何なんだという<弾劾>以外、思い浮かぶものはあるまい。

★★NY原油が史上最高値、一時57.50ドル
YOMIURI ONLINE・05.04.02
★★NY原油、一時
139.89ドルの最高値
YOMIURI ONLINE・
08.06.17

◇たった3年間でのこの異常なる変化。見比べていただくだけでその真相(深層)は明らかとなろう。◇それでも、これをBRICs等の消費増による需給問題にすりかえたがる姑息(こそく)なやからは跡を絶たない。◇連中もまた、合法的不当利益への<侵犯防止>に躍起だからだ。◇しかし事態は、日本の役所ですらこう言わざるを得ないところまできてしまっている。

★★エネルギー白書:原油高騰は投機資金が相場押し上げ
毎日jp.・08.05.27(A)

◇エネルギー白書は、「原油価格の高騰について、原油先物市場に流入する投機資金が相場を押し上げていると指摘」。◇「07年下半期の米国産標準油種(WTI)の平均価格1バレル=90ドル程度のうち、需要と供給のバランスを反映した実勢価格は60ドル程度で、3分の1の30ドル程度は投機資金による押し上げとする分析を明らかにした」(A)。

◇サブプライム問題の余波で「金融市場からの原油市場への流入が急増していることが要因」と認めざるを得なくなったのだ。◇経済産業省の事務次官にかかると、もっとストレートな発言の連発となる。◇近ごろの官僚にしては珍しく、<勇気>あるダイレクトな物言いといえよう。

★★原油高騰:市場への投機資金流入規制を 経産次官が発言
毎日jp.・08.06.12

◇「経済産業省の北畑隆生事務次官は12日の会見で、原油高騰は原油市場に流れ込む投機資金が大きな要因として『何らかの規制をすべきだ』との見解を示した」。◇「北畑次官は、原油価格の指標となる米国産標準油種(WTI)が取引されるニューヨーク原油先物市場について『規制が緩く、投機資金が無尽蔵に入ってくる』と指摘。『石油の現物を売買する人が市場に参加することが基本』として、投機資金の流入を規制すべきだとの考えを示した」。

◇別のところで北畑は、もっと過激な表現を示してもいた。◇「『何でも、もうかればいいというマネー経済、(米金融街)ウォールストリート資本主義の悪い面が出ている』」。◇「9日の会見で経済産業省の北畑隆生事務次官は怒りをあらわにした。同省は原油の適正価格を60ドル程度とみており、その2倍を超える価格が『世界経済失速の大きなリスク要因』と警告してきた」(★★エコナビ2008:打つ手なし原油高 猛威ふるう投機資金・毎日jp.・08.06.10)

◇この記事では、さらに重要なことも伝えてくれる。◇「政府が5月にまとめた07年度の『エネルギー白書』によると、世界の株式、債券市場の規模はそれぞれ数千兆円に達しているのに対し、米国の原油先物市場の規模はわずか15兆円程度」。◇「白書は『株式などからの資金流入が原油価格に大きな影響を及ぼす』と強調する」。

◇世間知らず、いや生活知らずでならす肝心の福田首相は、これをどう聞くか。◇いや、とんと関心はないようだ。原油なんて、かつても高騰したことはありましたよ、ってな調子なんだから。

◇上記投機マネーによる甚大な影響は、その創設者・推進者である米国にすら及び始めている。◇「車社会の米国でガソリン価格の高騰は大打撃。ブッシュ政権が4月末から始めた減税の効果を相殺しかねない」。◇「サブプライム問題が深刻化した昨年9月以降、FRBは大幅利下げを断行した。だが、その結果、ドル安も進行し、ドル資産から流出した資金が商品市場に向かい原油、穀物価格を急騰させた」。

◇「(前略)バーナンキ議長は利下げ休止も示唆。従来の『景気優先』から『景気とインフレの両にらみ』に軸足を移しつつある」。◇「ただ、失業率の大幅悪化など米景気は停滞し、市場では『すぐに利上げに踏み込むのは困難』との指摘が多い」(以上、★★エコナビ2008:原油・穀物高騰 世界インフレ懸念拡大・毎日jp.・08.06.13)。◇自分のまいた種とはいえ、米国社会はデッドロック状態といえよう。

<★★サウジなど産油国、増産を否定 「原油高の責任ない」 ・NIKKEI NET・08.06.09>はまさにそのとおり。◇<★★OPEC事務局長「原油、要請あれば増産」、価格「高い」明言・NIKKEI NET・08.06.12)>などは、ウハウハの余裕にあってのリップサービスといったところだろう。

◇そんななか、海外では暴動に近い動きまで起きている。◇ブラウン英首相が「『世界経済はいま、第3次石油ショックに直面している』」、「『世界規模の対応が必要だ』」と語ったり、フランスのサルコジ大統領が、北海道洞爺湖サミットでは「『特に原油高騰問題への対処が必要だ』と言及」したりするのも、社会にそれだけの緊張感があるからこそ。

◇それに比してわがお坊ちゃま首相は、その時ばったりの環境一辺倒とくる。ああ、この落差!◇洞爺湖サミットを環境問題できれいに処理しようというんだから甘い。

★★フランス:燃料費高で漁民、怒りの海峡封鎖
毎日jp.・08.05.24
★★燃料費高騰で漁師ら暴徒化、EU本部に投石・官庁街騒然
YOMIURI ONLINE・08.06.05
★★原油高、世界が悲鳴 デモ暴徒化・マグロ・・・
asahi.com・08.06.08

◇日本ではどうか。せいぜいが庶民の台所に「狂乱物価」以来の高騰が押し寄せてネ!とぼやく程度。迫力のないことおびただしい。◇<★★新車販売、5月は大幅減 暫定税率復活・燃料高響く・asahi.com・08.06.02><★★”ガチャガチャ”消える?300億円市場も原油高直撃 やむなく容器小型化や素材変・ZAKZAK・08.05.12>くらいが似合っているんじゃないの?と茶々を入れたくなるあんばいなのだ。

◇して、福田政権の経済中枢たるべき大田弘子経済財政担当相はどう言っているのだろう。

★★3カ月ぶりに下方修正 6月月例経済報告
TOKYO Web=共同通信・08.06.16


◇いまさら下方修正って?それ自体も驚きだが、以下にはもっとびっくりさせられた。◇「内閣府は、引き続き景気が拡大過程にあるものの一時的に停滞している状態である『踊り場的状況』との認識は変えない」。◇「4月の景気動向指数で、国内景気が後退に入った可能性が示されたことについては『米景気が今年後半に持ち直すことがメーンシナリオ』とし、依然として景気復調への期待を抱いている」。

◇すごい、すごすぎる、十万石まんじゅう!◇朝日新聞にも同様の記事が見られる。◇「内閣府は『大型減税の効果が出て米経済が今年後半から持ち直せば、輸出は回復し、国内の企業活動も上向く』と期待する(★★景気「一部弱い動き」、3カ月ぶり下方修正 月例報告・asahi.com・08.06.16)。◇恒例としかいいようのない、たらればの米国頼み。こんな認識で経済政策をやられたんじゃネ。もう怒る気もしないってか!

◇先の経産次官が憤るごとく、米国が仕掛けた投機マネーをどうにかせずに世界的原油大不況を乗り切る、そんなことはできるはずもない。◇すなわち、日本の首相がまずなすべきは、投機資金への抜本規制や高率課税へ向けてのアクション。◇にもかかわらず、米国へのお追従(ついしょう)は一向に止まることがないのである。◇下記のように。

◇「議長を務めた甘利明経済産業相は会合後記者会見し、『消費国が危機感を共有し、結束してメッセージを発するのは初めてのことだ』と共同声明の意義を強調した」。◇「ただ、原油急騰の背景にある投機マネーなど、金融市場の問題を是正する策には言及しなかった」。

◇「投機資金規制に消極的な米国が、原油高騰は中国などの経済発展による需要増に供給が追いついていない『需給ギャップが原因』(ボドマン米エネルギー長官)と主張」。◇「日本も強く規制を求めず、参加国の意見が一致しなかったためだ」(★★日米中印韓 原油異常高騰に懸念 エネ相共同声明 投機規制は盛らず・TOKYO Web・08.06.08)

◇自分たちのやってきたことを棚に上げ、「需給ギャップが原因」と言い切るんだから、米国も大した神経だ。◇もちろん、そのまま言わせておくほうも大問題だけれど。

◇ブッシュ米国ならびにコイズミ・竹中のような世界中のエピゴーネン(=猿まね人間)が広めた新自由主義。◇現行資本主義にまん延するこの思想に対し、根底からノンを突きつけないかぎり、原油高騰・食料(食糧)高騰の無政府状態はおさえようがない。◇少なくともこれだけははっきりしている。◇それでもまだ、<小さな政府>の絶対善路線でしょうか?(敬称略)

★★[IFSA]★★阿部道生 

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2008年6月15日 (日)

原油高への無為無策=仲間がいれば<高齢者予備軍>のデモを打ちたい心境だ!(中)

「原油高への無為無策=仲間がいれば<高齢者予備軍>のデモを打ちたい心境だ!(上)」(2008.06.09)では、暫定税率廃止・復活に伴うIFSA流<歴史的>三段階ガソリンスタンド体験記をもとに、あえて卑近な事象に終始しつつ話を展開した。◇そして今回は一転、原油価格の流れに目をやることにする。

◇この異常高騰は周知の事実だが、ここでは一歩引き、まずは<近過去>から振り返ってみたい。

★★NY原油が史上最高値、一時57.50ドル
YOMIURI ONLINE・05.04.02

◇「原油相場は先週から下げ基調に転じ、3月30日(2005年の-筆者註)には一時、52ドル台半ばまで下落していた」。◇「しかし、米証券会社ゴールドマン・サックスが31日、、原油相場が1バレル=100ドルを突破する可能性を指摘するリポートを発表し、機関投資家などを中心に買いが増え、一気に急騰に転じた。◇「市場では『下値の底堅さが確かめられたことで、60ドル突破が視野に入ってきた』(米アナリスト)との見方も出ている」。

◇その1週間後のChunichi Web Press(05.04.09)が、原油高騰に関する詳細なリポート(★★原油高騰の”真相”)を掲載している。◇「原油価格の高騰が再び始まっている。昨年九月に一バレル(百五十九リットル)=五〇ドル台に乗せて、年末に低下した後、反転。このところは六〇ドルに迫る勢いだ」。◇高騰の背後に、投機筋が行う『ゲーム』がある」

◇「なぜ、原油価格が高騰しているのか。需要と供給の関係からは説明できない、と専門家たちは口をそろえる」。◇「要は、原油の価格が市場に左右されているのだ。それも投機筋の資金に」。◇「財団法人・国際開発センターの畑中美樹(よしき)主任研究員は、そのからくりを三段跳びで説明する」。

◇畑中説を要約すればこうなる。◇(1)ホップ=中国・インド等の急激な需要増。(2)ステップ=イラク・イラン・ロシア・中国等、「原油生産をめぐる世界環境の不安定さ」。(3)ジャンプ=「その結果、心理的な逼迫(ひっぱく)感が働き、投機筋が便乗して、空前の高値傾向を招いた」。◇「ブッシュ一族やチェイニー副大統領らは米系国際石油資本と深く関係している」、こんな連中の動きまで加わってと、中日新聞は解説する。なかなかの説得力である。

◇とはいえ、約3年前はまだこんな程度(=六〇ドルに迫る勢い)でしかなかった。◇しかしその10カ月後には、以下のような記事へと飛躍した。

★★メジャー4社の当期利益11兆円 原油高で空前の規模
asahi.com・06.02.08


◇「国際石油資本(メジャー)上位4社の05年決算が7日出そろった。当期利益は合わせて978億8100万ドル(約11兆5500億円)と、原油高で空前の規模に膨らんだ」。◇「米英ではガソリン高などに市民の不満が強く、議会や政府が課税強化を模索する動きもあり、メジャー各社は『もうけすぎ』との批判をかわすのに躍起だ」。

◇「国際指標であるニューヨーク市場の原油価格は05年、年初の1バレル=40ドル強から一時は70ドル台に上昇。06年に入っても60ドル台の高値水準が続く」。◇「これに対し、米議会では昨秋以来、上院を中心に石油会社への課税強化を求める動きが出ている。ブッシュ政権の反対などで実現していないが(後略)」。◇「英国政府は、北海油田での事業収益にからむ上乗せ課税(10%分)を06年度から2倍にする方針を昨年末に表明」。

◇そして70数ドルから一時的な反落を経て急上昇。◇2008年に入るや未曾有の3桁に突入した。

★★NY原油、連日の100ドル台 株・ドル急落、金急騰
asahi.com・08.01.04

◇「ニューヨーク商業取引所の原油市場は08年の取引初日の2日、国際指標となる米国産WTI原油の先物価格が一時、史上初めて1バレル=100ドルちょうどまで急騰した」。◇「原油価格は、一時1バレル=50ドルを割り込んだ昨年の1月から約1年で2倍になった」。◇「米低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き急増などで米景気の先行き不安から株やドルが急落すると、有利な運用先を求めて原油相場への資金流入が活発化した」。

◇そして直近の08.06.11には136.38ドルにまで。◇これと連動しながら、国内ガソリン価格もまた大変なことになっている。◇<★★ガソリン172.4円 また最高値更新 7月には180円台予測も・YOMIURI ONLINE・08.06.12>。◇IFSAの言う<道路の戒厳令下状態>がいっそう進もう。でもエコにいいってか?ご都合主義でふざけてる場合じゃないんだよ。

◇前回の(上)でIFSAはこう書いた。◇「3月末=150円暫定税率廃止により4月1日以降=125円暫定税率の復活プラスアルファで5月からは=157円6月1日以降は原油高の影響で=170円台へ突入正常な感覚をもってすれば、4月比45円(=暫定税率分25円+さらなる値上げ分20円)ものアップになっているのだ」と。
(註)以上は東京地区におけるかなり安めのGSを基準にIFSAが試算。

 ◇案の定、米国でもこんなことが言われ始めた。<★★米ガソリン、初の4ドル台(1ガロン-筆者註) 米経済の下押し必至・NIKKEI NET・08.06.10>。◇「当面の節目とみられていた1ガロン4ドルを突破したことで、消費者心理への悪影響は免れない情勢だ。輸送コストの増加から、食料品を含む物価全体にも上昇圧力がかかり始めている」。

◇当然であろうが、原油高の犯人を養成しバックアップしてきた本家本元のこの国にも、ブーメランのごときお仕置きが。何とも皮肉なものだ。◇だが、自業自得以外の国や地域はたまったものじゃない。怒り心頭、アタマにキノコ。本来なら暴動がおきてもおかしくないような状態に立ち至っている。

◇海外ではあちらこちらで<やってらんねえ>の渦が発生しかけるが、日本だけは毎度のことながらきわめて平静。◇暫定税率時も、ただただGSに並んだりする1回ぽっきりの<自己防衛策>が関の山で、大衆的なムーブメントにはいたらなかった。

◇学生さんなんざ、動きのそぶりさえ見せない。◇われわれの時代の学生運動をエリートの跳ねっ返りと嘲笑してきた現・後期高齢者世代のお父さんたちは、こうした現状をいったいどうとらえるのだろう。◇何事にも静かな社会、これぞ理想といまもひたすら信じているのだろうか。

なめきった「後期高齢者医療制度」、こんなものはなめきられた結果にしかすぎない。◇単なる擬制改革以外の何ものでもないタチ悪きコイズミカイカクや郵政民営化へ心から拍手喝采を送った<見返り>としての荒野。◇次回は、原油高を契機とする怒りの発露らスタートするとしよう。(敬称略)-つづく-

★★[IFSA]★★阿部道生

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