鳩山総務相の日本郵政社長更迭問題でも<核心へは踏み込まず>を順守するテレビ界
◇現役の法相でありながら「自分の友人の友人がアルカイダ」と言ってみたり(=ただもしかして、これは本当かもしれない)、在任時のその他もろもろの言動、これは相当に変な男だと思っていたし、麻生太郎を支える議員の会「太郎会」会長というだけでも鳩山邦夫現総務相が噴飯ものであるのはもう明らか。
◇が、コト郵政問題への対応に関するかぎり、IFSAとしては評価せざるを得ない。◇というより、現時点での鳩山邦夫をIFSAは買っている。◇彼自身が胸を張るように、日本郵政・西川善文社長問題で鳩山はけっして間違ったことを言っていないからだ。
◇周知のように、IFSAはコイズミの郵政民営化を全否定してきた。◇絶対善的<民営化>に名を借りた竹中平蔵的国有財産の売り飛ばしと、コイズミの対郵政私怨、それらをミックスさせてうまく利用した自民政権保持戦略に対し。◇詳しくは当IFSA通信のバックナンバーをご覧いただきたい。
◇そして政府が<三顧の礼>で迎えたとされる(=本当か。西川はしめしめと喜んでやってきたのではないか)旧住友銀行(現・三井住友銀行)の大ボス・西川善文は、銀行時代の子飼い連中を日本郵政へ招き入れ、勝手放題を始める。
◇それは、融資先を救済すると称しつつ、<タテヨコ計算至上主義あたま>の持ち主たちを進駐軍として企業へ送り込む手法と何ら変わりはない。◇しかも相手先は<国>そのものなのだから、進駐軍にとってはまことにオイシイ。
◇鳩山邦夫は毎日新聞のインタビュー(全面記事)でこう語っている(★★特集ワイド:愚問ですが 日本郵政の社長「続投」 鳩山邦夫さんに聞く・毎日jp.・2009.06.06)。
◇「私は民営化賛成論者です。どうしてそれをみんな分かってくれないのか。民営化前後に、非常に汚れた部分があったから、それを奇麗にしている。小泉(純一郎元首相)さんなんかには『郵政民営化を奇麗にしてくれてありがとう』って表彰状をもらいたいくらいです」。◇「西川さんを代えたら民営化が後退するように言われるが、まったく逆じゃないか」。
◇「改革を推し進めた竹中平蔵(慶大教授・元総務相)さんが普段おっしゃっていることは、もうかることは善、もうからないことは悪、というカサカサした発想」。◇「小泉改革は光だけでなく影の部分も強く、友愛の物差しからするとちょっと点数は低い。小泉さんは偉大な改革者として尊敬していますが」。
◇だからマスコミが鳩山邦夫を批判するのであれば、鳩山の言う「非常に汚れた部分」だけでなく、郵政民営化という大事業がそもそも内包する本質的な「汚れた部分」も視野に入れたうえで、それでもなお鳩山の行動はおかしいと論を展開していかなければならない。◇真正ジャーナリズムとしては。
◇そこまで踏み込まなくてはマスコミとしてのイミがないであろう。現象面をささっとなでてお茶を濁しているだけでは。◇いやIFSAは、マスコミたるもの郵政民営化に反対すべきと主張しているのではない。◇賛成なら賛成でいい、その論拠をぶれず明確に提示すればいいだけのこと。相手の顔色など見ずに。
◇しかし彼らには、人に言えないスティグマがある。◇(1)郵政民営化選挙当時、マスコミの大半は<民営化>を絶対善のポジションから支持した。単にそれが大衆ウケする<民営化>だからという理由で。◇(2)しかしいまや、コイズミや竹中の旗色はきわめて悪い。だからマスコミも、そうそうやすやすと<郵政民営化美化>にはくみしにくい。
◇(3)だからその点だけはあいまいにしておきたいのに、トンデモ鳩山が出現したため困惑を隠せない。◇(4)そこでとるべき手はひとつ。郵政民営化是非の本丸は見てみぬふりをして脇へおき、鳩山邦夫の手法をめぐる強引さのみをあげつらう。テクニック批判へと特化する。◇(5)そうすればマスコミ自身への跳ね返りを避けられる。
◇この傾向は特にテレビに顕著で、たとえばフジテレビ系のモーニングショー(=表現が古すぎるか)司会者は、「西川氏の後任となると、はたしてなり手がいるのか」など、いち周辺事情をメーンテーマのごとくしたり顔ですりかえ、深読みしたつもりになる。
◇西川に本当に問題があるのなら、後任がいようがいまいがそんなことは関係がない。◇まったくの大きなお世話であり、まずはやめさせるべきか否かを検討するのが順序というものだろう。◇また女性のコメンテーターはこんなことを言った。「この問題は国民の最大関心事とは思えない。(だからこんなに大騒ぎをする鳩山さんは理解しがたい)」と。
◇周辺事情をメーンへとすりかえる手合いはほかにも大勢いる。◇鳩山邦夫の真意はどこにあるのか、それがどうも怪しいと。◇そりゃそうだろう、鳩山クラスの政治家が、何の他意もなく純粋な正義感のみで今回の行動を起こしていると思うほどIFSAもうぶではないのだ。
◇ならば、鳩山の<怪しい動き>を白日の下に剔抉(てっけつ)してみればいいじゃないか。◇自民党内で鳩山を支えているのは誰々で、財界人で糸を引いているのは誰だと具体的にあげてみれば。また、彼の隠された大きな戦略は何だと。◇大マスコミなら、そんなこととうにお分かりのはずなのだから。
◇しかし実のところ、それはどうでもいい。◇鳩山の<隠された意図>がどこにあろうが、今回の西川問題に限定して彼が正しいことを言っているのなら(=それがたとえ形式的にであれ)、IFSAはそれを支持するというか、それを利用してでもコトを動かすほうにつく。
◇政治とか権力闘争というのはそういうものだ。◇純粋じゃないって?笑わせちゃいけない。
◇テレビ界の偽善者たちは本丸へ踏み込めば大けがをすることを熟知しているから、どうでもいい周辺事情へ大衆の目を向けさせては、自身を安全地帯へと導く。◇どうせ鳩山邦夫は孤立している。マジョリティーを敵に回す愚だけは避けよ!というテーゼからすれば、現時点では鳩山をたたくのが常道というわけだ。
◇鳩山邦夫の動きに対するコイズミグループの総力をあげた巻き返し。◇目下のところそれが効を奏しているという事実を知らぬマスコミがいるとしたら、それははなからジャーナリズム失格というものだろう。
◇きれいごとだけが最大価値のテレビマスコミは、<核心だけからはエスケープしろ><周辺の絶対善は本丸のごとくに擬装して利用しつくせ>を忠実に実行している。◇テレビ朝日系の「報道ステーション」、古舘伊知郎も朝日新聞の一色清も、まあそんなお気楽なノリでいい子ぶっていたっけ。(敬称略)
★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★
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