毅然たるを演出する舛添厚労相のオポチュニストぶり。あのインフル対応をはじめとして
◇なぜか首相にしたい人の上位にいつもあげられる舛添要一厚労相。だがそのいいかげんさについては、当IFSA通信、しつこいくらいに論じてきた。◇最新のものとしては2009.05.09の【新型インフルへの対応は政治的<好機>とばかり高揚する舛添厚労相。お里が知れる】がある。
◇自民党の中で一頭地を抜く(=総理候補へ効率よく近づく)にはどうすべきか。そればかりを考えているこの男は、本能的ともいうべき勘のよさでシンボリックな事象へ飛びつく。◇しかしいかんせんモノを見る目が単純なため、ということは社会心理学的なイミで底が浅いため、すぐ馬脚をあらわすことに。
◇そう、本当のところは勘が悪いのである。もっといえば、<人間>が見えていない。◇だから今回の新型インフルエンザでも、IFSAの予測どおり大恥をかき、あとからぶつぶつ言い訳にこれつとめること となる。みっともないったらありゃしない。
◇今後も風見鶏で生きていこうというなら、あの大勲位・中曾根康弘くらい徹底していなければネ。
◇その一例。先のIFSA通信でも指摘したように、横浜市の高校生が新型インフルエンザ感染第一号(疑)となった際の舛添のはしゃぎっぷりといったら、そりゃ尋常じゃなかった。
★★【新型インフル】エンジン全開の舛添厚労相、大丈夫?
TOKYO WEB・09.05.01
◇「新型インフルエンザ問題で、舛添要一厚生労働相が連日早朝や深夜に緊急記者会見を開くなど『エンジン全開』で対応している」。
◇「『国民が一丸となって協力すれば、この見えない敵であるウイルスとの戦いに必ず勝てる。ぜひオールジャパンで全員の力を合わせてウイルスと戦いたい』」。◇「1日午前の閣議後会見。テンションが高めの舛添氏は新型インフルエンザ対策を勇ましい勝負事になぞらえ、全力で取り組む姿勢を強調した」。
◇いったい何に淵源するのだろう、このリキは。
◇そして「舛添氏は新型インフルエンザ問題について『私から国民に一刻も早く正確な情報を伝える』としており、重大事案は、舛添氏が発表するのが鉄則(後略)」とされた。◇最高潮が見込めるパフォーマンスだけは役人ごときに渡さない!の決意が読み取れ、ほほ笑ましくもばかばかしくなるではないか。
◇だから記者発表資料がとうにできていても、事務局から報道陣へ渡してしまうのは御法度。◇「『大臣が来るまではダメ』」で待たされることと相成る。本末転倒このうえない。◇そして横浜の高校生はノン新型インフルと分かるや、もはやニュースバリュー(=パフォーマンスバリュー)なしとばかり厚労相殿はお出ましにならないのだった。
◇水際作戦など幻想、ポイントは国内診療体制の確立にありとは、当初から多くの疫学者が述べてきたところ。これは結果論ではない。◇しかしそこを突かれた舛添は負けん気だけを全開にさせ、「もし成田等の検疫体制をゆるめて死者が出たら、だれが責任をとるのか」(大意)と開き直った。
◇ここには舛添をはじめとする厚労省の無責任体質、すなわちアリバイ証明体質が如実にあらわれている。◇もし彼らが「死者が出たらどうするのか」を本気で心配しているのなら、たとえ近畿地方で患者が発生したとて検疫体制は続行しなければならないことになる。
◇しかし彼らは突然、成田検疫を放り出してしまった。その時、実は彼らに何のロジックもなかったことが明らかとなった。何で厳重な空港検疫を行ってきたかに関するそれが空無!◇いや、彼らに百歩譲れば、こうは言えよう。<強毒性かもしれないうちは検疫を強化・続行>→<弱毒性と分かった段階で検疫は中止。国内医療体制整備へとシフト>。
◇しかし彼らはこの論理にもつかなった。◇とにかく水際での勝負一本槍。なるほど、テレビの画像的には勇ましくてかっこうがいい。テリー伊藤にほめられそうなまでに。
◇現役の厚労省検疫官ながら厚労省の方針を弾劾する木村盛世はこう述べる。
★★新型インフルエンザ疑いという「汚名」
木村盛世オフィシャルWEBサイト・09.05.05
◇「すなわち、今回は弱毒性で通常のインフルエンザと変わらない病気があたかも天然痘レベルのとんでもなく恐ろしい伝染病として社会的なレッテルを貼られているのです」。
◇「先日、国内初の患者か?と騒がれた横浜の高校生については高校名や実名も探し当てられています。患者のプライバシーをまったく考慮しない国や地方自治体の不用意な会見や発言が、今回の病気を既にスティグマ化しているのです」。
◇「その元凶をつくっているのが『検疫で一人も国に入れない!』と狂気のさたで騒いでいる厚労省です。このスローガンは『日本に1人でもカゼの患者が出たら日本は玉砕する』と言っているくらい愚かなのです」。
◇木村の主張は09.05.16の同サイト<★★検疫を主張した人の責任はどこに?>でさらに激しさを増す。◇「国がやるべきことは、『一人の患者も国内で出さない』とこ(こと-筆者註)ではなく「いかに広がりを少なくするか』です。このためには今の無駄な『検疫』を止め、国内患者の対応にすべてを注ぐべきです」。
◇そしてあるべき「国内患者の対応」を語った後、「それにしても女性同伴した政治家が引責辞任をするなか、『検疫オンリー』を主張した健康局長ならびに専門医委員会の専門家が何の責任追及もされないのはおかしな話です」と。
◇「税金の無駄という点においても社会的混乱を招いたという点においても、女性同伴よりはもっと大きな罪を負っているはずです」。
◇木村盛世といえば、『厚生労働省崩壊』(講談社・09.03)で一部から注目されていた厚労省現役の医系技官で、その勇気たるや大したものと思うが、IFSAの直感(直観)としてはどこかエキセントリックな部分も見えないわけではない。
◇本はすでに買い求めてあるので、彼女についての全体的な評価は読後あらためてということにしよう。
◇さてでは、パフォーマー・舛添のその後はどう推移したか。◇東京新聞がこう伝えてくれる。
★★舛添氏、国内の注意喚起で反省 新型インフル対応
TOKYO WEB・09.05.25
◇「舛添要一厚生労働相は25日の参院予算委員会で、これまでの新型インフルエンザ対応について『今回の教訓を組織として次に渡していかないといけない。今反省して言えば”すでに(国内に)入っているかもしれない”ともっと言っておけばよかったかなと思う』と述べた」。
◇この学者的客観性を装った対応こそが実はくせものなのであり、<水際での封じ込め>に力み返っていた当事者がこの期に及んで「”すでに(国内に)入っているかもしれない”ともっと言っておけばよかった」というんだから、いくらお人よしの国民とはいえ、舛添マジックにこれ以上だまされてはいけない。
◇この一事だけからも、舛添要一のレベルというか人間性が透けてみえようというもの。
◇ところで話はかわり、なぜか急に飛び出してきた厚労省分割案。◇これに関する彼の<変遷>を少々紹介し、今回は筆をおくとしよう。
◇「年金記録問題や後期高齢者医療制度への対応に連日追われる舛添氏は『省庁を再編し、厚労省を(年金、労働、医療の)三つに分割すべきだ』とも述べ、柔軟な対応の必要性を強調した」(★★舛添厚労相「年金省できてもいい」・asahi.com・08.04.26)。
◇「舛添厚生労働相は7日、『厚生労働省は大きすぎる。雇用から年金から全部。省庁の再編成を考えないといけない』と述べ、年金省・厚生省・労働省の三つに分割するプランを示した」(★★舛添厚労相、省の解体言及 厚生、年金、労働に3分割案・asahi.com・09.03.08)。
◇「大臣自らが担当省庁の解体に言及するのは異例で(後略)」(同上)あるにもかかわらず。◇かと思えばその2カ月半後には・・・・・・・。
◇「舛添要一厚生労働相は21日の経済財政諮問会議で、麻生太郎首相が主張する厚労省の分割について『そう簡単にできない』と述べ、慎重に検討する必要があるとの姿勢を示した」(★★舛添氏、厚労省分割に慎重・MSN産経ニュース・09.05.22)。
◇「舛添厚生労働相は26日午前の記者会見で、麻生首相が意欲を示す厚生労働省の分割について、『議論不足だ。拙速でやるべきではない』と述べ、急いで結論を出すことには慎重な姿勢を示した」(★★厚労省分割「拙速でやるべきではない」・・・舛添大臣・YOMIURI ONLINE・09.05.26)。
◇「舛添氏は『内閣の一員なので、最終的には首相の指示に従う』としたものの、『厚労省だけの問題ではない。省庁再々編をやるべきだ』と語り、厚労省が分割論の中心であることに警戒感を示した」(★★厚労省分割案:舛添厚労相が否定的な見解・毎日jp.・09.05.26)。
◇麻生首相は、<憎き厚労省>を解体するから国民の皆さん1票を!と見るからに頼りない画策を試みるし、他方の厚労省内部には「(前略)力の弱い省が二つできるだけ、という不安もある。かつて分割を口にした舛添厚労相も、19日の閣議後会見では『1人の大臣でできないというなら、国土交通省も同じだ』と述べ、警戒感を示した」(★★厚労省分割:「解体」で不信解消・・・首相、政権公約に・毎日jp.・09.05.21)という、打算にだけ発した政府内ねじれ現象が。
◇ただ、厚労行政はどうあるべきかの視点がない点では両者見事なまでに一致している。
◇ふにゃふにゃ麻生はともかく、時系列的にウオッチしつづけなければ危なくてしようがない野心家・舛添要一がここにはいる。◇そしてわが日本人および日本社会は、この種の<フットワークのいい>人物にコロッとだまされやすい特性を持つ。(敬称略)
★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★


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