★★ETC:助成100万台分50億円 国交省
毎日jp.・2009.02.28
◇「政府が3月に経済対策として実施する高速道路料金引き下げに合わせ、国土交通省は27日、自動料金収受システム(ETC)の新規購入者に対し、100万台分(約50億円)の助成を実施することにした」。
◇「1月末現在の全国のETC搭載車は約2260万台で全体の約3割。ETC搭載車に限定される高速道路料金引き下げに便乗することで、搭載率アップを狙う」。
◇われわれ東京にいる人間にあっては有料道路だらけのためETCの利用価値は相当に高いが、たとえばの話、北海道の人、岩手県の人、富山県の人、熊本県の人の場合、ビジネスなどで頻繁に利用でもしないかぎり、ETCをつけるメリットはほとんどないのが実態だろう。
◇だから、「ETCの利用率は全国で77%で、自動車保有台数に対するETC搭載車の割合は約3割」という偏った現実となる(★★ETC:「新車に標準装備を」・・・高速道路6社が要望書・毎日jp.・09.03.12)。
◇後に述べるETC本来の趣旨からすれば、これは何ら異常なことではなく、問題とするに足らない。◇しかし為政者にとっては我慢がならない。なぜか。◇<ETCの隠された趣旨>、それに反するからだ。
◇それゆえ、税金から助成金をばんばん放出してみたり、<新車にETCを標準装備させよ>と言ってみたりして、一刻も早くほぼ100%実現!の本音を隠そうともしない。◇われわれのようにずいぶん昔、もちろん自費にて取り付けた人間たちとの整合性などてんから無視してまで、その急ぐこと急ぐこと。
★★ETC取り付け助成スタート
首都高会社は無料キャンペーン
YOMIURI ONLINE・09.03.12
◇「地方の高速道路で土日・祝日の普通車料金を上限1000円とすることを柱とした大幅な料金割引が実施されるのを前に、ETC(ノンストップ自動料金収受システム)機器の購入・取り付けに対する助成が12日(中略)始まった」。
◇四輪車なら5250円の補助を行い、「約100万台分の普及を図るというもの」。◇さらには「(前略)首都高速道路会社も同日から、東京都世田谷区内などの3会場で、財団の助成に同社独自の助成を上乗せしてETC機器を無料提供するキャンペーンを始めた」。
◇一見よさそうな大盤振る舞いだが、ふざけきった施策ではないか。◇まず第1は、既述のごとく、全額自費で(=それが当然であろう!)取り付けた人間は非常にアタマにくるという点。公平さに欠けるという点。
◇第2は、「財団の助成」なるものがいったいどこから出されるのか、また首都高速会社の「上乗せ」はという点。◇「助成の財源は、13年度までに解散する同省所管の財団法人『高速道路交流推進財団』の保有資産を活用する」(上記、毎日jp.・2009.02.28)とはいえ、もとは国民から取り上げたカネにほかならない。
◇要は、そのときばったりの恣意性というか無原則、デタラメにすぎない。
◇まずはそもそも論からいこう。この恐ろしく便利なETC、その導入の国家的思惑は奈辺(なへん)にありや。
◇IFSAはこう考える。(1)料金所に発する渋滞解消(+)結果としての環境寄与。(2)料金所における人件費の削減(+)道路会社の管理費削減。結果としての高速料金値下げ。(3)そしてその他として、料金システムのフレキシブルな運用(=たとえば、<何とか割り引き>とか)。
◇しかし実態はどうか。というより、当初から国がもくろんできた本意とは。◇まずはETCのためのシステム開発にかかわる天下り組織の新設(+)ETCを運営する天下り組織(=たとえば道路システム高度化推進機構)という甘い汁の創出。◇そして、ETC装着から得られるテラ銭の魅力。これは2年ほど前まで、装着時の上納金という形で実施されていた。
◇加えて、ETCにより可能となる上記(3)<=料金システムのフレキシブルな運用>という本丸。◇このムチを手にしたいからこそ、彼らは深夜割引や通勤割引といった、1冊のパンフレットをつくらねば分からぬほどの複雑なアメをETC装着車だけに与え、1日も早いETCの全車装備へと突っ走るのだった。
◇首都高速道路会社が「ETC機器を無料提供するキャンペーン」なんてのも、明日にでも首都高の距離別料金制導入!といった強い願望のあらわれにすぎない。◇釣った魚にエサはやらないどころか、その魚からの<思いのまま搾取状態>が到来するのを夢見て。
◇そう、<ETC完全装備以降は国のやりたい放題!>と筋書きは最初から決まっていた。
◇ではここで視点を変え、以下のような<とんでも事件>を取り上げるとしよう。
★★スマートIC欲しい 税金使い『カラ通行』
TOKYO Web・08.04.07
◇「高速道路のサービスエリア(SA)などを利用して車の出入り口を造る『スマートインターチェンジ』(IC)」。◇「国交省は今後、五千億円を投入して約二百カ所の建設を目指すが、建設基準の不透明さが浮き彫りになっている」。
◇「国土交通省は実験段階で車の利用実績が認められたとして、すでに全国三十一カ所で本格導入したが、中には地元の自治体職員が公用車を使って”実績”を水増しし、常設化にこぎ着けたところもあった」。◇舞台は「福島県会津美里町の磐越道・新鶴(にいつる)スマートIC」という。
◇「『「町民の税金で”カラ通行”しないと成り立たないICを国民の税金で造る。二重の無駄遣いですよ』 そう怒る元町議の鹿野敏子さん(55)(後略)」。
◇しかし「長谷川緑・同町建設課長は『ICは二十年越しの悲願。アクセス道の整備に一億円かけており、ICが閉じたらパーになる。(水増しは)数字を出すにはやむを得なかった。地元には必要だし、会津観光の利便性も増す』と話している」。
◇最後の段落に、日本社会の体質が如実にあらわれている。◇建設土木中心の公共事業も先細り→そこで<スマートIC>なる耳あたりのいい、文字どおり<スマートで環境に優しい?>公共事業で起死回生を→しかし無人の<スマートIC>はETC車でなければ通過不可能→だからその前提として、ETCの普及が至上命令。
◇これは一例だが、国がETCを急ぐ実情がここにも存する。◇そしてくせ者の<スマートIC>誘致合戦が白熱化し、われもわれもと手をあげる。◇しかしこれを負担するのは、いつものように税金とくる。新幹線・空港・高速道路・港湾・橋りょう・・・・・・・と同根であるのは言をまたない。
◇「スマートICはサービスエリアなどの空き空間を利用し間隔の長いIC間に設けるもので04年度以降、39カ所(4カ所は休止)で試験導入されている」。◇「ICは高速道路会社の負担で設置するのが原則だが、スマートICは地方からの設置要望も多いため国費を投入」。
◇「年内にまとめられる道路整備中期計画には08年度から10年間、毎年20~30カ所のスマートICを設置する方針が盛り込まれる見通しだ」(以上、★★ETC:高速道の利用率が7割突破 ただ普及率は2割強・毎日jp.・07.10.14)。◇データ的には少々古すぎる記事とはいえ、フムフム、いつものアレかという直感に誰しもがいざなわれよう。
◇スマートICに関しては、以下のような記事にも出会った。
★★スマートIC:飛彈河合PA、導入断念
実験での利用者が少なく
毎日jp.・岐阜版・09.02.17
◇「国と県、市などでつくる協議会は16日、スマートICの本格運用を断念した」。◇理由として「目標は1日平均157台だったが、約60台にとどまった」があげられているが、IFSAの注目したのは「1日平均157台」という目標のほう。
◇実質稼働の1日を15時間としても、1時間あたり10台?何じゃこりゃ。◇それにスマートICといえば建設費はばか安と思われがちだが、とんでもはっぷん、立派な大公共事業という説もあるし。
◇ところで、そこらの進歩的知識人とはちがい、技術の進歩を素直に称揚する、便利なものはすぐに使う・・・に徹するIFSAは、かなり早い時期からETCを装着したうえで、<彼ら>のやり方をじっくりと観察してきた。
◇まず連中が行った嫌がらせとは何か。◇たとえば大混雑の首都高。まだETCがほとんど普及していない時期だったというのに、ただでさえ少ない料金所のゲートにETC専用をいくつか設け、非装着者の渋滞を助長してくれたものだ。◇イヤならすぐにでもETCをつけなさいといわんばかりの誘導のため。◇効果てきめん、非装着者用ゲートは長い列となった。
◇しかし、こうした<ETCの隠された趣旨>、不純な意図をドライバーは十分認識しながら、日本人はけっして怒らない。◇だから相手は、そこへぐいぐいつけ込んでくる。
◇またもうひとつ。彼らはハイウェイカード(ハイカ)をさっさと廃止した。偽造カード被害にたまりかねてといった風情を装いながら。◇しかしそんなものは理由にもならない。偽造への防御策を講ずればいいだけのことだから。◇本心はいうまでもなく、ETCへの転換インセンティブにすぎない。
◇あの魅力のプレミアムにんじん(=IFSAが愛用した5万円券で5万8千円分というあれ)はものの見事にチャラとされ、わけの分からぬETCポイント制へと勝手に移行。当然、レートは低いとくる。◇キタナイといったらありゃしない。というより、権力の乱用だ。
◇こうしたETC史の延長線上に、麻生政権の定額給付金的人気取りデタラメ施策(=ETC普通車に限り、高速1000円乗り放題)が始まる。しかも2年間の時限立法で。◇詳しくは<★★高速料金、1000円下回る区間を半額に・・・国交省・ZAKZAK・09.01.16>を参照願いたい。
◇民主党の高速道路無料化案に対し、財源をどこに求めるのだ、バラマキそのものじゃないかと口を極めてののしっていた自民党の幹部たちが、今度は一転、上記のような無原則施策へ打って出た。◇毎度のこと、そこには政治哲学の片鱗(へんりん)すらうかがえない。
◇しかも、コイズミや猪瀬直樹がこれぞ民営化と自画自賛した旧道路公団の変質(=こんなものは民営でも何でもない!)、そこの料金体系へ国が勝手に手を突っ込むという大矛盾を、彼らはいったいどう説明するというのか。
◇いくら国からの補填(ほてん)があるとはいえ、じゃあたとえば、国は小田急電鉄の運賃をみずからの意思で9割カットできるのか。◇コイズミじゃないけど、笑っちゃうよまったくだ。
◇ETCという優れたイノベーション・ツールを、マクロ的視点から善政へ向け使いこなすことなく、泥まみれにしてなお恥じない与党政治家と官僚たち。◇日本社会の救いのなさはここにも象徴的にあらわれている。(敬称略)
★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★
〔ご参考〕=<IFSAとは&IFSAの経歴>はこのリンクをクリックください。
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