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2008年8月19日 (火)

IFSAの平成版生活雑感事典(2008.08-1) =コードレスマウス&ブックオフ型古書店

今回より、新シリーズ<IFSAの平成版生活雑感事典>を開始しますアイテムが生じ次第の随時掲載となりますご愛読ください

【コードレスマウス】

◇1カ月ほど前、ノートパソコンのポインターが突然動いたり動かなくなったりし、不安になったことがあった。◇仕方なく、ほとんど使ったことのないパッドマウスで2~3日間しのいではいたが、慣れないせいかどうにも使いにくい。◇そこで念のため、東芝(私のPCはダイナブックなので)へ電話をかけて教えを請う。

◇だいぶ前に<東芝クレーマー事件>で社会問題化したせいか窓口は超丁寧で、こちらが恐縮してしまうほど。◇いまやドコモと双璧をなすといってもいい親切ヘルプデスクといえよう。

◇それはともかく、東芝の見立ては「マウスに問題あり。おそらくは断線気味でしょう」という。◇アドバイスに従い、Windows ME時代のマウスを使ってみたら、ヤヤ、これでも動かない。ということは本体に問題ありかと、昔のトラウマがよみがえり、一瞬焦った。◇そこで再度東芝に聞くや、USBのバージョン違いのせいでは?とのこと。念のためあとでヨドバシカメラの担当者に相談してみると、そんなことはあり得ないと一刀のもと切り捨てられた。

◇ではなぜ、時代がかったでっかいME当時のマウスでも作動しなかったのか。それはいまだ不明である。◇PC本体の故障でないことを祈りつつ、京急百貨店(横浜市)内にあるヨドバシカメラ・京急上大岡へパソコンごと持っていく。◇ヨドバシのマウスでは正常に動いたため、ならばマウスに問題ありとの結論に達した。

◇東芝の人が電話でざっくばらんに話してくれた。「私もよくマウスを落とすんですよネ。机からブラブラと」。その積み重ねで断線というわけだろう。◇しかもこの私、週に一度は板橋-横浜間を専用バッグに入れて移動している。断線の確率はいっそう増すことだろう。

◇こうなると、あとはどのマウスを選ぶかだ。◇しかし私は、カメラやオーディオのようにはパソコンの世界に魅力を感じていないから、故障で出動を余儀なくされないかぎり、その世界を事前にリサーチすることはない。◇大型家電店でもまずPCコーナーには立ち寄らないし、雑誌を立ち読みすることもない。

◇だからヨドバシで、マウスって1000円台より買えると知らされ、ぶったまげてしまった。◇しかも、コード付きマウスにマイクロソフトブランドがずらっと並ぼうとは、想像だにしなかった。

◇では、いま買おうとしているマウス、どんな要素で選択すべきなのかを店員に聞いてみると、「それほど差異はない、あとはコードレスを選ぶかどうかだけ」とのこたえが返る。◇本体に受信機能を内蔵する最新型PCでなければコードレスはムリとばかり思っていた私は、再度小さな驚きを。◇何せ、USBジャックに受信部さえ差し込めばOKだというのだから。

◇ではメーカーは?機種は?となるが、たまたま特設ワゴンが目の前にあり、今日なら「台数限定割引」のこれがイチオシですよ、と自信満々に話してくれる。◇ブランド名はロジクール。本当はロジテックという世界一のマウスメーカーなんだけど、日本に同名の会社が存在し、やむなくロジクールに・・・・・・・なんてことをムニャムニャと付け加えた。◇私にあってはこういう話がいちばんおもしろいので、思わず身を乗りだしてしまう。

◇ロジテックもロジクールも初耳の私にはそれだけでも興味津々というのに、「世界一のマウスメーカー」のくだりにはそれ以上感心してしまった。◇たかがと言っては失礼ながら、マウスの分野で世界一?そういうのがあるんだ!いや、そりゃ当然あってしかるべきだろう。◇それならばと変な後押しを感じ、これに決めた。◇正確には忘れたが、当日限定特価でたしか3500円くらいだったろうか。想像以上に安い。

◇この製品は、コードレスばかりか、通常の光学式ではないレーザー方式だから、ほとんどの材質面上で使用が可能という。◇調子に乗り、そのレーザーって体に悪くないの?と店員に尋ねたら、一笑に付される。ただ、その科学的根拠となるといまだ不明だ。◇使用法は、マウス本体に収納されるUSB端子をはずしてPCへ接続するだけという、いたってシンプルなもの。◇マウスには単3電池2本を収納。結構重いですねといいかけて止めた。持ち上げるわけではないのだから。

◇ただ慣れないうちは、滑らせるだけでも実際問題重く感じ、若干疲れるなという印象だったが、いまや全然問題はない。◇というのも、ほんのちょっと動かすだけでポインターが敏感に反応するため、手首を軸にわずかばかり指をふらつかせれば全画面へとポインターがスムーズに走ってくれるからだ。◇思えばコード付きのときは、(私の不器用が輪をかけていたとはいえ)結構くりくりと円を描いたりして神経質にさばいていたものだった。

◇こんなすぐれものがあるなら、もっと早く使えばよかったのにと後悔している。だが、コードレスマウスが私の古いPCにも使えるなんて知らなかったんだから、致し方ない。◇いまは妻に、あなたのも買い替えたらどうお?と勧めているところである。◇しかし、「たしかにいいでしょうね」というだけで、反応は鈍い。

【ブックオフ的古書店】

◇当IFSA通信では、ブックオフの効用と変容について何度も書いてきた。◇創業者オーナーがとんでも事件で引退したせいか、ここのところ、一時のブックオフの勢いは完全に失(う)せている。また、重点商品もシフトしつつある。◇売れ筋が大きく変わっているのだから当然とはいえ、マンガとCD・DVDが店の入り口付近と中心部を占め、われわれの求める本などは次第次第に片隅へと追いやられ始めている。

◇そうはいっても、名物の105円コーナーは依然健在で刺激的。わが板橋区高島平にあるブックオフだけは、なぜか名物105円コーナーを単行本に限って中止し、200円コーナーへと鞍替えしているが、これなどは早晩行き詰まるだろう。◇105円という潔い響きこそがポイント。しかも、中身へは何の目配りもせず、定価の半額ではなかなか売れない本を機械的に105円へ格下げしていくようだから、こちらにとってはまさに玉石混淆(こんこう)で、それが何ともgood!の魅力なのである。

◇ヘタな古本屋のような価値判断が皆無。マックス・ウエーバーではないが、ブックオフは期せずして<価値判断自由>といった画期的商法を採用した。◇それもあり、既存の古書店でも105円もしくは100円、あるいは3冊200円スタイルをスタートさせつつある。◇ただ、神田神保町の喫茶店・ラドリオの向かい側にあった古書店の、道路に面した壮観な書棚。あればかりは、ブックオフなどよりずっと先達といえようか。

岩波書店の有料(優良)広報月刊誌『図書』(1年分送料共1000円!)07.10.に、作家の高橋三千綱「105円のアドベンチャー」と題するエッセーを寄せている。◇高橋の言う105円は、まさにIFSAお得意のブックオフ的105円とドンピシャリ。◇この記号105円はけっこう精神をエンカレッジする数字で、彼にあってもそれはどうやらそのとおりらしい。◇今回はその高橋の作品から、今日のテーマとシンクロする部分を引用させていただこう。

◇高橋がよく歩くという大國魂(おおくにたま)神社(東京都府中市)付近に古書店があり、「(前略)店内には新古本が置かれているが、通りに面した壁際にも棚をつくって、古本を並べている」。◇「主に単行本だが、新書や文庫、漫画本もあって、どれでも一冊一〇〇円、消費税込みで一〇五円という乱暴ぶりである」。◇「その中に掘り出し物があるかもしれない、と思うと、簡単には素通りできない」。

◇「大抵の本は五年から十年近く前のもので、私は経済物とか株式投資の本といったものを、好んで買う傾向がある」。◇「たとえば、ITバブルは九八年の終わり頃からはじまったが、これを予想した学者はどれだけいたかとか、バブルが崩壊した二〇〇一年に出された投資本で、誰がそれを警告していたか、などを知るのが面白いからである」。

◇「竹中平蔵という人が、大臣になる前に書いた経済入門書などは、まさに一〇五円にふさわしい内容であった」。◇「郵政省の民営化を説いていたが、肝心の財政投融資の無駄遣いについては書かれていなかった」。◇「勿論すぐに古雑誌のリサイクルに出した。トイレットペーパーになって還っていらっしゃい、というわけである」

◇そういえば私の友人に、竹中の『経済ってそういうことだったのか会議』(形の上では佐藤雅彦との対談)を読み、当時いたく感激していた人物がいたっけ。

◇もちろん、竹中のそれのごとく<105円にぴったり>!なんてものではない価値アリ本も多く存在する。だからこそ玉石混淆の妙味なのだ。◇高橋三千綱も書く。「『大破局』では、投資銀行のモルガン・スタンレーで、デリバティブ(金融派生商品)を売りまくっていた連中が、いかにあざとく儲けていたかを知った。(中略)だが、結局、デリバティブとはどんなしくみになっているのか、といった根元的なことはさっぱり分からなかった」。◇「分かったのは、連中は詐欺師であるということである」

◇「この本をこんな場所にさらしておいてはいかん、と怒って買うこともある」。◇「びっくりしたのは、新潮日本文学が、ドーンと十冊並んでいたのを見たときである」。◇「周囲に誰もいないのに、あわてて全部購入した」。

◇このさえたエッセー他10数篇を収載する広報誌の『図書』が、税・送料込みで1冊あたり83.3円。◇本というものの価値は値段でははかれない、同じ105円でも5千円に相当するものもあれば、<再生紙トイレットペーパー>がふさわしいものもあるいう真実を、あのブックオフ様が教えてくれるというアイロニー。◇私にあっては、複雑な心境どころか、実にすがすがしい現象である。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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