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2008年5月 7日 (水)

IFSA・週明け掲載「散歩の凡人=私にとって東京の南半球<葛飾区>を歩く(中)」

前回の「IFSA・週明け掲載『散歩の凡人=私にとって東京の南半球<葛飾区>を歩く(上)』」は、私にとって準バージンエリアともいえる京成本線青砥駅周辺の青戸でした今回は、葛飾のもつ<抑えめ>に惹(ひ)かれての再訪問です

◇話は飛ぶようだが、私の書籍購入方法に何種類かあるのは、当IFSA通信で何度か述べた。◇まずは新本新宿のジュンク堂書店を中心に、この目で見て買う。急ぎの場合は、アマゾンまたは楽天ブックスへインターネット発注する。時間があれば、神保町の日本特価書籍へFAXで事前に頼んでおき、1割引にて購入。◇古本なら、アマゾンのマーケットプレース、もしくは「日本の古本屋」での通販購入。各地の古書店めぐり。そしていまやパワーダウンしたとはいえ、おなじみのブックオフ・・・といったところか。

◇そのうち「日本の古本屋」は、商品を掲載する古書店の内容が明示されるから、家よりクルマで行けるような地域なら、事前に電話をして取りに行くこととしている。◇経費は配送料プラス郵便振替料でもせいぜい400円少々。であればこのご時世、へたにガソリンと時間を浪費するよりは送ってもらったほうが断然経済的!ともいえそうだが、こちらにはそれを契機に店をのぞいてみたいとの願望がある。

◇そんななかある本を探していたら、葛飾区堀切3丁目の青木書店にぶつかった。◇お~お、葛飾!これはラッキーと早速電話をし、妻と出かけた。◇前回、堀切橋を渡って青戸へと向かった関係上、多少の土地勘はできていたが、堀切菖蒲園駅周辺に近づいてからの難しいこと。下町特有の変形路地だらけだ。

◇大荒れの天候で細くしか店先を開けていなかったことも加わり、あっという間に通り過ぎてしまった。◇場所は線路際の細い道。一方通行だから引き返すこともできない。大通りに停車させた車中で妻に待ってもらい、ひとり急ぎ足で探す。◇携帯にて確かめると、奥さんが道路に出て待っていてくださる。

◇そして一歩店内に入り、ぶったまげた。もう50年近くも古本屋通いをしてしているから、たった一目で分かるのだ。◇こちらは、初版あさりのコレクターとはちがう実用派。そのニーズも十分に満たしてくれる店と見受けた。◇へたな神保町の店より充実している。

◇気取らないご夫婦と短時間会話を交わしたが、クルマが気になって早々に失礼する。電車にてまたの日を期さねば。◇前回の青砥駅周辺で出会った古書店の充実ぶり。葛飾には何かにおいがしていたのだ。それがばっちり。これほどの満足感もない。

◇帰ってからネットで調べてみると、先代のご主人が執筆でも有名な人だと知る。そこには称賛の嵐が。◇しかしIFSAは、そういうことにはほとんど関心がない。古本屋自体の価値とは何の関係もないからだ。

◇まあ、今回の青木書店の例などが、<「日本の古本屋」にて検索実際に訪ねての購入>の醍醐味といえる。それによって得られたメリットは数知れない。◇たとえば、西武池袋線石神井公園駅すぐの、超プロっぽいきさらぎ文庫、同・東長崎駅近くの湧泉堂書店(=このお店については<2008.01.10のIFSA通信>をご覧いただきたい)、京王井の頭線東松原駅からちょっとにあった、ありきたりの古書店(店名は失念)・・・・・・・。

◇本の成果ばかりか、近くの100円パーキングにクルマをとめ、はじめての街をじっくりと探検するときめき、いい喫茶店を見つけての読書。◇これぞ副作用というか、得がたい収穫だろう。◇古本でもなければなかなか来ることのない街にひたれるのだから。

◇さて青木書店で掘り出し物を手にした私は、大昔行ったことのある堀切菖蒲園の外観だけでも見ておこうと、駅前から都道314を横切って南下を始めた。◇ここは江戸時代からの名所で、その後、都立から葛飾区立へと変遷。いまは入場料もとらないらしい。◇駐車場がないため塀に沿ってクルマを走らせ、あらためて菖蒲の季節の6月に来ることとする。

◇そのまま行くと、上を首都高中央環状線が覆う道に出た。◇土手の向こうには綾瀬川が流れるが、ここは人工の河道であり、大正期まではもう少し北側で急に南西へと右折し、荒川(現・隅田川)に注いでいたはず。◇その合流点あたりが、カネボウで有名な鐘ヶ淵になる。足立区と墨田区の境である。◇綾瀬川の細流は荒川放水路(現・荒川)という巨大河川の掘削によりぶったぎられ、仕方なく直線上に南下する人工の綾瀬川へ瀬替えされた。◇ただし、旧河川の跡は旧綾瀬川としてたった430mだけ残っている。

◇さて日をあらため、葛飾散策シリーズの第3弾となったのは、葛飾区郷土と天文の博物館であった。◇東京の地形のベースをなす東京低地埼玉平野に執着するIFSAとしては、どうしても見ておきたいところだった。◇地理のお勉強にはあまり出てこないこれらの分野を調べていると、ここの学芸員の活躍が目立つ。だから一度はとなったわけだ。

◇カーナビのままに案内されていくと、いつしか立派な建物が見えてきた。◇ここ葛飾区白鳥は、常磐線亀有駅京成線お花茶屋駅を南北に結ぶ道路の、少々お花茶屋寄りに位置する町で、IFSAにとっては生まれてはじめての場所。◇そもそも、白鳥という住居表示すら知らなかった。

◇この博物館の前には、変にきれいに整備された水路が流れ、曳舟川(ひきふねがわ)親水公園と銘打たれている。◇えっ、曳舟川?それって、向島から隅田川につながるあの水路と同じ?第2東京タワーをつくると騒いでいる業平(なりひら)橋あたりを流れるあの川なのだろうか。

◇急きょ、東京の川のバイブルである鈴木理生編著『江戸・東京の川と水辺の事典』(柏書房)にあたってみる。◇これはどうやら埼玉県の幸手市にて利根川の水を引く葛西用水(幸手用水)の下流に相当し、やはり業平橋近辺のそれとは同一なりと判明した。◇そういえば、地図にもいまだ、曳舟川通りとして名をとどめている。

◇それにしても、全国どこにでもある<親水公園>のしらじらしさよ。◇インターネットで<曳舟川親水公園>の項を見ていたら、クチコミに「ここはどうやら源泉かけ流しではなさそう」とあって親水公園を品よく揶揄(やゆ)しており、ひとり大ウケした。

〔註〕<源泉かけ流しに関する『現代用語の基礎知識・2006年電子版』(自由国民社・ロゴヴィスタ刊)の解説がこれまたおもしろい。◇「温泉ジャーナリストの野口悦男氏による造語。この言葉ができる前は”流しっぱなし””垂れ流し”とよんでいたくらいで、それはお客さんをよぶ”宣伝材料”ではなかった(以下略)」。

◇ところで肝心の郷土と天文の博物館。プラネタリウムを併設したりして建物だけは異様に立派だが、ムダな空間と大理石?っぽい建材の多用には、はなからがっかりさせられた。◇そして展示の中身がピーマンとくれば、何をか言わんやであろう。

◇展示自体、カネをかけていそうなわりにはぶつ切りでさっぱりだし、一連のコンセプトにも欠け、説明もまた刹那的。◇訴えたい熱情がさっぱり伝わってこない。最近の博物館では、むしろ珍しいと言わざるを得ない。

◇まさにハコモノ行政を絵に描いたような運営といえよう。◇いくら平日とはいえ、入館者はわれわれ夫婦だけ。そこへ受付の女性2名と、なぜかガードマンが何人か。何じゃこれはという代物だ。◇博物館というのは、カネをかけたのを自慢する場所ではないだろう。ひどすぎる。◇ばかでかい図体とマル金っぽい装置が実にむなしかった。

◇ただ、同館のすぐれた刊行物である『特別展 下町・中世再発見』(93年)『特別展 川の手 放水路のある風景』(03年)の図録だけはしっかり買ってきた。◇ものすごくリキの入った作品で、『上野公園論』執筆には大いに使用させていただこうと思っている。◇ここははたして、優秀な学芸員がいきいきと働ける職場になっているのか、いささか心配である。-つづく-(次回は水元公園を中心に)

★★[IFSA]★★阿部道生

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