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2008年2月 1日 (金)

中国<毒>餃子問題で真っ先に思ったのは=魂の入っていない、わが役人どもの対応

★★中国産冷凍ギョーザで一時重体 千葉・市川 製造過程で薬物混入か
MSN産経ニュース・08.01.30・16:06
★★中国製ギョーザで10人中毒症状 農薬検出 千葉・兵庫
asahi.com・08.01.31・03.11

◇08.01.30の16:00、千葉県警による発表をすぐに伝えたのが上記MSN産経ニュースだった。◇そこでは「有機リン系薬物(殺虫剤-筆者註)」の「メタミドホス」が検出されたとも報じている。◇そして翌未明のasahi.comは、「日本たばこ産業(JT)子会社の『ジェイティフーズ』(東京都品川区)が輸入した冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が下痢や嘔吐(おうと)などの中毒症状を訴え、このうち、女児(5)ら3人が一時重体になっていたことが30日、わかった」と報じた。

◇このニュースでIFSAがいちばん注目したのは、またまたの<中国食品>ということよりも、それらの発生日についてだった。◇同asahi.comによれば、千葉県市川市の5人は08.01.22、千葉市の2人は07.12.28、兵庫県高砂市の3人は08.01.05に食べたという。◇直近でもほぼ1週間前、千葉市の中毒事件からはもう1カ月以上が経過している。◇どうせ企業が隠したのだろう、テレビはこの空白期間をなぜ指摘しようとしない、私は最初から妻とそう話していたが、事態は思わぬほうへと動いた。

◇「なぜ全数検査をしなかったのか」など、テレビお得意の<絶対善的コメント>を振りまき、専門家から「そんなことをしたら(=全数開封などしたら)すべてが商品でなくなり、売るものがゼロになってしまいますよ」とたしなめられた笑止千万の女性キャスター。◇だから、ワイドショー的体質まん延のテレビにははなから<報道的直観>など望んでもいないが、翌日以降さすがに新聞が、1カ月のブランク問題を指摘し始めた。

★★FAX送信ミス、有機リン系症状伝わらず 東京都
asahi.com・08.01.31

◇「(前略)兵庫県から中毒発生の連絡を受けた東京都が、同社(ジェイティフーズ-筆者註)のある品川区に調査を依頼した際、ファクス送信ミスがあり、肝心の有機リン系中毒症状の有無が区側に伝わっていなかったことが分かった」。◇ジェイティフーズ(以下JTF)や生協といった当該企業ももちろんのこと問題だが、それ以上に、お役人のお座なり体質がこんなところに顔を出すとは。◇「本来伝えるべき有機リン系中毒症状を記した紙を送っていなかった」というのだ。

◇「ジェイティフーズ側が30日、『当初、有機リン症状があったとは聞いていなかった』と説明したとの報道があり、外部の指摘を受けて調べた結果、送信ミスが判明」。◇「品川区に聞いたところ、中毒症状を記した紙ではなく、ギョーザの写真が送られていたという」。

YOMIURI ONLINE(07.02.01)によれば、「『患者の血中コリンエステラーゼ活性が低くなっている。縮瞳(しゅくどう)もみられる』と、農薬中毒を疑わせる症状を記載した4枚目の報告書を送らず、誤って問題の商品の写真を送付してしまったという」(★★都、情報生かせず・FAX送信漏れも…中国製ギョーザ)

◇また、都→品川区→同区保健セーターと流れた情報をもとに、同区職員がJTFから聞き取り調査を行った際、JTFからは「(1)2007年6月、消費者から『ギョーザを食べて体調不良になった』との電話が、JTFの販売店にあった(2)同年8月、居酒屋から『ギョーザを食べた客が味がおかしくて吐いた。下痢もしている』と届け出があった--ことが報告された」。

◇「品川区の担当者は都にもこの情報を伝え、兵庫県にも連絡された。しかし、行政側が兵庫県のケースとこの2件を、結びつけて対応を取ることはなかった」(いずれも、同上・YOMIURI ONLINE)

◇まだある。「中国製ギョーザ中毒事件で、昨年12月末に千葉市で最初の健康被害が発生し、同市の保健所にメールで通報があったにもかかわらず、1月上旬まで6日間にわたって放置されていたことが分かった」」(★★毒ギョーザ警告メール 保健所“放置”6日間も・ZAKZAK・08.01.31)

◇一方のJTF。◇「ジェイティフーズの本社がある東京都の福祉保健局には7日、兵庫県から連絡が入った」。◇「連絡を受け、都は7日のうちにジェイ社に対し、同様の苦情が寄せられていないか問い合わせた。これに対しジェイ社は、1月4日に千葉市のケースを把握していたにもかかわらず、別の商品だったため『苦情はない』と回答していた(同上・ZAKZAK)

◇さらには、同じJTFが輸入し「コープあいづ」で07.10に販売された冷凍餃子から、「トルエンやキシレン、ベンゼンが検出されていたことが分かった」(★★中国産ギョーザ:昨年10月にトルエンなど検出 福島・毎日jp.・08.01.30)という事実もあるが、これがどのようなルートでどう処理され、行動に結びつけられていったのかは不明である。

◇これらはミスではない。怠慢でもない。退廃である。◇しかし、これこそが彼らの世界の<日常>。だから、あまりにも根が深く救いがたい。◇われわれがいたサラリーマンの世界では、重大事態にFAXをポンと打っておわりなど考えられもしない。いや、重大と考えなかったからこそ、右から左へポン!だったということか。◇まずは電話でニュアンスを含めた概要を話し、それを補填かつシュアにする意味でFAXを打つ。そんなんことは企業社会のイロハに属するのだ。

◇これに対し、都はとんでもなく見苦しい<釈明>をし、恬(てん)として恥じることはない。◇「こうした経緯について、都は『送信後に区に電話連絡もした。ファクスの別紙には”胃洗浄”などの文字もあり、ただの食中毒ではないとわかる内容だった』と釈明している」(同上・asahi.com)。◇じゃあいったい、何の電話連絡をしたのか。”胃洗浄”って書いてあるから、あえて言わなくても有機リン系中毒症状と分かるはずだろう、というのなら。

◇ばっかじゃないのか、この連中。要は、ババ抜きのババをささっと相手に手渡してはすっきりする。ここにはその精神しかない。◇警察にたとえればこうなろう。犯人と対峙した警官が、相手を手で払いながら隣の警察所管内まで追い出す。あとは野となれ山となれ。◇いくらなんでもこんな警官、どこを探しても現実にはいまい。だがそれを、都をはじめとするお役人はやっている。

◇また正月の間、通報をほったらかしにした保健所については、こういえよう。◇事件があって大晦日に110番しても、正月明けに電話してくれというのと同じだと。◇1年365日24時間食中毒や伝染病への臨戦態勢にない保健所って、いったい何なのだろう。このだれきった緊張感のなさは。

◇こじつけではなく、年金問題とまったく同一の構図がここにはある。何も社保庁に矮小化されるべき話ではないのだ。◇これに対する当局の常套(じょうとう)句とは、「原因を徹底的に解明し、今後に活かしていきたい!」な~んちゃって。

◇当IFSA通信では何度も言ってきたこと(註)だが、「自己判断で越境気味なことをし、叱られたり処分されるより、やらないで叱られるほうがずっとずっと安全で得」といった、日本社会のビジネス文化というか哲学を根底から覆さないかぎり、こうしたことは今後も延々続くにちがいない。

◇それをまず現場の人間に求めてもムリで、トップマネージメントみずからが身体で実行していかなくては。◇真の構造改革なんて、こうした社会哲学の体現からしか始まらないものとIFSAは考えている。(敬称略)

(註)これについては、たとえば以下を参照いただきたい。◇「『やり過ぎ』の批判を恐れ、反射的に『やらなさ過ぎ』の側につく自己判断放棄の社会(1)」(06.10.06)。 ◇「同・(2)」(06.10.10)。 ◇「何事も「やらなさ過ぎ」=フレキシブルな自主性を剥奪をされたマニュアル社会の帰結」(07.07.18)。

★★[IFSA]★★阿部道生

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