« IFSA・月曜連載「散歩の凡人=<江戸東京博物館>がこんなにも魅力的な町とは」 | トップページ | 激しい実体変動をもっとも嫌う国民性なのに、変革的言辞にだけはすぐ心惹かれてしまう »

2007年3月14日 (水)

日本のマスコミはなぜ雰囲気でモノを言うのだろう-たとえば、全日空機事故や北鮮問題

◇1月につづき、しつこく滋賀・京都旅行をしていて知り得なかったが、というより、皮肉なことに、帰りの日航機内・NHK19:00のニュースビデオではじめて知ったのだが、高知空港(高知龍馬空港なんて名前はあほらしくて使えない)における全日空機の胴体着陸事故、NHKの甘ちゃん視点には、いつものことながら驚かされた。◇そりゃ、機長の技術はすごい、乗客も恐怖のなかで頑張った、事故にならなくて本当によかった。だが、ニュースのトーンがそれすべてで覆われてはたまらないのだ。

◇これがもし日航機だったらどうだろう。おそらくは、またJALか、たるんでいるから、おごっているからこうなるんだ、企業体質の「構造的問題」だ・・・調の報道が、NHKにかぎらず、翌朝のワイドショーを席捲したであろうことは想像にかたくない。◇しかし、今回は全日空。こぶしの振り上げ方が分からないのか、ニュースバリューは機長の技量と冷静なアナウンス、プラス機内の様子にありと見定めた感じ。◇肝心の「構造的問題」は、なぜか全日空という当事者企業を素通りし、カナダのボンバルディア社へと一足飛びだ。

◇自動でも手動でも前脚が出ないという致命的なダブルミスの責任は、メーカーであるボンバルディアにあり全日空にはないと、勝手に決めてしまったような扱いである。何を根拠にしてのことかは知らないが。◇そんなことを言うのなら、日航機の御巣鷹山大惨事。事故調は、ボーイングの修理が適切でなかったと明言しているのだから、JALはあれほどまで責められる必要はなかったことになる。◇「雰囲気」だけによるこうした落差は、いったい何に由来するのだろう。

◇今回の深刻な事故は、よかった、よかったの美談だけで締めくくっていいほど楽観的なものではない。◇こんなにトラブルばかり起こしているボンバルディアに、国交省と航空会社は、これまでどんな本質的対応をなしてきたか、それを追及(追究)するのがマスメディアの本務であろう。◇それ以前に、全日空の整備状況と企業体質の解明も。

◇そしてもっと過去にさかのぼっていけば、どうしてボンバルディアの小型ターボプロップ機が好まれたのか→この種の小型航空機への需要そのものが、実は国から強いられた結果ではなかったか→地方に乱立する大赤字空港との関連性がそこにはないのか→定評のあったYS11は、なぜ新バージョンへと向かわなかったのか・・・等々。◇今後、週刊誌や月刊誌においてこれらへの言及がなされないものかと、IFSAは注視している。◇浮ついたテレビと、実態を把握していながらなぜか腰の引ける大新聞。それらには期待がもてないだけに。

◇似たようなマスコミの傾向は、北朝鮮の拉致問題にもあらわされてきた。◇IFSAはしつこいくらいに当ブログで論じてきたが、現在の行き詰まりはすべて、あのコイズミと安倍による「日朝平壌宣言」に淵源すると、そこでは言いつづけた。◇大マスコミはそんな事情など重々承知のうえで、「拉致がすべて」の絶対善的・感性的な大合唱。それさえ言っていれば、国民からとがめられないのを見越しているからだ。◇もちろん、「拉致の解決なくして」を唱えまくる安倍晋三ともシンクロするのを計算しながら。

◇人気挽回のためにノコノコと北朝鮮まで出かけていったコイズミと安倍は、「日朝平壌宣言」(そこには、「拉致」の文言すらない)と、ほんの一部の拉致被害者帰国で所期の目的は達したと考えていた多分、北朝鮮へもそれでジ・エンドのシグナルを送っていただからこそ、相手は「解決済み」と言い張る帰国するや、拉致に怒る世論にぶったまげ、当初は軽率にも一時帰すこととしていた被害者たちを、当然のことずっと日本に(相手は、待ってましたとばかり、約束違反を声高に)拉致などサブマターと思っていたコイズミ・安倍は、ここでコロッと転向安倍は急きょ、対北朝鮮強硬派に衣替えしたのだった。

◇何人かを帰国させる、それでよければああ、結構ですよ。それを条件に「日朝平壌宣言」をかわしましょう。私が出かけていきますから。◇だから、拉致に対し、はじめから本質的対応などしているわけがない。要は、コイズミお得意の、そのときばったり。◇その後へとつづいていく交渉など、そもそも想定されていなかったのだ。◇であれば、現在のような硬直状況も当たり前というものだろう。

◇しかし乗りかかった船。最初からそのつもりだったとのアリバイ証明のためには、、「拉致の解決なくして」をおろすわけにはいかない。◇核よりも拉致、そうならざるを得ないのである。そして、米国はいずれ拉致の切り離しを敢行する。現実の流れは、まあそんなところだろう。

◇日本の公安は、拉致の現実を把握していないほどお粗末ではないはず。◇しかし、当時の社会党をはじめとする左翼勢力、そして、自民党内の親北朝鮮受益勢力、これらこそが、「拉致」を白日のもとへさらすことを妨げてきた。◇そこに触れずに突如、絶対善としての拉致問題を持ち出されたって。というか、それを政治的に利用しようたって、安倍晋三さん、いつまでもうまくはいきませんよといったところだろう。

◇昨今のタテマエ的な空気は別として、国家主権侵害の最たるものである「拉致」に向けた、日本的でゆるやかな反応は特筆すべきものといえる。◇その国民性は、白昼堂々、九段のホテル・グランドパレスからKCIAが金大中を拉致した事件への「怒りのなさ+安直な手打ち」とも、実は見事に通底しているのであった。

◇本当は、日朝平壌宣言の裏のウラまで知っているはずの大新聞とテレビ局だが、表向きは、拉致への素朴な怒りこそがすべてといった絶対善一辺倒路線を踏襲する。◇だからこそ、安倍の欺瞞に切り込もうともしないのである。◇その結果、北朝鮮で苦しむ大勢の拉致被害者には、いつまでたっても日本という国家の手が届かない。なされるは倫理的な合唱ばかりで。◇原点は、「日朝平壌宣言」の動機不純にありだ。(敬称略)

★★[IFSA]★★阿部道生

[ご参考]☆当ブログが使用している「ココログ」では、左サイドの「最新記事」欄に、新しいものから10篇の文章タイトルしか掲示されないため、バックナンバーは10篇だけと捉えられがちですが、それ以前にも多くの文章があります。左サイド下の「月」の欄をクリックいただくか、左サイド真ん中の「カテゴリー」の欄をクリック願えればすべてのバックナンバーがご覧いただけます

|

« IFSA・月曜連載「散歩の凡人=<江戸東京博物館>がこんなにも魅力的な町とは」 | トップページ | 激しい実体変動をもっとも嫌う国民性なのに、変革的言辞にだけはすぐ心惹かれてしまう »

TVと同伴識者たち」カテゴリの記事

コメント

今回の航空機事故で死傷者が一人も出なかったことは非常にラッキーだともいえますが、日頃の安全点検が如何に大事かがよく分かりますね。

投稿: toshiki | 2007年3月14日 (水) 21時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/125364/5688708

この記事へのトラックバック一覧です: 日本のマスコミはなぜ雰囲気でモノを言うのだろう-たとえば、全日空機事故や北鮮問題:

« IFSA・月曜連載「散歩の凡人=<江戸東京博物館>がこんなにも魅力的な町とは」 | トップページ | 激しい実体変動をもっとも嫌う国民性なのに、変革的言辞にだけはすぐ心惹かれてしまう »