前三重県知事・北川正恭センセイ唯一のウリ「マニフェスト」の空疎と、空気のような民主党
☆いつもIFSA通信をお読みいただき、ありがとうございます。☆本年は本日版までとし、お正月は歳時記的なコラムを掲載します。☆新年4日から、またIFSA通信を再開します。来年もよろしくお願いします。☆皆さま、よいお年をお迎えください☆
◇年も押しつまった今日のような日は、かえって、ハードディスクに保存の無味乾燥なデジタル・データではなく、新聞・雑誌記事からスキャン&プリントアウトし、スーパーの安売りで入手したナカバヤシ「クリアブック」に収納のアナログ・スクラップにゆったり目をやるのもいいもの。◇本年最後のIFSA通信は、たまには他者の文章を玩味させてもらうことで締めくくるとしたい。
◇そのなかの気になる1枚に、早大名誉教授・内田満「蹴散らされたマニフェスト選挙」(産経新聞朝刊・05.09.19)がある。例の郵政解散総選挙直後に書かれたものだ。◇内田はそこで、マニフェストなど、刺客演芸場の前ではアワほどの存在感すら持ち得なかったが、「今回の選挙でのマニフェスト選挙の影の薄さは、これらの外在的要因に基づいていたわけではない。基本的敗因は、むしろマニフェスト自体にあったというべきであろう」と述べている。
◇マニフェストといえば、前三重県知事・現早大大学院教授の北川正恭が何とかのひとつ覚えのように提唱するそれが超有名だが、この男の処世術と思想性のなさ、薄っぺらさは、マニフェスト提唱というクサイ行為に象徴されている。◇そして情けないのは、民主党の若手=松下政経塾的部分が、空疎な北川マニフェスト路線の信奉者とくることだ。
◇内田満は、その点を以下のように揶揄する。◇「(前略)国政選挙での三度目のマニフェスト選挙で、有権者に飽きがきているところへ、民主党のマニフェストが、ガリ勉型の優等生のリポートに似て、整ってはいるが、面白みの点で難があり、明日のことは書いてあるが、十年後の社会についての構想がなく、有権者の琴線に触れる響きを欠いていた」。◇その結果、「なぜか民主党のマニフェストには、いつも有権者を鼓舞する勢いがない」と。
◇小泉劇場に沸き立つ風土にあって、大衆的実態は、何がマニフェストだ、しゃらくせえ、といったところだろう。◇ただこの現象を、日本は英国に比べまだまだ遅れているといった、例の「ではのかみ」(英国では、米国では)的思考でとらえるのも、逆に大間違い。◇そもそもマニフェストなんて、北川がエラそうに言うほどそんなにご大層なものなのか。それこそ、しゃらくせえ、とIFSAは思ってきたのだ。
◇そこで出会ったのが、早大教授・豊永郁子による秀逸な「マニフェスト政治にもの申す」(WASEDA COM on asahi.com・05.10.05)。◇この論考の全貌はネットであたっていただくとして、最小限、以下の点だけは引用しておきたい。
◇「マニフェストは、本来、有権者と政治家との間のコミュニケーションを充実させるための一つの工夫として一部有識者や政治家によって『仕掛け』られたものであるが、『流行』のせいであろうか、マニフェストをきちんと作りさえすれば政権がとれるはずといった安易な発想や、これを党内統制の手段に転じる政治手法が目につく」。
◇「マニフェスト三原則といわれ、マニフェストに必須とされる要件がある。数値目標、達成期限、財源の明示の三つである。この三つがたびたびマニフェストの定義として報道番組等で紹介され、しかもそこに常に『イギリスで行われている』という枕詞がついてまわることには閉口させられた」。
◇これだけでもすでに、豊永の結論ベクトルが示唆されているといえよう。◇日本でもっともらしく言われる「数値目標」「達成期限」「財源の明示」(どこかの企業の、ウソっぽい中期経営計画に似ていないか)など、元祖?英国でさえ厳密にはなされていない、いや、なしようがない、ということなのだ。◇それを、北川のような「知識の輸入業者」が、「ではのかみ」式ご託宣をたれる。日本の文化界で大昔から繰り返されたきた負の構図である。
◇豊永は、英国におけるマニフェストの実態と、ブレア政権での特殊事情を詳細に論じたあと、「ではのかみ」方式で導入された日本の弊害についても触れる。◇「翻って日本の二大政党に目を転じると、大きな目標や理想の次元での違いが見えてこず、各党がどういった人々の味方に立つのかが曖昧に付されたままで、マニフェストばかりが存在感を放つ異様な事態に気づかされる」。
◇「党の基本的なイメージが打ち出されないままに、一般人には意味を持ち得ない数字や専門用語がマニフェストに踊り、また、党全体を繋留する基本理念や社会集団が見失われている状態で、党内においてマニフェストの個別項目が踏み絵のように用いられ、党があらぬ方向へとどんどん漂流していく懸念が生じている」。
◇その民主党に対しては、論客の慶大教授・金子勝がかみついている。◇題して「民主党が崩れた1年間だった 」(日刊ゲンダイ・電子有料版・06.12.26配信)。◇ポイントは、金子言うところの「政経塾出身者が元凶」。
◇「安倍政権の支持率が急降下している。しかし、民主党の支持率もまったく上がっていない。この1年間を振り返ると、民主党が崩れた1年だったように思う」。◇「前原代表を筆頭に、当時、民主党執行部の中枢を占めた松下政経塾出身者は、国防問題では自民党よりも自民党らしく、さらに松下幸之助が唱えた『無税国家』は、ブッシュ大統領のブレーン、ノーキストの『無税国家』とほとんど同じ。要するに、政経塾出身者は、小泉政権が推し進めた『新自由主義』に共鳴していた。これでは、小泉改革のひずみを追及できるはずがなかったのだ」。
◇「民主党がしっかりしていれば、そんな子供だましの戦略(追いつめられた安倍晋三が、靖国・改憲のコイズミ型パフォーマンスに走る-筆者註)は通用しないが、いまの民主党では心もとない。ここまできたら、松下政経塾出身者には自民党に移ってもらう方がすっきりする。いまどき、塾通いの政治家は、小泉チルドレンと同じレベルなのだから、子供同士、一緒にやったほうがいいだろう」。
◇「マニフェスト信奉-松下政経塾的理念-新自由主義-分不相応な二大政党制幻想-『まずは戦うのだ』がない対案路線-『塾通い』のおこちゃま的キレイゴト発想-生活感のなさ-変な知識万能・エリート主義」。◇これらはみな通底しているから、マニフェストの空疎と民主党の空虚とが相即不離の関係にある、というわけなのである。
◇そしてあの北川は、「コーポレートガバナンスの向上により目指すもの」と題した「村上世彰氏講演会+北川教授との対談」(05.11.24)を、早大にて大得意で開催していた。◇演題だけでも笑えるが、残念なことに、この記録はネットから消すことができない。
◇「マニフェストで日本を変える」な~んちゃって、全国で「特別講演」を行っている北川センセイ!◇村上との関係性、村上への評価の「数値目標、達成期限、財源の明示」と決算(総括)を是非ともお願いしたいところである。◇加えて、三重県のRDF発電所爆発問題・フェロシルト問題へのマニフェスト的検証・総括も逃げることなく。◇それにしても、早稲田大学社会科学系の程度の低さよ。(敬称略)
★★[IFSA]★★阿部道生
[ご参考]☆当ブログが使用している「ココログ」では、左サイドの「最新記事」欄に、新しいものから10篇の文章タイトルしか掲示されないため、バックナンバーは10篇だけと捉えられがちですが、それ以前にも多くの文章があります。左サイド下の「月」の欄をクリックいただくか、左サイド真ん中の「カテゴリー」の欄をクリック願えれば、すべてのバックナンバーがご覧いただけます☆
| 固定リンク
「思想論」カテゴリの記事
- コイズミこそ「笑っちゃう」=読み違いばかりで焦りの色濃い現代の<東照大権現>さま(2009.02.27)
- IFSA注目の<ベタ>記事=<ワークシェアリングにだまされるな>ほか(09.01.18現在)(2009.02.01)
- IFSA・週なか掲載=かなり気になる、先週の <ベタ扱い>的重要記事(08.11.02現在)(2008.11.05)
- IFSA・週なか掲載=かなり気になる、先週の <ベタ扱い>的重要記事(08.08.10現在)(2008.08.15)
- 当今珍しく気骨ある読み物に出会い、うれしくなる=網野善彦・副田義也・外山滋比古(下)(2008.08.09)
「政治論」カテゴリの記事
- (速報)前原国交相よ!=今度こそ<永田メール>の二の舞にならぬよう祈るばかり(2009.12.15)
- IFSAはなぜいままで、民主党政権に対するコメントを控えてきたのか(2009.12.15)
- 東京都板橋区にみる超異常な道路改修。これまた八ツ場ダムと同質の公共事業なり(2009.11.27)
- IFSA流アーカイブズ=改革切り込み隊長を気取るも、機を見るに敏な橋下徹大阪府知事(2009.11.11)
- マスコミの偽善キャンペーン(2)=<民主党二重権力>批判は何を懸念してのこと?(2009.10.04)


コメント
北川三重県政について書かれておりますが隣県のことでもあり、たいへん参考になりました。三重県の市民運動家に聞いたのですが全く北川県政を評価しておりません。近鉄北勢線の廃止問題とか伊勢志摩リゾートの停滞とか北川氏は不熱心でしたし。
マニフェスト選挙には疑問です。とにかく非常に説得力があり感心させられました。
藤原欽也
投稿: 藤原欽也 | 2007年2月 7日 (水) 22時21分
内田満先生を追悼しつつ下記の通り、公開講演会を開催します。ご興味とお時間があれば、ご来聴くださいますよう、ご案内申し上げます。
「政治制度に関する研究会」
記
早稲田大学名誉教授、内田満先生追悼
東京専門学校建学125周年祝賀
公開講演会
論 題「制度改革の政治学-1994年の選挙制度改革が日本政治に与えた影響」
基調講演 成田憲彦(駿河台大学学長、元総理大臣政務秘書官(細川内閣))
討 論 者 吉野 孝(早稲田大学教授)
司 会 今村 浩(早稲田大学教授)
と き 2007年10月20日(土)、午後2時開演
と こ ろ 早稲田大学 西早稲田構内 14号館 1040教室
東京都新宿区西早稲田1-6-1
地下鉄・東西線 早稲田駅 徒歩5分
スクールバス 高田馬場駅 - 早大正門 徒歩2分と15秒
聴講無料
主催・連絡先 「政治制度に関する研究会」 seijiseido@yahoo.co.jp
聴講ご希望の方は、電子メールでお知らせください。
以 上
投稿: 「政治制度に関する研究会」 | 2007年10月17日 (水) 03時09分