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2006年9月 9日 (土)

「元祖・カイカクの大合唱」が問題の小選挙区制を生んだのだ(下)

◇忘れもしない昨年秋の郵政解散総選挙を振り返ってみよう。◇自民党の得票数は約3252万票。一方の民主党は約2480万票と、[自民1.31対民主1]。有効投票総数・約6806万票に対する得票率では、自民=47.8%、民主=36.4%であった。◇しかし、定数300の小選挙区で自民は219議席(73.0%)を獲得、民主はわずか52議席(17.3%)に留まった。民主に対して得票数で1.3倍にしかすぎない自民が、議席数で4.2倍を分捕ったことになる。この膨大なる死に票。よく言われる「1票の格差」どころの話ではなかろう。

「象徴的なのは、東京都のケース。都内25小選挙区の有効投票総数のうち、自民党候補は約50%、民主党候補は約36%の得票だったが、獲得議席数は『23対1』だった」(Mainichi INTERACTIVE・2005.09.12)。◇民主主義の鑑、カイカクの尖兵。反対する者は度し難き守旧派、のように喧伝されまくった小選挙区制の実態がこれなのだから、あきれる以外にない。それでも中選挙区制が悪で小選挙区制が善だという理由を、もう一度冷静に説明してもらいたいものだ。

◇小選挙区制こそは二大政党制へ至る近道。遅れた日本も、早いところ英国や米国に追いつかねばダメだと?あのイラク戦争の仕掛け人たちに追いつけ?◇だいいち、二大政党制がいいなどという保証はどこにもないし、そんな国はむしろ世界でも例外。多党制の国が不安定だということもない。おかしなことには、自民も民主も、二大政党制神話にしがみついている。◇ここにも、「55年体制という1.5大政党制」への忌避感とトラウマが作用しているというべきだろう。そこをきちんとaufhebenすることなく、政治先進国入りには二大政党制!の性懲りもなき理念優先短絡思考。それでいながら、大人気の小泉政権にあっても、公明党なしには選挙など立ち行かないのだから恐れ入る。◇外野時代は公明批判の急先鋒だった小泉が、途端に宗旨替えした理由もそこにある。

[小選挙区制+テレビ政治(tele-politics)=党首への人気投票]。刺客作戦の大成功も、この図式なしには考えられない。◇小選挙区制こそが自民の派閥をぶち壊したと、一部では評価される。それはそのとおり。加えて、自民党だけで年間170億円近くになる国からの政党助成金(政党交付金)を、派閥の長ではなく幹事長がまず押さえることができる。武部勤ごときが力を持つのはこのためだ。◇本日のYOMIURI ONLINEが報じている。「自民系広告会社、16億円党CMを大手に『丸投げ』」と題し、次のように書く。「同党はCM制作・放映などに充てている『宣伝広報費』のほぼ全額を政党交付金から支出しており、自由企画社(実質的に自民の経営-筆者註)には05年までの5年間だけで計約74億円が流れていた」と。

◇ところで、党の「派閥」とはそんなに悪いことなのか。派閥の長の角逐が雲散霧消したからこそ、小泉や安倍の出てくる素地が生まれた。課長も部長も経験したことのないような安倍が、いきなり社長になろうとしている。これを新鮮というのなら、どうぞと申し上げるしかない。◇レベルの低下がひどすぎる。たとえば、旧田中派の長が津島雄二では話にもならないし、人が育つはずもない。そんなことだから、どうみても村夫子然とした額賀福志郎あたりが、いつまでも派内のプリンスと言われることになってしまう。

◇派閥がなくなった分(いや、森派がダントツになった分)、薄っぺらな国民的人気だけの安倍ごときが祭り上げられ、「安倍氏支援『バブル化』 6組織入り乱れ 功名争い」(毎日新聞朝刊・2006.09.02)、「『ポスト目当て』『情けない』 安倍支持へ雪崩現象」(asahi.com・06.09.08)といった、いじましい情況が生じる。権力闘争の形をとらない分、レベルの低下は免れない。◇その結果が、ホリエモン礼讃の武部幹事長、勝負服の川口外相、いやその前に田中眞紀子、日本看護協会推薦で法律的なことには何も答弁できない南野法相・・・・・・・、小泉が国会便覧を見ては選ぶという逸話も、あながちデマではないとの気にさせる布陣が目白押しだ。◇悪としての派閥→善としてのグループ。これぞカイカクというわけか。

◇小選挙区制による国民的人気投票の結果、独裁的な首相が生まれ、その人間が政党助成金を一手に握ってはグループ化した子分を閣僚・副大臣・政務官・党の要職につける。◇その下には連立政権の公明党と、遠く及ばない野党(民主党)がいて、それ以外は弱小で政党の体すらなせない。◇この索漠とした政治風景を小選挙区制の「効用」と言わずして、どう言えよう。

◇「国を挙げてのカイカク」の結果に対し、誰も責任をとらないのがこの国の通例になって久しい。入口だけに熱狂し、出口についてはいつも知らん顔。限界点はもうそこまできているというのに。(了)(敬称略)

★★[IFSA]★★Michio Abe

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コメント

日本で並立制が導入された当時、すでにイギリスの学者は小選挙区制を見向きもしなくなっていたとのこと。

最近、台湾が並立制に変えたと新聞で知った時、可愛そうに、と思ったものです。

私は、小選挙区制に代わる制度として、「中選挙区比例代表併用制」を提案しています。無所属候補に配慮した比例代表制をデザインしたものです。ご批評いただけると幸いです。

小選挙区制の廃止へ向けて
http://kaze.fm/wordpress/?p=215
中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164

投稿: OHTA | 2008年7月10日 (木) 17時41分

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