2009年11月11日 (水)

IFSA流アーカイブズ=改革切り込み隊長を気取るも、機を見るに敏な橋下徹大阪府知事

◇血気盛んな青年将校を演ずる橋下徹大阪府知事は、マスコミ対策で大成功を収めている。◇IFSAに言わせれば、戦前のそれをも凌駕(りょうが)する反動保守の権化である徹くんだが、世間ではいつしかカイカク革新の星のごとくとらえられてしまっているからだ。

◇いわゆる<改革派知事>のなかではもっとも信頼に足ると思える片山善博慶応大教授(前鳥取県知事)ですら、毎日新聞のインタビューに対してこんな風に言ってしまうほど。

◇「今の47都道府県知事の中で(橋下さんを-筆者註)一番評価しています。他にあんまり評価できる人がいない、ということもありますが」(時代を駆ける・片山善博 「情報発信」の先駆者 橋下知事に助言も・毎日新聞朝刊・2009.07.27)

◇ではIFSA流アーカイブズから、そんなんじゃない!を時系列的に示していくとしよう。◇今回のIFSA通信はかなり長くなるが、分割掲載すると俯瞰(ふかん)しにくくなるのでご了解いただきたい。

★★橋下氏“誤算”? 公明が「推薦」やめ「支持」決定
大阪府知事選・MSN産経ニュース・07.12.26(A)
★★公明、橋下推薦せず自主投票・・・大阪府知事選
過去の過激発言が災い・ZAKZAK・07.12.26 (B)

◇「(府知事選で公明党府議団は橋下徹氏を-筆者註)『推薦』で調整したが、橋下氏のテレビでの過激発言や知事選に『出ない』から『出る』へと前言撤回した問題で異論が相次ぎ、より支援の色彩が弱い『支持』で決着した」(A)。

◇「(前略)同氏の出馬をめぐる経緯や、テレビなどで『2大政党制がいい』(後段参照-筆者註)『日本は核武装すべきだ』と過激発言をしていた事に非難が噴出」。

◇「橋下氏は25日の面談後の会見で、2大政党制発言には『国政においての理想を語ったもので、地方自治体は別』としたほか、核武装発言についても『府知事という立場になれば、法律や非核3原則にのっとって行動する。世界平和を望むのは一緒』と釈明した」。

★★橋下知事、”過激答弁”連発 相次ぎ議事録削除
asahi.com・08.03.11

◇「橋下知事は10日にも共産党府議に『主張を通されたいのなら多数派をとってからぶつけていただきたい』と答弁し、『言い過ぎた』と釈明」。◇「5日の代表質問では知事の権限を越えて『教育委員会に命じる』と答弁し、後に『完全に間違っていた』と謝罪した。これらの答弁は議事録から削除・訂正される」。

★★「東大・京大合格者300人の公立高を」橋下知事
MSN産経ニュース・08.03.13(C)
★★橋下府知事が教育改革説明 教育委員から苦言も
TOKYO Web(共同)・08.03.13(D)

◇「知事は『成績優秀な生徒が集まれば、東大と京大に300人の合格者を出すような学校も出てくる』と述べ、”公立エリート校”づくりを目指す姿勢を強調した」(C)。◇「橋下知事は『きめ細かい指導が必要な子もいる』として小学1年から習熟度別のクラス編成が必要と訴えた」(D)。

◇以上の論議からだけでも分かることは、議会運営や教育のようにたとえ対象ジャンルが異なっても、彼の根っこには<「核武装すべき」に通ずる思想>が通奏低音のように響いているという点だろう。

★★橋下知事「伊丹空港じゃま」 地元市長「暴論だ」
asahi.com・08.09.06
★★橋下知事、ラジオで「クソ教育委員会」
学力調査巡り

asahi.com・08.09.07

◇彼のやり口と口吻(こうふん)を伝えたいだけだから、ここはタイトルだけでにとどめる。

★★橋下知事の重なる過激発言、
与党からも「行きすぎだ」
asahi.com・08.09.09

◇「知事の教委批判は、全国学力調査の結果が発表された8月29日の『このざまは何だ』発言から、急速にボルテージがあがった」。◇「調査対象の小6と中3の国語と算数・数学の結果が、大阪府はいずれも30、40位台だった」。

◇「橋下知事は、市町村ごとの結果が公表されないことをいいことに各教委が対策をとらないのが成績低迷の主因だと断じ、個別に結果を公表するよう市町村教委に圧力をかけ始めた」。

◇「7日のラジオの公開生放送では、『クソ教育委員会』発言が飛び出し、公表しない教委には来年度の予算配分で『差をつける』と言い放った」。

◇「府議会からも批判が出だした。知事を擁立した自民府議は『タレントで生き残ってきたため、常に注目を浴び続けなあかんという強迫観念がある。泳ぎ続けないと死んでしまうマグロみたい』と分析」。

◇「元鳥取県知事で慶応大教授の片山善博さんは、予算権を盾に圧力をかけようとした手法を『許されない』と言う」。

◇「『行政で”江戸の仇(かたき)は長崎で”というわけにはいかない。市町村が結果を公表しないからといって、予算で差をつけるのはスジが通らない。それが許されれば、国は都道府県に、都道府県は市町村に、あらゆることを押しつけることになる。まさにファッショだ』」。

◇まさに正論。◇にもかかわらず、その片山が上記のごとく、全国でいちばんマシな知事と橋下を持ち上げるのだから分からない。

★★またパフォーマンス?
橋下知事「オカンに怒られた」
ZAKZAK・08.09.09

◇「大阪府の橋下徹知事は九日、全国学力テストの市町村別結果公表に消極的な市町村教育委員会などを指した『くそ教育委員会』との発言について、記者団に『以後は使わない』と述べて封印する意向を示し、その理由を『オカン(母親)にこっぴどく怒られた』と説明した」。

◇「ただ、発言自体は『自分としてはそういう意識だ。撤回はしない』と明言した」。

★★橋下知事「PTA解体」撤回 大阪府議会で釈明
MSN産経ニュース・08.09.30

◇「大阪府の橋下徹知事は30日の府議会本会議で、『PTAは解体する』との発言について『(関係者が)不愉快な思いをされたなら撤回する』と述べた」。

★★山口・光の母子殺害:
弁護団賠償請求訴訟・広島地裁判決
口は災い、橋下知事
毎日jp.08.10.02


◇「2日の広島地裁判決は、思い切った言動が身上の橋下徹弁護士(現・大阪府知事)がテレビ番組内で行った発言を『弁護士の使命・職責を正解しない失当なもの』と断じた」。

◇これは、光市母子殺害事件弁護団に対する弁護士時代の橋下発言への判決だ。◇毎日新聞から引用させてもらえば、橋下は07年5月の読売テレビでこうアジっていたという。

「ぜひね、全国の人ね、あの弁護団に対してもし許せないって思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求かけてもらいたいんですよ」
「懲戒請求ってのは誰でも彼でも簡単に弁護士会に行って懲戒請求を立てれますんで、何万何十万っていう形であの21人の弁護士の懲戒請求を立ててもらいたい」
「懲戒請求を1万、2万とか10万人とか、この番組見てる人が、一斉に弁護士会に行って懲戒請求かけてくださったらですね、弁護士会のほうとしても処分出さないわけにはいかないですよ」さて、橋下本人はこの<懲戒請求>なるものを提出したのかどうか?

★★「朝日が早くなくなれば・・・」
橋下知事が批判エスカレート
MSN産経ニュース・08.10.20

◇「大阪府の橋下徹知事が、3日付の朝日新聞の『橋下TV発言 弁護士資格を返上しては』と題した社説を批判した問題で、橋下知事は20日、出張先の東京で報道陣の取材に応じ、『朝日が早くなくなれば世の中のためになる』などと発言」。

◇また「19日の陸上自衛隊記念行事の祝辞」では、「『人の悪口を言う朝日新聞のような大人が増えれば日本は駄目になる』と述べた」らしい。◇一部あたっている部分があるのでは?(=たしかに高度なる一面の真理だ)といった問題ではなく、府知事・橋下の権力目線にIFSAはいやらしさを感ずるのだ。

◇さて2009年が近づくと、政治の季節へ向けた橋下特有の嗅覚(きゅうかく)がそろりと作動し始める。◇人に悟られないよう、あえてファジーな形を採用しつつ。◇それがこの男の計算高いというか、小ざかしいところだ。

◇まずは自分を知事にしてくれた自民党へのミエミエ・ヨイショから。

★★橋下知事、麻生首相を「全力で支援」
給付金も批判せず
asahi.com・2008.12.17

◇「『全力でお支えします』--。大阪府の橋下徹知事は17日の記者会見で、支持率低迷にあえぐ麻生首相を支持する考えを強調した」。◇「地方分権を進めるとしている麻生首相を応援し、道州制の実現を目指すという」。◇「世論の評価が低い定額給付金についても『批判はしません』と話した」。

◇しかしそれから半年が経過するや、客観情勢もがらっと変わる。◇もちろん、それを先取りするように橋下も。

★★橋下知事、地方分権に期待感
わくわくすると民主党シンポで
TOKYO Web(共同)・09.06.17

◇「大阪府の橋下徹知事は17日、民主党大阪府連が大阪市内で開いたシンポジウムに出席」。

◇「地方分権改革をめぐる党の見解について『明治維新以来の国の形が大きく変わるのではないか。わくわくする』と述べ、期待感を示した」。

◇「橋下知事は次期衆院選で支持する政党を表明すると宣言しており(後略)」。◇「橋下知事が民主党の会合に出席するのは初めて。府知事選では自民、公明両党の支援を受けた」。

★★首長グループ構想:
西日本の知事らは、独走橋下氏に戸惑い
毎日jp.・09.06.26

◇「大阪府の橋下徹知事が打ち上げた、地方分権を旗印とする首長グループの結成と、次期衆院選での支持政党の明確化」。◇「橋下知事は『地方分権には国民の後押しが必要。(これまで)首長は逃げていた』と強気だが、支持が広がるかどうかは予断を許さない」。

★★全国知事会がマニフェストを点数
橋下知事は批判「点数をつけても何も変わらない」
MSN産経ニュース・09.07.01

◇「大阪府の橋下徹知事は1日、全国知事会が各政党のマニフェスト(政権公約)を点数化して公表することを検討していることを明らかにし、『誰に向けて、何のために評価するのかわからない。マニフェストに点数をつけても、何も変わらない』などとと批判した」。

◇この点についてはIFSAもまったく同感。◇ただ今夏の総選挙に向け彼が何を主張していったかを現時点から思い返せば、これまたドッチラケる。◇先頭に立ち、<点数をつけるぞ>のごとく自民や民主に迫っていたのだから。◇ここではまず、「点数をつけても何も変わらない」発言を記憶しておくとしようか。

★★ヤバすぎて中身言えない?
橋下・東国原知事が会談
asahi.com・09.07.04

◇「総選挙での動向が注目される大阪府の橋下徹知事と宮崎県の東国原英夫知事が3日夜、大阪市北区のレストランで会談した」。◇「終了後、両知事は地方分権推進で今後も連携することで一致したことを明らかにしたが、会談の詳細については『言えない話だらけ』と言葉を濁した」。

◇「会談は4日の講演のために大阪を訪れた東国原知事を橋下知事が誘い、橋下知事が行きつけのイタリア料理店で2時間近く意見交換した」。◇「会談後、大阪府庁で報道陣に囲まれた橋下知事は、自民党からの立候補要請に総裁候補の条件を出した東国原知事について『すごすぎる』と感心」。

◇この<すごすぎる>には、おそらく<ばかばかしくて>が付く。

★★なぜ「蜜月にひび」橋下、東国原両知事
MSN産経ニュース・09.07.05

◇そして予想どおり翌日には一転、持ち前の逃げ足の早さが火を噴く。◇「大阪府の橋下徹知事が4日、『首長連合』に宮崎県の東国原英夫知事の参加を求めない方針を明らかにした」。

◇「両知事は地方分権推進で連携し、3日に大阪市内で会談するなど蜜月関係が続いているようにもみえたが、橋下知事は『自民党総裁候補に』と主張した東国原知事と一定の距離を置きだしていた」。

◇3日のレストラン会談後「冗舌だった」そのまんま氏に比べ、「(前略)次いで質問に答えた橋下知事は『東国原知事はすごい。それしかない。すごい』と話すと無言になった。東国原知事に酔っているのでは、と突っ込まれるほどだった」。

◇オレはインテリ、「自民党からの立候補要請に総裁候補の条件を出した東国原知事」などとはレベルが違う、こんなのといっしょにやっていたら早晩ヤバイことに。◇<計算高い本能>がそう叫び、そのまんま氏などもう利用価値ナシ、マイナスだけ、ならばヤワヤワ離別すべしとなったのであろう。

★★詳細はダンマリ
・・・橋下、東国原会談の気になる中身
「単なる食事会」
ZAKZAK・09.07.04

◇「ここのところ、東国原知事は国政転出に意欲を隠さず、出馬条件として自民党に提示した全国知事会のマニフェストを『一言一句違えず盛り込め』から『8割ぐらい』と”安売り”を始めている」。◇「一方の橋下知事は自民党の菅義偉選対副委員長と電話で話し、距離の近さを確認した」。

◇「それだけに、民主党関係者は『両知事はいまのところ自民党別動隊。次期総選挙の最大の争点を”政権交代”から”地方分権”にすり替えようとする自民党の戦略に乗っているのだろう』と危機感を語った」。                  

◇図星!ただ、橋下に過剰反応してしまう民主党的<お粗末危機感>を除けば。◇そしてあの<地方分権>など<政権交代>の前では最後まで話題にもならず、橋下の思惑はすべりまくった。

★★橋下知事、
東国原との連携は「自民、公明応援の猿芝居」
MSN産経ニュース・09.07.05

◇「(前略)大阪府の橋下徹知事は5日、宮崎県の東国原英夫知事との連携について『東国原知事と組めば、自民、公明応援の猿芝居と思われてしまう。連携はない』と述べ、改めて否定した」。

◇「3日夜の東国原知事との会見で、地方分権の実現に向け一緒に行動すると表明しながら、結果的に連携にいたらなかった点について『一緒にやっていきたいという思いはあるが、国民に対する見え方で誤解を生んでしまう行動だった』と弁明」。

◇いざとなればこの調子のよさ。それこそが橋下の<身上>といえよう。

★★橋下知事:モテモテ
・・・民主、公明幹部と次々会談

毎日jp.・09.07.08(E)
★★橋下知事、各党が「奪い合い」
本人は民主評価も、思いは自公寄り?

MSN産経ニュース・09.07.08(F)
★★自公、民主、渡辺喜
・・・橋下争奪バトル三つどもえ

ZAKZAK・09.07.09(G)

◇「『涙が出るほど感動した。”政策を議論する”と言いながら選対委員長と議論するのとは違う』。民主党の原口一博”次の内閣”総務担当は党本部で会談後、記者団に橋下氏を絶賛。自民党との接近ぶりが目立つ東国原英夫・宮崎県知事との違いを強調した」(E)。◇ああ、涙が出るほど気色悪い!

★★橋下知事:都議選、自民惨敗は国民の怒り
毎日jp.・09.07.13(H)

★★全国知事会:「政党支持」見送り
東国原・宮崎県知事提案、賛同者なく

毎日jp.・09.07.13(I)
★★全国知事会:東国原知事は孤立
政党支持採用されず・毎日jp.(J)

◇そして7月12日の都議選で自民党が惨敗するや、風見鶏のベクトルは固まる。◇「大阪府の橋下徹知事は13日、東京都議選の自民党惨敗について、『国民の怒りの表れ。”国政への影響がない”と言う政治家は、辞めた方がいい』と語った」。

◇「橋下知事は『現状が”変わってくれ”という国民の意思は明らか』と述べ、『国政に影響するという危機感があってこそ、現状を変える動きにつながる。(そうでなければ)自公を支持できない』と語った」(以上(H))。

◇「全国知事会(会長、麻生渡・福岡県知事)は14日、東国原英夫・宮崎県知事が提案していた次期衆院選で知事会として特定政党への支持を表明する案を見送った。賛意を示していた橋下徹・大阪府知事も同調せず、賛同者がなかった」。◇「橋下知事は、これまで知事会として政党支持を表明すべきだと主張していた」(I)。

◇「自公民3党のマニフェスト(政権公約)を評価し、知事会としての支持政党表明を求めてきた東国原英夫・宮崎県知事や橋下徹・大阪府知事だが、多くの知事から反対意見が相次いだ」。

◇孤立したそのまんま氏を横目に、「橋下知事も『丸ごとの政党支持は、やるべきでない』と矛を収めた」(以上(J))。◇というより、完全にヒヨッた。

◇しかし先に「マニフェストに点数をつけても、何も変わらない」と断言していたくだんの人物。◇その「橋下知事はマニフェスト評価について、『分権実現は政治闘争。知事会がパワーを持つため、一致団結して点数をつけるべきだ』と主張」(J)というからすっごい。

◇「橋下知事は協議後、報道陣から『政党支持なしで政治パワーになるのか』と聞かれ、『”奴隷(都道府県)に公民権を”という一点突破の流れが知事会に出てきた』と冗舌だった」(J)。

◇しかしこうした一連のドタバタぶり。時系列的に整理してみてはじめて分かることであり、エネルギッシュな橋下の動きを毎日追いかけるだけでは幻惑されるのがオチ。◇彼はその効用を巧みに計算している。◇しかし以下の読売新聞記事はそこをズバッと突いている。

★★東国原氏と知事会など連携・・・橋下知事の思惑
YOMIURI ONLINE・09.07.19

◇「橋下知事『要望書を持って”お願い”なんて意味がない』 自民党は『賞味期限切れ』、民主党には地方公務員改革なんて出来ない--。18日、読売新聞のインタビューに応じた大阪府の橋下徹知事は、政権を争う2大政党を挑発し、衆院選に影響力を発揮しようとの思惑をにじませた」。

★★橋下知事、民主マニフェスト批判の真意は?
MSN産経ニュース・09.07.28

◇「地方分権への意欲を判断基準に衆院選での『支持政党宣言』を目指す橋下徹大阪府知事が、これまで持ち上げてきた民主党の分権構想に対し、手のひらを返したような猛批判を始めた」。◇揺さぶりだか何だか、ほら、おはこの小細工満開である。

◇完全なるウオッチャーにしか読み取られないしっちゃかめっちゃかは意に介さず、その時々のパワーだけで押しまくる戦術にはますます磨きがかかる。

★★橋下知事、支持政党「言わない」 知事会に同調へ
asahi.com・09.07.29

◇「大阪府の橋下徹知事は29日の記者会見で、総選挙での支持政党の表明について『個人では言わない』と述べ、自身の判断は明らかにせず、全国知事会の評価に従う考えを示した」。◇「これまで地方分権に関する政党の政権公約(マニフェスト)で判断するとしていたが、『知事会がまとまることが絶対に必要』と述べた」。

★★有権者に、僕の点数が影響を与えるわけでもない
橋下知事開き直り
MSN産経ニュース・09.07.29

◇「『党議拘束と同じなんですよね』-。再三訴えてきた”支持政党宣言”の意向をあっさり撤回し、全国知事会が出す点数を自らの評価とすると表明した橋下徹知事」。

◇『府民は知事が付けた点数を知りたいはずだ』『理解に苦しむ』。29日の会見では報道陣から疑問の声が相次いだが、知事からは『有権者に対して僕の点数が大きな影響を与えるわけでもない』と開き直りととれる発言も飛び出した」。

★★「首長連合」は民主支持・・・橋下府知事ら発表
YOMIURI ONLINE・09.08.11

◇「大阪府の橋下徹知事と横浜市の中田宏市長は11日、大阪府庁で記者会見し、地方分権政策を巡る自民、民主両党の政権公約(マニフェスト)を検証した結果、衆院選では『首長連合』として民主党を支持すると表明した」。

◇「知事選で自民、公明両党の支援を受けた橋下知事は『自公の応援のマイクは握らない。民主のマイクを握ることまではできない』と配慮を見せた」。

★★橋下首長連合は民主支持
「勝ち馬に…」でも応援せず
ZAKZAK・09.08.12

◇「自民、民主両党のマニフェスト(政権公約)の中で、地方分権改革への取り組みなどを比較した結果、自民より民主の政策を評価したためだという」。◇「ただ、すでに民主党は総選挙で単独過半数をうかがう勢いだけに、『勝ち馬に乗っただけ』との批判も飛び出している」

◇そして最後はこうなった。

★★「投票日まで逃げます」橋下知事、一転沈黙
YOMIURI ONLINE・09.08.26

◇「30日に投開票が迫った衆院選で、大阪府の橋下徹知事が公示後、一転して沈黙を守っている」。

◇「公示までは全国知事会や首長連合を舞台に、各政党に地方分権政策を突きつけ、最後は民主党支持を表明したものの、公示日に『国政に関してはいったん終了』と宣言」。◇「結局、与野党いずれの応援マイクも握らないままで、選挙戦最後の1週間はバンコク、福岡に出張」。◇「『とにかく投票日まで逃げます。大阪にはいません』と、バンコクでは『逃避』発言も飛び出した」。T

★★橋下知事、選挙戦「逃げ」に安堵 タイ出張で
TOKYO Web・09.08.26
★★「みんな頭に来ている」自公”脱走”橋下徹に憤り
公示後にタイ、投開票日まで福岡に
ZAKZAK・09.08.27

◇そしていまは、<★★「カジノも風俗街も大阪が引き受ける」・・・橋下知事・YOMIURI ONLINE・09.10.29>と息巻くのであります。

◇今回はまたあまりに長大なるIFSA通信。◇最後までお付き合いいただきありがとうございます。(敬称略)

〔ご参考〕IFSAとは&IFSAの経歴>はこのリンクをクリックください。 

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2009年10月29日 (木)

IFSA流アーカイブズ=調子のいいヒネリヨイショでその場を取り繕う名人・テリー伊藤

◇ちょっと前、テリー伊藤宮崎哲弥が人気コメンテーターの上位を占めると何かで読み驚いたことがある。◇宮崎なんて、何の実績もないのにいつしかエラそうな顔をし、テレビで政治や経済の講釈をしている。

◇IFSAは7年前に『m2われらの時代に』(宮台真司・宮崎哲弥、朝日新聞社・02.03)を読んで以来、このふたりのmにいだいたブッタマゲッチの感覚が消えたことはない。◇宮崎はもとより、カッコつけの社会学者・宮台の底の浅さに出会えたのは、あるイミ収穫といえたけれど。

◇そんななか、本日はコメンテーターのもう一方の雄?テリー伊藤を取り上げるとしよう。◇本当なら無視すれば済む程度の論者ではあれ、ダントツ人気&マスコミの寵児(ちょうじ)ときてはそうもいくまい。

◇実は当IFSA通信、過去に何度かこのオポチュニストを継続して批判してきた。◇しかし今回は方法を変え、テリー作<ひねったつもりのエッセー>(毎日新聞掲載)よりナマのマテリアルを引っ張り出し、IFSAの批評をほとんど加えることなく読者に呈示していくとしたい。

◇そこで展開されるテリーの得意技をあらかじめ表現すれば、世の中の常識的な論評など笑っちゃうゼ→<オレはそんな偽善を引っぺがし、その後ろに隠れた真実を国民に指し示していくんだ。もちろん、政治的には無色の中でとなろうか。

◇しかしこちらが<笑っちゃう>のは、テリー伊藤の誇る<ひとひねり>の内実が何とも陳腐・お定まりのオンパレードといった現実であり、それこそヒネリヨイショがただ単に<な~んちゃって>といったレベルでしかない点である。

安倍晋三が護憲派や平和主義者を嘲笑したつもりになって得意気に見せびらかすのが<戦後レジームの見直し>や<真正保守主義>というのとどこか似ている。◇それはまた、月刊誌「WiLL」に蝟集(いしゅう)するゴリゴリ保守連中のワンパターンにも通じる。

◇しかしこの月並みな<ひねり>が一部の日本人には妙に受けるようで、「WiLL」が駅の書店で平積みされているさまにぶちあたれば、それこそ笑っていられないとならざるをえない。◇そこでは、横浜市長職から敵前逃亡した中田宏が臆面もなく書いちゃったりしていてサ。

◇紛う方なき正論に対してさえ、とにかく<アカ>のごとくイチャモンをつけさえすれば、それはもう彼ら流メチャ体制的・超安全な<反体制の世界>!?◇あの一群の人々は、その手の自己陶酔から逃れられないようだ。

◇ひねりを気取るテリー伊藤にもそうした方法論上の弱点がミエミエであり(=もちろん彼には<アカ>流発想はない)、業界人としての安全地帯から一歩も歩み出せていない。◇しかし、本人はそれにとんと気づかない。

◇では、あの外務省元幹部・田中均(=コイズミ訪朝を画策したこのエリート、本当にアタマのキレの悪いのが一連の文章からよく分かる)のそれと並び、わが愛する毎日新聞をけがしまくるトンデモ連載「テリー伊藤の現場チャンネル」(本年度分)より淡々と引く形で、<アーカイブズとしての「IFSA通信」機能>を発揮していくとしたい。

★★森田健作
青春の巨匠 千葉県の、団塊世代の星になれ
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.04.04

◇4年前の千葉県知事選落選。「そのときの森田さんの悔し涙を間近で見ていた私としては、彼がこの4年間、どんな思いで戦ってきたかを知っている」。◇「(今回森田が当選した-筆者註)この選挙戦は睡眠時間を削っての必死の戦いだった」。

◇「今回の勝因の一つは、やはりタレント出身の東国原知事と橋下知事がそれぞれ県民の強い支持を得て改革を進めていることだろう」。◇「森田健作という人間は政治家として期待できると私は常々思っている。それは、私利私欲がないからだ。金にもキレイだし、権力やポストにしがみつこうとしている姿を一度も見たことがない」。

◇「いつでも熱くて、正義感が旺盛で、国や地域を愛する気持ちが人一倍強い」。◇「『シラケの時代』とか『冷めた日本人』などと言われる時代の中にあっても、この森田健作の熱さに国民が反応したのだ」。◇「『ニッポン男児』という言葉は、まだ死語ではなかったのである」。

◇「(前略)団塊の世代の人たちが森田健作新知事の元気な姿を見れば、きっと勇気づけられるにちがいない」。◇「60歳を前にして新たなスタートを切る森田健作は団塊の星である」。

◇団塊のひとりであるIFSAならずとも、森田健作をわれわれ世代の星とか何とか言われた日にゃ、たまったものじゃなかろうが、歯の浮くようなことを平気で言うお調子者のたわ言、それはそれとしようか。

◇とはいえ、安倍晋三の首相就任時にヨイショしまくったのとトーンがよく似ていることよ。

◇次は、例のエバリまくり慎太郎による東京五輪招致(失敗)劇に関して。◇テリーはこれに向けても十八番のヨイショ先兵一辺倒だったが、大半は過去のIFSA通信にて紹介済みだから、本日は別のフレーズからの引用を。

★★東京五輪
21世紀モデルで次世代に感動を伝えたい
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.04.25

◇「IOC評価委員の東京視察が無事に終わった。委員たちは、リップサービスもあるだろうが、かなり好印象を抱いて帰ったように見える」。

◇「この不況のなか、すぐにお金の話をしたくなる気持ちはわかる。しかし、2016年東京五輪の意義は、経済とはまったく別のところにあると私は思っている」。◇「1964年東京五輪当時、中学生だった私は、あのときの興奮と感動をいまでも忘れない」。

◇「2016年に東京五輪を開催するということは、今度はそのときの子どもたちが五輪の感動やスポーツの素晴らしさを目の当たりにできるということだ」。

◇「南米やアフリカなど、いまだに五輪を開催していない地域で開催するべきだという意見には私も賛成だ」。◇「しかし、じゃあ、そうした国々が北京五輪のような巨大開発型の五輪を開けばいいというのだろうか」。

◇もうやめにしておこう。それよりも、たまたま同日の同面に掲載されたエッセーとの巡り合わせがあまりに皮肉なので、つい対比の誘惑に駆られる。

★★IOC委員東京視察
劣勢にまわった招致反対派
週刊テレビ評 やくみつる・毎日新聞夕刊・09.04.25

◇IOC委員が視察に来てテレビ界も浮き足立っている環境下。「(前略)開催に異を唱える側が、どうも劣勢にまわってしまった観は否めない。私も当初より『2度目の東京五輪はいらん!』と抗(あらが)っているクチだが(後略)」。

◇とはいえ、「(みのもんた起用の招致アピール・テレビCMでは-筆者註)いわく、東京への五輪招致がなれば『街路樹100万本!』『学校の校庭を天然芝に!』って、ドサクサ紛れにオリンピックと絡めた都市整備話にしている」。

◇「そんなことはオリンピックが来ようが来るまいが粛々と進めてもらえばいいわけで、ここらが狡猾(こうかつ)なところだ」。

◇「大義といえば、当初唱えられていた『アジアでの初の2度目開催』という苦し紛れの文言はさすがに聞かなくなりましたね。転じて打ち出したのが、やはりエコ」。

★★鳩山政権
「国民の期待」と「政府の答え」が見えやすくなる
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.09.19

◇安倍晋三首相をあれだけ持ち上げた男が、今度は手のひらを返して民主党政権へのオマージュ。◇ばかばかしくて書き写す気にもなれないからその部分は割愛するとして、野党・自民党に触れたお笑い部分のみを紹介する。

◇「自民党への期待。それは『戦う野党』になることなどではなく、『国民のために、不慣れな民主党政権を助けてやろう』という姿勢を国民に示すことだ」。

◇「『自民党と民主党』は『巨人と阪神』ではない。(中略)(野球とは違い-筆者註)政治はどっちが勝とうが国民が幸せになればいいのである」(出ました!=IFSA)。

◇「国民が求めているのは自民党の再生でもなければ2大政党でもない。国民のための政治を実現してくれる政治家であり政党なのだ」(まさにテリー伊藤の真骨頂でありんす=IFSA)。

★★石田純一
すべて見せるプロ意識 芸能人中の芸能人だ
テリー伊藤の現場チャンネル・毎日新聞夕刊・09.10.03

◇「石田純一さんが『ロンドンハーツ3時間スペシャル』のなかで、東尾理子さんとの結婚を発表した」。◇石田やそれを商売にするテレビって見てらんねえという世間の声に対し、テリー伊藤はここぞとばかり反撃を試みる。◇喜々として、オレの独擅場(どくせんじょう)といった風情で。

◇「『いや、さすが石田純一だよ。”ここまでやるか”と思われるようなことをあえてやる。彼こそ、芸能人のなかの芸能人だ。石田さんはヤサ男に見えて、本当は腹が据わった男なんだよ。理子ちゃんも、そこに惚(ほ)れたんだろうな』」。

◇「きっと石田さんは、妻となる理子さんを一緒にバラエティー番組のテレビカメラの前に立たせることによって、身を持って自分の生きざまを彼女に伝えたかったのだ」。◇「おそらく彼は『芸能人にプライバシーなんかない』と考えているはずだ」。

◇「『ファンや視聴者が見たいというものは、すべて見せる』という凄(すさ)まじいプロ意識。それが石田純一のプライドなのである」。

◇おそらくはこの文章こそが、テリー伊藤の度し難き本質とクサさをもっともよくあらわしているとIFSAは見る。◇あとは読者のご判断に委ねるとして・・・・・・・。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年10月21日 (水)

IFSAのおすすめ=たまには幕張のザ・マンハッタンなど、東京近郊のホテルに泊まるのも

◇どこか近間で軽~く一泊し、気分転換をしたいなということで妻と一致した。◇板橋の家をスタート地点にするなら、群馬県・栃木県・茨城県あたりまで。◇横浜の家からなら、伊豆半島か静岡県・山梨県くらい。

◇しかしわれわれはもう相当に行き尽くしているため、どこも新鮮味に欠ける。◇泊まったことのない磯部温泉(群馬県)あたりを一応調べてはみたが、これもムリムリの感が否めない。

◇さて困ったと思っていたら、メルマガのyoyaQ.が飛び込んできた。◇それほど期待はせずに見てみると、幕張(千葉市美浜区)のホテル ザ・マンハッタンがあらわれる。おお、懐かしい。◇というのも、私のいた企業の子会社がかつて幕張のワールドビジネスガーデン(WBG)に入っており、そこを何度かか訪れた際、このマンハッタンの外形と名称とになぜか惹かれるものを覚えたからだ。

◇都市ホテル大好き人間としては、どうしても探検してみたいところのひとつであった。◇しかもその日のyoyaQ.によれば、目玉が飛び出るほど?の<安さ>ときている。◇このタイミングも何かの縁。妻に相談すると、何だかさっぱり分からないけれどまあいいでしょうといった反応が返ってきた。

◇早速ネットから予約を入れたのはいうまでもない。◇当日は知らないルートを使ってクルマを走らせるをテーゼに出かけた◇妻も私も、何時までに何をしなければいけないといった身分からは解放されているため、そこは実にのんびりとしたもの。

◇中山道(R17)の大和町(板橋本町)交差点から環状7号線(環七)の外回りへ入り、ぐるっと時計回りで千葉の海まで行ってみようとの算段だ。◇JR常磐線とクロスする亀有とか京成電車と交わる青砥(=同じアオトでも駅名はこれで、地名は葛飾区青戸)までは走ったことがあるものの、その先の環七となると東京通を自認するIFSAもおぼつなかい。

◇いつしかクルマは江戸川区へ入り、新中川と平行して走る。一路南下しているからそろそろ東へと考えるころ、ちょうどいい案配に千葉街道との交差点に達したため、ためらわず左折。それが間違いのもとだった。

◇この道はすぐに京葉道路(有料)の側道気味と化し、なおも進めばT字路に。大河の名がふさわしい江戸川へぶちあたったのだった。◇有料道路のほうは水面をすいすいと越えていくが、寂しいかなわれわれ一般道には橋がない。◇では再度南下をと思えば、東西に旧江戸川がしっかり横切っていてこれまた橋はゼロ!とカーナビが伝える。

◇しかしヒマ人はあわてない。というより、むしろこれを楽しむ。◇ならば江戸川に沿って土手道を上流(=北)へと上り直し、最初の橋で右折して千葉県へ入ればいいじゃないかと楽観的な対応で逃げる。◇逆に、知らない町を走れた僥倖(ぎょうこう)を妻ともども歓迎した。

◇それにしても悪名高き<公共事業>よ。つまらないことばかりしていないで、こういうところにこそばっちりと橋をかけるべきなのだ。

◇しばらくしてあらわれたのは市川橋R14(=東京の靖国通りからずっとつながっている国道)が千葉へ入らんとする橋なのであった。◇われわれにとってはこれが結果オーライのgood!に。◇というのも、妻が最近気に入っている「渋カフェ」(註)掲載の喫茶店が市川市中山にあるというからだ。

(註)=「渋カフェ」(「散歩の達人」のムック・交通新聞社刊・2009.07)。<渋カフェ>とは渋谷のカフェではなく「渋いカフェや喫茶店」と冒頭にある。

◇さてカーナビで案内されたのは、何と<市川市東山魁夷記念館>。どうやら目指すカフェはこのなかにあるらしい。◇妻は昔から魁夷が好きだったというので、ためらわず駐車場へ。◇まずは併設の<白馬亭>へ行けば、営業上手の女性が出てきて「ここは精養軒の経営ですから」と誇らしげにささやく。

◇うん、精養軒?何年か前、上野論を書く材料にと久しぶりに入った上野精養軒のディナー。◇値段の割には貧相な内容にびっくりさせられた経緯も加わり、老舗をありがたがる気持ちなどさらさらないものの、せっかくだし雰囲気はいいからと渋々入ってみた。

◇ところがどうだろう。妻の食べたハヤシライスのおいしいこと。庭を見ながらのこの喫茶店は相当のおすすめといえる。◇妻だけ記念館をまわっている間、私は周辺を散策した。前の道路が江戸研究者には欠かせない木下(きおろし)街道と知り、何だか心が騒いだ。

◇この静かな町の周辺には、古刹・法華経寺やミスマッチの中山競馬場が。◇近くに私のいた会社の社宅があったことから、だんだんと記憶がよみがえってきた。◇魁夷が居宅を構えただけのことはある、静かでいい住宅街だ。

◇さて本日のメーン、幕張のホテル ザ・マンハッタンへ急がねば。海が見えるというのに、暗くなって入ったのではイミがない。◇と言いつつ、有名な谷津干潟だけはこの目で見ておかねばと、関心を示さぬ妻の許可を取りつけあえて遠回りをする。

◇ザ・マンハッタンは、海岸線に平行というより、むしろ直角に建っているビル。だからオーシャンビューの部屋が少ないというのをフロントの説明ではじめて知った。◇しかし親切なホテルマンは、格安値段にもかかわらず、眼下に東京湾をのぞむ16階のドンピシャ・ルームを割り当ててくれた。

◇部屋はマンハッタンスタンダードという30平方メートルのツイン。はじめは狭い感じがしたが、抜群に広いバスとウオーキングクロゼットにスペースをかなりとられているのが分かり、納得。◇いればいるほど快適な部屋と化してきた。◇それに、温度ばかりか湿度調整まで可能ときている。

◇夕食は2階のフレンチ「ベラ・ルーサ」へ。雰囲気も接客もgood!だし、値段もリーズナブル。食事の内容もよい。◇ただ、肉も魚料理も若干味が濃いかなというのがわれわれふたりの主観的感想であった。

◇また駐車場は、チェックアウトの12:00まで無料。それゆえ、ここに泊まって京葉線でディズニーランド(シー?)へ出かける客も多いらしい。◇ところでこのホテル、三菱地所系列のロイヤルパークホテルグループとは知らなかった。◇そのせいか、スタートから20年近くたっているというのに、どこも荒れていないのがうれしい。

◇1年に2度ほどは骨休めに利用したい都市型リゾートホテルに思えた。◇何しろ、板橋の家から横浜の家へ行くよりも近いし、それでいてあまり知らない千葉という<異文化>も味わえる。われわれにはちょうどいい具合だった。

◇ところで、この周辺はホテルが林立している。地盤沈下の激しい幕張地区にあり(=かつてウオーターフロントなどの空虚なキャッチフレーズに踊らされた企業も、いくつかは再び東京へと舞い戻っていった)、経営がはたして成り立つのだろうか。◇もう少しで始まる東京モーターショー開催時などを除けば。

ザ・マンハッタンの隣には、ホテルフランクスホテルグリーンタワー幕張が、そしてその前方にはホテルニューオータニ幕張と全面ガラス張りの超高層・旧幕張プリンスホテルがまるでバブルの塔のようにそびえ立つ。

◇翌朝散歩がてら、旧プリンスを見学に行って驚いた。◇いまは何と、テレビで顔なじみのおばちゃんが社長をつとめるアパホテル&リゾート(東京ベイ幕張)に変身してしまっている。◇しかし敷地内に足を踏み入れれば草は生えているし、ロビー周辺は薄暗くて雑然としているし・・・・・・・。◇何ともいえぬ索漠ぶりに、そそくさと失礼させてもらった。

◇翌日はまっすぐ帰るのも芸がないとばかり、大回りを承知で東京湾アクアラインルートを選択。一度、森田健作センセイの800円を体験するのも悪くはないかと。◇走ってみてびっくりした。首都高東京線より100円高いだけというのにこの交通量。いかに建設のFSがデタラメだったかを如実に物語っている。

◇そう、需要がない!平日に走ってみればこれがよく分かる。

◇しかしこの<大回り社会科見学>の収穫はもうひとつあった。◇昨晩、持参のPCで調べておいた木更津市内の<うおせい>。昼食時で20分ほど並びはしたものの、味・CPともに抜群!ぜひもう一度行きたい店のひとつだ。

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年10月11日 (日)

IFSAの予想どおり慎太郎五輪はドボン=そうなった必然性を一度振り返っておかねば!

150億円(いや、一説には400億円[註])ともいわれる巨費を投じた東京五輪誘致は、ほら見ろ、だから言わないことではといった感じで大敗した。◇IFSAは過去何度か、当通信でそのばかばかしさを論じてきたが、今回は毎日新聞の記事だけを頼りに敗退の必然性を総括しておきたい。

◇もちろんもっと多元的な見方も成立しようが、過去の報道を丹念にフォローしていれば、たとえ毎日新聞1紙だけからでも見えてくるものは想像以上に豊かなはずだ

[註]きっこのブログ(09.10.03)<五輪惨敗で石原都知事の責任重大>と題してこう書き記す。◇「今回の招致活動では、単なるジオラマ制作に5億円もかけ、50人もの関係者に1着30万円のスーツを配るなど、都民の血税を湯水のごとく使い続けたため、東京都の発表している150億円という予算を大幅に超え、一部では400億円超える血税がドブに捨てられたと言われている」。

◇手始めは、五輪誘致の不純な動機から。

◇「石原知事が都議会で五輪招致を宣言したのは05年9月。銀行税やディーゼル車規制に代表される華々しい都政運営が鳴りを潜め、人気にも陰りが出始めたころだ」。◇「『知事の、知事による、知事のための五輪』。トップダウンで決まった立候補は、そんなふうにも揶揄(やゆ)された」(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/上 残り1年半、知事を待つ嵐・毎日jp.・2009.10.04)

◇「今年初め、招致に慎重な民主党都議が党中央に冷静な対応を文書で求めたことを知ると、知事は都議会の一室でこの都議らを呼び止め、『みていろよ、恥をかくからな』とののしった」(同上)。◇どちらが恥をかいたかは歴然であろう。

◇動機のひとつは、石原人気沈没へのこのような一発逆転策。しかし彼の意図はそれにとどまらない。◇「五輪招致の目的についても石原都知事は、東京の再生によって日本国の底力を世界に示し、国威を発揚させる、と力説している」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・谷口源太郎・毎日新聞朝刊・09.04.03)からだ。

◇そしてこの上にかぶさってくるのが、例の経済効果[=註]という妖怪であるのは言をまたない。◇だから産業界は事前に50億円ものカネを出したのだし、五輪開催による不動産価格の値上がりを見込み、皮算用に余念のない人士も大勢いたに相違ない。

[註]=「五輪を開催した場合の経済波及効果を、都は全国で2兆8000億円(うち都内で1兆6000億円)と試算したが(後略)」(★★クローズアップ2009:三たび招致失敗 日の丸五輪、遠のく夢・毎日jp.・09.10.04)

◇だから、以下のような本末転倒そのものの嘆息が役人からもれたりもする。◇「五輪招致というエンジンを失った今、都の幹部は言う。『開催を想定した都市像は、東京が直面する問題の解決をさまざまに織り込んでいた。これに代わる目標は、すぐには見いだせない』(★★消えた東京五輪:招致失敗の波紋/中 残る借金と未利用地・毎日jp.・09.10.04)

町村敬志・一橋大大学院教授にこう指摘されるまでもなく、何ともお粗末な話というしかない。◇「本来、独自の理念を持っているはずのスポーツイベントが、都市開発の道具としてしか語られないのは不自然だと思う。さらに言えば、五輪のようなイベントにしか、都市の未来を託せない思考にこそ、問題があるのではないか」(★★2016年東京五輪招致をどう考える・毎日新聞朝刊・09.04.03)

◇しかし不純な動機は以上の3点ばかりでなかった。◇そこには、これまた妖怪のようなスポーツ界もからんでくる。

◇「国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、東京五輪の招致に失敗したことは、スポーツ界にとって、トップ選手強化の『大義』が失われたという側面を持つ」。

◇「上村春樹・選手強化本部長は『16年五輪の国別メダル数で3位以内に入るには、12年ロンドン五輪で5位になっておく必要がある』と説明。ロンドンでは14~16個、幻となった東京で25~30個の金メダルが必要と具体的な目標も掲げた」。

◇「08年北京五輪で日本が獲得した金メダルは9個で、国別ランキング8位」。◇東京五輪を想定し、それ向けの「強化費増額への期待があったはずだ」(以上、★★敗北の衝撃:16年招致/中 強化費増額に暗雲 JOC構想「大義」失い・毎日jp.・09.10.06)と記者は書いている。

◇お~お、日本全国すべては東京での五輪開催にかかっているってか?◇ダメだ、メダル数激増までが招致の動機!ってんじゃ。◇また彼らの背景に、以下のような考え方があるというから、IFSAはフレッシュな感じをもって驚かされる。

◇「JOCの福田富昭副会長は『これまでは火山の爆発で溶岩を流れさせ、底辺を広げようという考え方だった。この方が”ボトムアップ”の方法より、コストがかからない』と持論を展開し、新政権のスポーツ政策に注目している」(同上)。◇何とも安直な思考法。やはりこれじゃ日本のスポーツはネ、とあらためて感心させられる。

◇さて、以上のような思惑がいくつもからまれば、世界に発信すべき<理念>とやらが笑止千万なものに堕するのは理の必然といえよう。◇「環境に配慮した五輪」やら「コンパクトな五輪」やら、そうした理念でも追いつかないとなれば、平和憲法をせせら笑う石原慎太郎、恥じらいもなくこんなものまでをも持ち出した(=当IFSA通信にて既報)。

◇「招致の理念について石原都知事は『どうにでも書ける』と、理念のなさをさらけ出し、メディアなどから批判された」。◇「揚げ句の果てに作文されたのが、『平和に貢献する 世界を結ぶオリンピック・パラリンピック』という理念だった」(谷口源太郎・同上)。

◇しらじらしい<平和>はともかく、得意満面の<環境>ですら、「太陽光パネルなど最新技術を駆使した環境対策を強調する東京に対して、IOCの評価委員は『我々は国連ではない』と冷ややかだった(★★16年夏季五輪:東京落選 南米初、リオ選出・毎日jp.・09.10.03)てな調子で一蹴(いっしゅう)されてしまうといった案配(あんばい)。

◇そりゃそうだろう、何でも言えばいいってものじゃない。◇評価委員の皮肉は実にいい線をいっている。

◇そんななか、今日、昼食のそば屋でスポニチを読んでいたら、美輪明宏が辛辣(しんらつ)な石原慎太郎五輪批判を展開していた。◇そのなかで特におもしろかったのは、コペンハーゲンでの石原プレゼンに触れた部分。

◇あんな都職員への訓辞のような演説でウケるわけはないだろう、と。◇傲岸(ごうがん)不遜、ひとに頭を下げるなど体験したこともない男が、とってつけたようにお願いをしたところで、ミエミエは避けようがないというわけだ。

◇その石原が、先の総選挙応援演説でけなしまくった敵陣の鳩山由紀夫首相に頼み込み、デンマークへのご足労をお願いしたのだから、よほど万策尽きていたとみえる。

◇鳩山首相はといえば、この際、石原に貸しを作っておくのがいちばん。◇もしくは、人のせいにするのが得意な石原のこと、誘致失敗の戦犯にされてはかなわないから、勝算のないセレモニーへも出かけていった。◇加えて、<気分転換も兼ねて>といった鳩山一流の遊び心も加わり。

◇それらをひっくるめた成り行きのすべてを、国民は淡々とながめていた。◇今回の石原独り相撲はまあそんなところであったといえよう。

◇おごれるもの久しからず。◇責任をとっての辞任はないと開き直る石原慎太郎に対し、そうもいかないという情況がこれから展開されるはずとIFSAは見る。◇まずは最低でも150億円という、常識を超えた<使途精査>から。

◇へたに辞任し、次期東京都知事から洗い出しをされるのも怖いし、プライド高き男、議会からの攻撃にさらされるのもゴメンだし。◇さらにはそこへ新銀行東京問題も加わるし。

◇エラそうな石原の相克はつづく。(敬称略)

★★[IFSA]★★Michio Abe

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2009年10月 4日 (日)

マスコミの偽善キャンペーン(2)=<民主党二重権力>批判は何を懸念してのこと?

◇戦後政治史上、実質的にはじめて実現した政権交代。◇だが民主党政権誕生と同時に、ほぼすべてのマスコミが判で押したごとく鳩山由紀夫&小沢一郎の<二重権力>を批判し始めた。◇新聞社やテレビ局によっては<小鳩体制>とか<小鳩政権>と揶揄(やゆ)しつつ。

◇<小鳩>とくりゃ、どこかの幼稚園の名称にありそうで、ひ弱さも漂う。◇ただ、<鳩小>でないところにも彼らなりのイミが込められている。語呂の問題だけでなく。

★★それでも「小鳩関係」が心配だ
政治部長・乾正人
MSN産経ニュース・2009.09.17

「問題は、やはり『小沢一郎』との関係だ」と乾正人は切り出す。

◇「8・30総選挙での民主党の歴史的勝利以来、気になることが一つある。(中略)党内の一部にくすぶり続けていた小沢氏への批判が、魔法のようにかき消えてしまったのだ」。

◇また「小沢氏が幹事長に内定した直後に、テレビに出演した中堅・若手の議員たちは『いい人事だ』と口を揃えた。これまで小沢氏と距離を置いていたベテラン議員も記者たちとのオフレコ懇談の場で、『小沢さんは本当に変わった。二重権力などとんでもない言いがかりだ』と褒めそやした」。

◇民主党内の微妙な空気の変化(=ビビリ感)を紹介した後、産経新聞政治部長はこう書く。◇「それら(小沢+社民党+国民新党徒党等からの圧力と拡散ベクトル-筆者註)をはねのけて鳩山首相が、持ち前の粘りで『脱官僚政治』を実現できるだろうか」と。

◇締めくくりは「『二重権力』構造への危惧が杞憂に終わることを願ってやまない」

◇こうした乾正人の論説にかぎらず、IFSAがどうにも理解できないのは、彼らマスコミはいったい何を<危惧>し、二重権力構造を批判しているのかという点だ。◇そもそも何かを本当に心配したうえで<批判>しているのかさえIFSAは疑問に感じる。

◇彼らマスコミ自身は、二重権力状態というものが世間の絶対善倫理に照らしてバッチリ非難の対象となりうる>とヨムからこそ、まずはたたきやすいものをぶったたいておけ!◇実態はそんなものではないかと、IFSAの生活直観がささやくからだ。

◇というのも、民主党の二重権力をマジに批判するのだとすれば、そのココロは、民主党が最初からコケないよう心配してといったスタンスに立ってのはず。◇逆に、民主党など早く失敗してくれればいいと思うなら、本音は二重権力大歓迎(→政権の空中分解)でなければおかしい。

◇皮肉を込めて言えば、産経新聞はいったいいつから鳩山民主党政権の応援団になったのだろう。◇まあ関連の言説からして、そんなことは考えられもしないけれど。

◇だいいちこの乾政治部長、いつぞやのIFSA通信で紹介したように、以下のような考えをお持ちの人物でもあるのだから。

◇「あの郵政選挙で自民党が空前の勝利を収めてからわずか4年。なぜ、かくも短期間で自民党は凋落(ちょうらく)してしまったのか」への答のひとつとして、彼はこう書いた。

◇「異説ではあるが、私は『ポスト小泉』の安倍晋三、福田康夫、麻生の3代にわたる首相が靖国神社参拝に踏み切れなかったことを最も大きな理由として挙げたい(むろん、福田氏はまったくその気がなかったろうが)」(以上、★★なぜ自民は惨敗したのか 政治部長・乾正人・MSN産経ニュース・09.07.13)。

◇となるとやはり、彼による民主党への二重権力批判は<計算されたアイロニー>ととらえるべきであろう。

◇しかし、民主党政権の二重権力構造批判を展開するのが、産経を代表とする右派系にかぎらぬのは先述のとおり。◇ならば、多くのマスコミがその根拠とするは、<二重権力=アプリオリに絶対悪>と見なす単純絶対善思想(=世論ヨイショ思想)への依拠以外に考えられないだろう。

◇ところが残念なことに、最近の社会はこんな絶対善にそれほど反応しなくなっている。◇それが時代遅れのマスコミにはいまだ理解できていないという現実がある。

◇さあ、ここらで話をいったん現実へ戻そう。◇まず政権をとったばかりの民主党は、いったい二重権力状態なのかどうかと。◇IFSAは当然YES!と答える。

◇いいか悪いかではなく、小沢一郎の持つケタはずれの膂力(りょりょく)で参院選を勝ち抜き、今回の総選挙でも圧勝。◇しかし小沢は単なる選挙職人だから党内で権力を持つな!は、どこの世界でも通るはずがない。

◇小沢がいなければ政権交代など実現しなかったのは自明の理。◇人間的にはまったく魅力のない、好きになどなれない小沢であれ、権力闘争における偉大な貢献度は認めざるをえない。◇そこにはすごみも怖さも漂う。ゆえに、上記のごとき民主党内の空気のユレも出来(しゅったい)する。

◇しかし小沢があのまま代表にとどまり、いま首相の座にあったとしたら?これまた大変なことで、民主党政権が現在のような好感度で迎えられたとは到底思えない。◇鳩山だからこそ何とかうまく回っているといえる。◇そのイミで、目下のところ民主党はついている。

◇現実の話をさらにもうひとつ付け加えれば、<鳩山は内閣、小沢は党と国会>。このようにセパレートするだって?◇そんなことできるわけがないであろう。たとえば、A氏を大臣にと鳩山がいえば、小沢がそれは幹事長代理に・・・・・・・。◇こんな綱引きはいつでも存在する。

◇そして今後の国会運営においても、内閣と党・国会を完全分離などできるわけもない。◇ゆえにかならず衝突が!もしくは、小沢が大人になって何とかくぐり抜けていく!◇そのどちらかしかない。

◇実際は上記のような齟齬(そご)がいたるところで見られるのは想像に難くないとして、それでもIFSAがカマトトぶった二重権力批判に関心を向けないのには理由がある。

◇たとえ二重権力だろうが三重権力だろうが、結果よければすべてOK、アウトプットが悪ければ改めるか、それとも自民党に政権を奪取されるかだけのこと。◇逆にマスコミの好きな一重権力であっても、そのプロセス自体はまったくかわらない。

◇要は権力構造の態様など、われわれには何の関係もないはずなのに、つまらぬ<外形>から絶対善的物さしをあてては悦にいるマスコミのズレズレをこそ、われわれは嗤(わら)わなければならないだろう。

◇たとえば日本を代表する大企業でも、社長がひとりでがんばっているところと、会長-社長のそれこそ<二重権力>で乗り切っているところとがある。◇あるいは、元社長の相談役まで含めた<三重権力>があるかもしれない。

◇読売グループのように、ナベツネがいまだ君臨するところさえある。

◇では後者の企業に対し、エコノミストはすぐさまその態様だけで<批判>を開始するだろうか。

◇大きなお世話とはこのことで、それがプラスに出ているならあくまでも知らん顔、内紛が勃発(ぼっぱつ)したりして業績に影響が出れば<批判>どころかたたきまくる。◇経済界はあくまでさらっとしたものにすぎない。

◇これを再び政治の世界に置き換えると、自民党政権時代、一重権力の内閣など数えるほどしかなかったとの事実にも行きあたる。

◇まずは妖怪的は岸信介が、米国共和党の意を受け、陰に陽に歴代内閣をコントロールしてきた現実は、知られていないながらあまりに大きい。

◇個別でも田中角栄・首相失脚後の闇将軍ぶりは10年以上も継続した。◇これを二重権力をいわずして何といおうか。◇しかし、だからどうしたっていうのだろう。

◇そしてあのやりたい放題だったかに見えるコイズミは、米国ブッシュJr.共和党政権との完全なる二重権力というか、指揮下にすっぽりと入っていた。◇にもかかわらず、二重権力に敏感な絶対善的マスコミが、その不健全さを正面から突いたことはない。

◇ここまでくれば、マスコミによる現下の民主党二重権力批判、もはやお里が知れるといったところではないか。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月27日 (日)

マスコミの偽善キャンペーン(1)=<地元無視の八ツ場ダム中止>という情緒的誘導

手前勝手話とはいえ、ここのところ政治素材が続き、書くほうもいささか疲れ気味本当なら<シリーズ・散歩の凡人>やクルマ・カメラの話といきたいところですが、何せ半世紀ぶりの政権交代とくれば、あと2回ほどは政治ネタにお付き合いくださいそれから<散歩>ということで

◇民主党がマニフェストに掲げ、前原誠司国交相が明言した八ツ場(やんば)ダム建設中止に対し、大マスコミ、特にテレビは連日連夜、<はじめに中止ありきはおかしい><地元民の声を聞け>キャンペーンを展開している。

◇これらはすべて、IFSAがいつも指摘する、例の<絶対善=安全地帯>に寄りかかった無思想・無内容な物言いであるのは間違いないが、それにしてもこの露骨さ、さもしさといったらうんざりする。

◇あの田中康夫が長野県知事当選(=2000.10)数カ月後に打ち出した稚拙なる<脱ダム宣言>、その際の異常なまでのテレビ界リアクションを思い出してみれば、彼らの体質はよりクリアとなろう。

◇何とか劇場にしか興味のないテレビメディアは、<ダムはムダ>なる戯れ言に酔いしれるヤッシーを現代の英雄もしくはオピニオン・リーダーに祭り上げたばかりか、康夫ちゃんの先兵となり<はじめに(ダム)建設ありきはおかしい>キャンペーンを全国へ展開しまくった。

<田中康夫と脱ダム>は、少なくとも<コイズミと聖域なきコウゾウカイカク>の前座にふさわしいフィーバーぶりを、当時のテレビ界で体現していたのだ。◇ワイドショーでもニュースでも、まさに朝から晩までといった調子で。

◇皆さんは既にお気づきであろう。◇康夫ちゃんの時の<はじめに建設ありきはおかしい>と、今回の八ツ場ダム関連の<はじめに中止ありきはおかしい>が見事なまでのマ逆であることに。

◇いやそうはいっても、共通点がたったひとつだけある。◇それは両者とも、何の社会科学的秤量(ひょうりょう)を経ない、単なる情緒的&絶対善的反応の産物という点だ。

◇だからIFSAは当時、康夫ちゃん的脱ダム論を執拗(しつよう)なまでに批判しつづけたし、日本自然災害学会の学会誌「自然災害科学」から求められ、<情緒的「脱ダム論」の限界>という論文を寄稿もした。◇ダムをつくるべきかやめるべきかの不毛な二分法を、根底から批判したのだった。

◇今回の八ツ場ダム問題にみられる<はじめに中止ありきはおかしい><地元民の声を聞け>キャンペーンの推進者、日本の軽薄テレビメディアは、激越な反対運動からようやくダム建設へとソフトランディングを果たした地元民を再度引きずり回すな!のキミワル絶対善につくばかりで、ではこの金食いダムがなにゆえ必要か、もしくは、なにゆえ不必要かの議論にはまったく興味を示さない。

◇自分の不勉強ぶりを棚に上げ、情緒論についているほうがよほど楽だし、何より<安全>だと本能的に知っているからであろう。◇そもそも、連日得々とリポートする彼らは、このダムがつくられようとしている吾妻川(あがつまがわ)のことをどれほど知ったうえで語っているのだろう。

◇もしかすると、長野県との県境、群馬県嬬恋村近辺に水源をもつこの川が、30を超える支川を集め、群馬県渋川市であの日本一の利根川に合流するという事実すら把握していないのではないかと心配になる。◇まさか、吾妻川が直接海へ流れ出しているなんて思っていないでしょうね。

◇八ツ場ダムをつくらないと埼玉や東京が水浸し!というからには、利根川合流以後の地形や防災体制を明確に説明してもらわなければならない。◇多摩川水系を除く東京都の河川問題=埼玉県の河川問題との視点から、埼玉平野の河川研究&現場踏破を試みるIFSAにしてみれば、それらが持つ独特の地形からして本当に分かっているの?と問い返したくなる。

◇今回の八ツ場ダム問題は、<まずダムの必要性・不必要性検証ありき>から出発すべきなのであり、その結果、必要性が優位となれば建設を促進する、逆に不必要性に軍配が上がれば、あとは地元民に再びいかなる補償を行うかの問題へとシフトさせる。◇もちろん、物理的ばかりか精神的なファクターをも補償に含めて。

◇ではIFSAはこれをどうとらえるのか。正直言って八ツ場ダムに関する数値的データを集めたわけではないから、ここで社会科学的証明をなすことはできない。◇ただ、現地に3泊もすれば答えが容易に出せるという自信はある。

◇付近を何度も通っている直観からして、八ツ場ダムが無理筋であるのは分かりすぎるほど分かってしまう。。◇おそらく現場を1度でも訪れたことのある人なら、すぐさまエエ~ッ?といった奇異な感にとらわれること請け合いといえるほど、この計画にはムリがミエミエといったあんばい。

◇いくら<反・脱ダム派>のIFSAであっても、この八ツ場ダム建設の必要性だけは、治水面からも利水面からもまったく理解できないと、とりあえず表明しておこう。◇だから民主党が本気になって社会科学的証明をする気にさえなれば、ノンの結論などは朝飯前といえる。

◇八ツ場ダムへの動機。それが47年のカスリン台風大被害にあったことは間違いがない。◇未曾有の大水害を見て、待ってましたとばかり、政治家・官僚・利権団体連合軍の悪のりが始まった。◇根拠レスでムリムリのスタートを、何はともあれアプリオリに切ってしまえ!とばかりに。

国交省・八ツ場ダム工事事務所のHPが子供だましの域を出ないのは、この動機不純が大いに関係していると思われる。◇そしてダム本体よりもすごいのは、日本でも例を見ない道路・鉄道・集落等のインフラをそっくりやり直そうとする異常なまでの規模だ。◇悪のりの何乗がここにある。

◇直観でも分かるこんな木偶(でく)の坊のようなダムより有効とIFSAがこれまで提唱してきたのは、利根川・荒川・隅田川・江戸川・中川のスーパー堤防化!◇それこそが、埼玉平野から東京都へと流下する大河川群の、急を要する公共事業なのである。

◇ゆえに東京オリンピックなどやっている場合ではないと、IFSA通信で論じたばかりではないか。

◇ところで、マスコミの悪質な情緒的誘導は上記外にもうひとつある。◇<総工費4600億円の7割がもう済んでしまっているのに、中止して何になるのか>といったトンデモカマトト論がそれだ。

4600億円の7割を既に使ったからといって、7割分の工事が完了したことにはならない。◇予算の7割のカネを使って3割分しかできていないといったことは起こりえないというのか。◇まさに冗談ヨシコさんの世界だろう。

◇本体工事がいまだゼロの現状で、あと3割以内の工費にてその建造と付帯工事ができるって?◇2004年の総事業費変更(2100億円→4600億円)、その二の舞・三の舞はいずれ近々!と思わないほうがどうかしている。

◇テレビはグダグダ言う前に、残りの3割のカネでいったい何ができるのかを調べてみるべきだろう。◇ちょいとスタッフを動員すりゃ、いとも簡単な作業なのだから。

◇公共事業万能論に依拠する利権誘導型賛成派と、環境のみが絶対のコンクリート嫌悪型ファナティック反対派のどちらにもくみすることなく、民主党政権がどこまで<社会科学&自然科学的アプローチ>を貫けるか、いまがまさに正念場といえよう。

◇それにしても、テレビマスコミを中心とする彼らの調子よさは、今回あたりで弾劾されなければならない。

◇もっとも国民サイドはといえば、康夫ちゃんやコイズミの時代のようなオメデタさが薄れはじめている。

◇それが証拠に、国民に寄り添っているつもりで地元町長の建設中止反対論を称揚してみせるテレビが、いつしか社会より置いてきぼりを食い始めている情況もチラホラ見えてきたりするものだから。

◇とすれば、日本社会は少しずつ健全な方向へ動きつつあるのかもしれない。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月17日 (木)

IFSA注目の<ベタ>記事=<政権交代で調子のくるった右派3人にフォーカス・オン>

★★東国原知事「あのとき自民が変わっていれば・・・」
asahi.com・2009.08.31

◇東国原英夫こと<そのまんま東>氏と古賀誠氏による学芸会&その後の顛末(てんまつ)については当IFSA通信で何度も取り上げたから、それ以上は触れない。◇今回は、民主党圧勝判明後になされたそのまんま氏の反応を紹介するにとどめよう。

◇「総選挙前には、自民党に対し、自身を党総裁候補とすることなどを条件に総選挙に出馬することを提案。自民党寄りの姿勢を鮮明にしたが、同党が受け入れず、ご破算になった」。

◇「この騒動が自民大敗の一因になったとの見方には『あの時、自民党が変わって(提案を受け入れて)いれば、大敗はなかったかもしれない』と反論した」。◇こういうたぐいのものを、ご大層にも<反論>と呼ぶのだろうか、そもそもの話が。

★★藤崎駐米大使:
米報道官の「給油継続」要請に不快感
毎日jp.・09.09.11

◇この駐米大使発言の前段というか前提には、<民主・社民・国民新党の3党合意>に対するモレル米国報道官のクレームがあった。◇モレルはこう言ったという。

◇「(前略)給油活動について『継続を強く促したい』、日米地位協定や米軍再編も『現行の合意の履行に向け協力したい』と指摘」。◇「今月下旬に予定される日米首脳会談を待たず、早速圧力をかけてきた」(★★3党合意に米国早速けん制 引けぬ民主 ”弱点”露呈・TOKYO Web・09.09.11)

◇社民党は超少数政党の分もわきまえずに何を言っているんだ!ひからびた原理主義にもほどがある!ひるがえって民主党のぐずぐずよ!といった批判はIFSAですら持ち合わせるが、まだ政権がスタートしてもいないタイミングでの米国流唯我独尊圧力に、またかの思いをいだかぬ人間は少なかろう。

◇そこへ上記・藤崎駐米大使の<不快感>とくれば、おお、なかなかホネのある外交官よ、昨今珍しいとなっても不思議はない。◇その彼は以下の2点を主張したとされる。

◇「『(アフガニスタン支援は)新しい政権が発足した時に政府として検討する。決めるのは日本』と述べ、不快感を示した」。

◇「藤崎大使は『日米にはこれまでの信頼関係があり、報道官を通じてやり取りする関係ではない』と強調。政権発足前に日本政府の政策に口をはさんだモレル報道官の姿勢を批判した」。

◇ところが、この藤崎大使と外務省で同期でありながら、かたやイラク政策をめぐるコイズミ批判でレバノン大使を<解任>された天木直人にかかると見方はまったく違ってくる。◇<★★藤崎一郎駐米大使の対米強硬発言とその正しい評価・天木直人のブログ・09.09.14>で彼は次のように書く。

◇「対米従属一辺倒の外務官僚がよくぞ言ってくれた。藤崎駐米大使は気概あるサムライだ」。◇「もしそのような印象を持ってこの報道を受け止めた読者がおられたら、残念ながらそれは勘違いだ」。

◇「藤崎大使は米国に向かって言っているのではない。鳩山民主党新政権に向かってメッセージを送っているのだ。どうか大使を更迭しないで欲しい。民主党政権の外交に従います、と」。

◇「民主党政権になった今、彼らの主人は民主党である。民主党の対米政策がはっきりしない以上、米国に従属するより民主党政権に迎合したほうがより安全なのだ。そういう配慮から出てきた藤崎発言である」。

◇「それに、報道官ごときにとやかくいわれる筋合いではない、というのも大きな間違いだ。報道官は勝手にそのような発言をしているのではない。国防総省を代弁して発言しているのだ」。

◇コトの真相は分からない。ただ、天野の指摘にはそこはまとないリアリティーが漂う。◇サラリーマンなら、自分の会社の人間模様を浮かべればなるほどといったところだろう。◇突如あらわれた<気概あるサムライ>もこれならと、IFSAは妙に納得した。

◇それにしても、民主党政権発足直前の空白期、新聞の報道ぶりが気になって仕方がない。◇たとえば以下2タイトルのような書き方。◇どうだろう、少しでもイチャモンをつけてやろうとの、このステレオタイプ的卑屈と想像力・構想力の欠如は・・・・・・・。

(1)★★3党合意に米国早速けん制
引けぬ民主 
”弱点”露呈
TOKYO Web・09.09.11
(前出)
(2)★★鳩山外交、はや火種
インド洋給油、米が継続求める
NIKKEI NET・09.09.11

◇どうやら、前者は「今月下旬予定の初の首脳会談の席上、オバマ大統領からクギを刺されないとも限らない」を<弱点>と見なし、後者は「日米間に早くも『さざ波』が立ち始めた」<火種>だと言いたいらしい。

◇ベッタリいけば軟弱・追従外交、ちょっとでも齟齬(そご)が予想されれば<クギを刺されかねない>とか<さざ波>とかのいらぬご心配。◇いったい彼らメディアのスタンスはどこにあるのかはっきりさせてチョーヨ。まったく。

★★「求められているのは、真っ当な日本人、
日本国に立ち戻ること」櫻井よしこさん
産経新聞九州新創刊にも言及
MSN産経ニュース・09.09.10


櫻井よしこが福岡市で行った産経グループの「『正論』九州講演会」。

◇「(前略)評論家の櫻井よしこさんが『いま私たちに求められていることは、日本人が真っ当な日本人に立ち戻ること。日本国が真っ当な国家に立ち戻ることです』と呼びかけると会場から大きな拍手が起きた」から記事は始まる。

◇櫻井が何を主張するかは講演を聞かなくてもおおよそ想像がつくが、産経新聞が聴衆の反応を紹介するくだりにIFSAは目をひかれた。

◇櫻井よしこ、「講演では、その経験(オバマ政権の要人との会談-筆者註)をもとに米国が中国に接近している現状をわかりやすく明かした」→→→「福岡市の団体職員(中略)は『米国が現実的な選択として中国と接近していることを初めて知り、強い危機感を持った』と表情を硬くした」。

◇「講演は中国の軍拡、そして危機的状況にある日本の安全保障に及んだ」→→→「福岡県直方市の会社社長(中略)は『戦争は外交の最大の失敗だと思っていたが、櫻井さんの話を聞き、失敗しないためにしっかりした外交力、軍事力、国民の意識が必要だと感じた』」。

→→→「福岡市の公務員(中略)は『今の憲法は義務と責任がないがしろにされている。そこに日本の問題が集約されていると思う。櫻井さんの話にはいつも共感する』とうなずいた」。

◇日本の右派イデオロギーは安倍晋三の登場でわき上がり、しかしたった1年でずっこけ、福田康夫ではシュン。◇一発逆転と麻生太郎に期待するも、まったく精彩はなし。揚げ句の果ての民主党政権誕生。◇それに反比例するかのように、櫻井はアジリまくる。

◇上記、例としてあげた3人には、微妙かつ複雑な心ゆきがうかがえる。◇いや、そのまんま氏だけはモロ能天気なのかもしれないけれど。(敬称略)

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2009年9月14日 (月)

テレビの劣化がひどすぎる=ニュースで堂々と<板垣氏が自民党総裁選へ出馬!>

◇昨夕(2009.09.13)テレビ東京のニュースを見ていて驚いた。◇正確な言い回しまでは思い出せないが、女性アナウンサーが<自民党の板垣氏が総裁選に出馬表明>というではないか。

◇あれっ?と思ったら、その後も3回、まさに堂々と板垣氏を連呼した。◇当然のこと、<★★自民党総裁選:谷垣元財務相が出馬表明「私が捨て石に」・毎日jp.・09.09.13>を指してのことである。

◇これがNHKなら、隣に影武者のような暗~いベテランアナが座っていて、ひそかに誤りを指摘したり指示を出したりする。◇そのさまがちらっと画面に映るのを見た人も多かろう。

◇しかしテレ東ともなればどうやらそれすらないらしく、最初の間違いだけにとどまらず、その後も3度、ノーガードで<板垣氏>を繰り返させる仕儀と相成った。

◇以後はツラッと別のニュースへ。◇何だこれでシカトかと思えば、途中でこうきた。<先ほど、谷垣氏を板垣氏と読み違えてしまいました>と。◇むろん、エクスキューズなどはない。

◇IFSAがぶったまげたのは2点だ。◇まずはニュースアナをしていながら、谷垣禎一元財務相の名前すらまったく知らないのだろうということ。◇次は、<読み違えてしまいました>のくだり。

◇原稿自体が<板垣>だったのか、それとも<谷垣>を本当に<イタガキ>と読み違えたのかは別として、いずれにせよテレビを取り巻く知的劣化はすさまじいところまできている。

◇新聞のような校閲というお目付役がないのをいいことに、瞬間芸の刹那(せつな)主義で平然としていられる。

◇テロップの誤字などは言うに及ばず、アナウンサーやキャスターのでたらめなテニヲハと修飾語・誤読・いい加減なアクセントは日常茶飯事で、いちいちカウントしたらきりがない。

◇かといって、女性アナのミスをあげつらう趣味はIFSAにはない。◇大げさではなく、この出来事はテレビという企業の後れた<経営思想>を象徴する。そう思えてならないからこそ取り上げた。

◇今の日本のテレビマスコミには、あのコイズミ劇場クラスがやはりいちばんお似合いだったのではなかろうか。(敬称略)

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2009年9月11日 (金)

売れっ子ジャーナリスト・上杉隆=国民が嫌悪した<自民党的なるもの>への無自覚

◇6日前、当IFSA通信で【自民党流政治手法への国民的嫌悪=実はコイズミ登場以前から既に顕著なトレンドだった】(09.09.05)をアップロードしたところ、多くのアクセスをいただいた。

◇自民党政治に対して国民がいだく嫌悪とは<利益誘導型>へのそれであり、これ自体、コイズミ登場以前から蓄積されてきたものではあったが、2001年、彗星(すいせい)のごとくあらわれた名優コイズミがまんまとその<うっ屈&閉塞(へいそく)感>をかっさらい、5年半にもわたって籠絡(ろうらく)してしまう。

◇そんななか、歴史に残る05年の郵政解散で国民の嫌悪は<最高度のカタルシス・チャンス>を得る。◇勘違った日本社会は、民営化という<疑似絶対善>へなだれを打ったのだ。◇これでああすっきり!とでもいうかのように。◇さてその結果は!

◇ところが、コイズミ退陣後3年間の自民党政権体たらくと日本社会のハイパー劣化を見させられることとなるお人よし国民は、ようやくにして<世紀の名優・コイズミにだまされた!>とうすうす気づき始める。

◇今回の総選挙の結果は、まさにその延長線上にあった。◇だから、民主党を大勝させた国民の投票行動は<自民党にお灸をすえる>とか<自民党にペナルティーを科す>いったレベルのものではない。

◇IFSAは先日の【自民党流政治手法への国民的嫌悪=実はコイズミ登場以前から既に顕著なトレンドだった】(09.09.05)でそう主張したのだった。

◇そんななか、いま売り出し中で引っ張りだこのジャーナリスト・上杉隆、彼の得意気(とくいげ)な論説に出会う。◇IFSAはへえぇっ~と驚くと同時に、想像通り付け焼き刃の軽い男だなと妙に納得させられた。

◇彼はメルマガ中の優れたメディアであるDIAMOND online(09.08.27=配信は09.28)<全国選挙区で肌で感じた自民への失望 そして民主圧勝への熱狂の不在>と題し、こう書いている。◇もちろん、選挙結果が出る前にあっての執筆である。

◇「日本中の全選挙区の踏破を企図」し、「沖縄県を除く全都道府県を訪問」した結論だとして上杉は誇らしげに論を進める。◇「『どぶ板取材』の末に行き着いた結論は、選挙も、報道も、現場こそが最高の情報の宝庫だという政治の基本であった」とか妙に高揚しつつ。

◇「今回、こうして何十ヵ所もの現場を訪れて気づいたことは、多くの有権者が自民党への懲罰的な意識を持っているということだった」。◇お~お、IFSAの見解とは異なることをいきなり!

◇各新聞は民主300議席を超す勢いなんて書いているが、「日本列島を歩いている筆者にそうした実感はない。とくに民主党選対を訪れても、300を伺う(=IFSAなら<窺う>と表記-筆者註)ような熱狂は感じられない」。

◇「2005年夏、筆者は、郵政選挙で同じように全国を行脚した。その際の狂乱ぶりは、今回のそれとまったく異にするものだった」。◇ここでようやく理解できた。上杉の錯覚の原因が。

◇実際はこうだ。◇あのどんちゃん騒ぎの主役を張った国民は、いつしかあれに自己嫌悪を覚えるようになった。だから当然のこと、今回は<狂乱ぶり>も示さなければ<熱狂>すらそこにはない。◇深く静かに嫌悪感をくぐもらせたのだ。

◇それが軽~い上杉にはまったく見えない。◇たとえ全国を回ったところで、感性と思想に依拠しないそれでは当然というところだろう。

◇「そのために(投票には選挙区と比例の2通が用意されるために-筆者註)、候補者名と政党名でバランスをとる有権者もおり、総じて、世論調査の数字よりも低く出る可能性が高くなるのだ」。

◇「しかも、候補者名については、ベテランの議員になればなるほど、年配の有権者は以前と同じ名前を書く傾向にある。そうなると、強固な地盤を持つ、自民党の方が有利になるという見方が成り立つのである」とかいって、彼は民主300超に疑問を呈している。

◇しかしここで問題にしたいのは、数値的な予想が当たったかどうかのテクニカルな面ではなく、上杉の本質的な認識のほうである。◇そういえば彼は以前にも、こんなおめだいことを書いていたっけ。

◇それを本年5月のIFSA通信【田原総一朗・テリー伊藤らTV界テキトー男が、知ったかぶりだけで民主党代表選を酷評】(09.05.23)から再引用してみよう。

◇<そうかと思えば、最近売り出し中のにわか政治ジャーナリスト・上杉隆が、したり顔で同様の説教を始める(★★民主党は拙速な代表選実施で、政治ショーの最高の演出機会を逃した・DIAMOND online・09.05.15配信)>。

◇<「(前略)選挙期間は実質2日間、それで新代表を選ぶという」。◇「この決定を表現するとすれば、可能な限り、控えめな表現をもってしても、民主党の広報担当者はメディア戦略がいったい何であるかをまったく理解していないか、あるいは、まったくの愚か者であるかのどちらかであることが判明した」>。

◇<「民主党は、代表選という、メディアの注目を集め、自らの党と政策と人材を、国民にアピールする貴重な機会をみすみす逃したのだ」。◇昨年、一昨年と行なわれた自民党総裁選と比較すればそれがどれだけお粗末なものか理解できるだろう>。

◇なのにいま、コイズミ退陣以降のオメデタ自民党総裁選のほうがよほど<お粗末なもの>として世間の笑いものになっているではないか。◇事実、あの時点でも国民はそう燃えてはいなかった。例によってテレビマスコミがあおったにもかかわらず。

◇ここから分かることただひとつ。◇上杉という浅い人間には、安倍や麻生を担いだ自民党的お祭り&イベント志向性がよくお似合いだということ。◇こうした彼に対し、いまや深く静かに沈潜する<国民の自己嫌悪・失望・閉塞感、そして控えめな怒り>をくみ取れといったところで、所詮無理な相談というものだろう。

◇上杉隆は民主党の当選者数を見誤ったという以前に、国民の深層心理に心が届かなかった。◇おそらくは、5年間鳩山邦夫の秘書だったころの視点からいまだ抜け出せていないに相違ない。

◇少し前には、かの定額給付金を「やらないよりはやったほうがいい」と言い放った実績すら持つ。

◇この程度の軽~い政治ジャーナリストが、テレビ業界やマスコミではコメンテーターとしてもてはやされる。◇一部には、民主党政権が彼を取り込むんじゃないかとの推測まで出たりしている。

◇やれやれ、もしこれが本当なら、民主党にとっては大きなマイナスとなること間違いない。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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2009年9月 5日 (土)

自民党流政治手法への国民的嫌悪=実はコイズミ登場以前から既に顕著なトレンドだった

◇今回の総選挙での民主党圧勝を、<自民党へのお灸>とか表現して分かった気の識者がいる。◇こうした口吻(こうふん)の背景に存在するのは、自民がメーンで民主はサブの定式にほかならない。

◇<そのメーンがいささか傲慢(ごうまん)になってきたため、一度アタマを冷やしたらと国民が愛のむちをくれた>とかいう、甘~い認識なのである。◇熱烈な巨人ファンが、優勝を逃したジャイアンツに対し、たまにはいい薬だと自虐気味に言うアレとほぼ同一線上にある。

◇しかしどっこい、戦後を謳歌(おうか)した自民党はもうとっくに時代からずれまくっていた。◇それも最近のことではなく、あのコイズミ登場以前から。◇だからこそ、コイズミという稀有(けう)の座長が必要とされた。

◇それも、たまたまうまいタイミングではまった綱渡りだった。◇しかしコイズミ劇場は5年半も国民を引きつける。というより、国民のほうから虜(とりこ)となった。◇もう事実上崩壊へ向かっていた自民党にとって、これほどの僥倖(ぎょうこう)はなかった。

◇コイズミは、ひびだらけで屹立(きつりつ)する自民党をぶっ壊すといいながら、モルタルでひびを埋め、外壁をリフォームしたにすぎない。◇耐震補強のまったくない厚化粧だけで、自民党は2001年から過ごしてきたのだ。

◇事実、コイズミの5年半も決して順風満帆だけではなかった。◇政権発足後の04年、年金未納問題で苦しくなってきたコイズミは、7月の参院選対策として(=IFSAはそう見る)愚かなる再訪朝を敢行し、外交劇場化を露骨に展開

◇これに怒った当時の福田康夫官房長官が辞任というおまけまでついた。

◇6月には三百代言的<100年安心>の年金改革関連法を成立させるが、翌月の参院選では<自民1議席減の不振>というより、<実質的な敗北>を喫する。◇そして翌05年の郵政選挙にてコイズミお得意の一発大逆転となったわけだ。

◇そうはいっても、モルタルとケバい塗料によるリフォーム厚化粧の内実は変わらない。◇それがわざわいし、国会に鎮座する自民党の議員たちは世間の風すらもう感じることができなくなってしまっていた。◇チルドレンから重鎮にいたるまで。

◇だから今回のように野党へ転落してまで、総理大臣選出に際し<まだ麻生と書く>とか<一致して白紙投票する>とか、どっちにしても党のテイをなさないボロボロ案を恥ずかしげもなく出しては世間から笑われることとなる。

◇完全に内部崩壊してしまっている証左だろう。

◇昨日運転をしながらテレビニュースの音声を聞いていたら、自民党全国幹事長会議においてどこかの県の代表が、「国会議員の先生方にはモウショウ(=多分、猛省のこと)を促したい」と息巻いていた。

◇総裁が総裁なら、地方の代表も同レベルのKY(=漢字読めない)とくる。◇まあそれは冗談として、麻生太郎首相のお詫びの弁がこれまたすっごい。◇どこにも申し訳ないの真情がうかがえない。党員への謝罪にも真実みが感じられない。◇だいいち、本人の悔しさが伝わってこない。いや、悔しさが存在しない。

◇そりゃそうだろう。麻生首相はほぼ任期満了までの約1年、首相の座にあって大満足だったのだから。◇彼の総裁就任目的などそこにしかなかったことは、当IFSA通信が口を酸っぱくして言ってきたところで、だから麻生はぎりぎりまで解散をしないはずとIFSAは昨秋から発信しつづけてきた。

◇マスコミや識者が解散・カイサンと騒ぐなか、今年の夏まで解散はないと主張した人間は日本広しといえどもそうはいまい。◇IFSAの知るかぎり、少なくとも当IFSAとジャーナリストの上杉隆だけはそれを主張していた。

◇なぜ予想が当たったか。答えはひとつ、麻生太郎はそういう人間だから!◇そう、これは政治学的なマターではなく、社会心理学的事柄に属する。◇それゆえ、政治評論家や政治記者たちはほぼ全員が読み違ってしまった。政局ばかりで人間自体を見ていないのだから。

◇この手の<野心?>にとりつかれた麻生を、国民に大人気と勘違っては総裁へ引っ張り上げてしまった自民党。そののピンズレぶりはいかばかりであろう。

◇ピンズレといえばまだまだある。そのひとつを、毎日新聞の金子秀敏・専門編集委員が鋭く突いている。

★★早い話が:負けたわけ、負けるわけ=金子秀敏
毎日jp.・09.09.03

◇「同じ新聞(衆院選投票日の朝刊-筆者註)に自民党の広告が掲載されている。『日本を壊すな』という大見出し」。◇「『偏った教育の日教組』『特定の労働組合の思想』『この国を守りぬく決意』などの文字が並んでいた」

◇「『政権選択』ではなく『体制選択』である。『日の丸か、赤旗か』という踏み絵である。このへんの勘違いが、自民党の敗因のひとつではないのか」。

◇相手の民主党は、自民党脱党組を基軸に、旧社会・旧民社・市民主義・松下政経塾・若手官僚・サラリーマン出身者たちのアマルガムだというのに、自民党の攻撃手段はいまだ冷戦以前の<赤呼ばわり>発想。

◇いまどき、日教組や連合の影響力なんて。だいたい、彼らの組織率ってどれくらいあるんだっけ?◇自民党にとっての<敵>さえしっかり認識できないほど、彼らは現実から遊離してしまっている。

◇その虚妄ぶりを棚に上げ、左翼退治で共闘しましょうよと抱きつかれてもネ!が国民の正直なところだろう。◇そもそも若い人には、何のことやら分かるはずもない。

◇安倍晋三や麻生太郎の時代錯誤ぶりというか宙をさまよう悪癖が、追い詰められると本音の形で出てしまうお粗末さ。◇自民大敗北翌日のテレビでは、高揚した石破茂オタク久々の<軍事的前のめり>ぶりが、たがのはずれた本音全開モードで披露される始末と相成った。

◇この石破オタク、IFSAの記憶違いでなければ、穏健な末吉竹二郎から<その前にやることがあるでしょう>とたしなめられていたっけ。◇現在の自民党の中核を占める連中は、若手も含めてすぐにこのハイパー右派的地点へと回帰してしまう。◇中曾根康弘だって、いざとなればもっと慎重だったというのに。

◇上記毎日新聞の金子はこう結論づけた。◇「国民に『体制選択』を問うのは時代錯誤だ」。◇「すでに前回の郵政選挙は、政策を問う政権選択選挙だった。だから鮮明な政策を掲げた自民党が圧勝したではないか」。◇「それなのに今回、自民党は保守合同時代の体制選択選挙に逆行した。負けるわけだ」。

◇最後にIFSAは、自民・公明連合軍の最大のピンズレ(=国民意識への見誤り)を指摘しておきたい。◇それは現代史年表を少しひもとけばよく分かる。

◇衆院選挙ごとの自民党獲得議席数シェア推移はこうなっている(小数第1位四捨五入)。

1970年代=(1972年・日中解散=55%)(76年・ロッキード選挙=49%=与野党伯仲)(79年・大平の増税解散=49%=自民大敗過半数割れ)

1980年代=(80年・衆参同日ハプニング解散=56%=大平急死も影響して自民大勝・安定化)(83年・田中判決解散=49%=自民惨敗)(86年・衆参同日・死んだふり解散=59%=中曾根自民圧勝)

1990年代=(90年・消費税解散=54%=小沢豪腕)93年・政治改革解散=44%96年・小選挙区解散=48%

2000年代00年・神の国解散=49%03年・マニフェスト解散=49%05年・郵政解散=62%)。◇【註】解散名は毎日新聞夕刊(09.08.18)による。

◇ちなみに1958年から69年までの5回の衆院選における自民党議席シェアは、最低でも57%、最高では63%となり、過半数を割ることはなかった(以上、『戦後史年表 1945~2005』小学館による)。

◇99年には意外なる剛腕の小渕恵三が公明党との連立政権(=実際は自自公)を樹立して一時的に危機を乗り切り絶頂期を迎えるが、それも自自連立解消でガタガタに。◇小渕の急逝で<5人組による密室の話し合い>のなかから、ご存じ森喜朗首相が誕生した。

◇その選考過程(+)神の国発言(+)えひめ丸事故へのトンデモ対応などで世間の批判はピークに達する。

◇こうした間隙をついて突如あらわれたのが、世紀の名優コイズミであった。◇80年代から日本に浸透し始めた<自由主義>がここにおいて全面開花。◇御用学者・竹中平蔵と公明党を巧みに操りつつ、コウゾウカイカクの美名のもと、日本社会を根底からひっくり返していった。

◇厳然たる1票の格差がありながらも、論外の郵政選挙を除き自民党が93年以降一度も50%を超えられない背景には、あの<利益誘導型>に国民がついていっていない現実がある。

◇また96年からは自民党に有利な小選挙区制が始まったというのに、議席獲得40%台の低迷は変わらない。◇コイズミ絶頂の03年ですら49%にとどまるのだから。

◇それは得票率にも如実に示されている。◇05年の狂乱郵政選挙ですら、選挙区の議席数(自民:民主)が219:52と81%:19%なのに、得票数は57%:43%と14ポイントの差でしかなかった。

◇だからこそ、00年の10・11月には無党派の田中康夫福田昭夫がそれぞれ長野県知事・栃木県知事に当選するし、自民党内からすら業を煮やして<加藤の乱>などが起きかけるし・・・・・・・。◇もうとうに、自民党ばなれが水面下で進んでいたのである。

◇この<利益誘導型嫌悪>の国民意識を自民サイドより見事くみ上げたのが、コイズミ-竹中のマジシャン・ペアであった。◇自民党をぶっ壊す・日本的な不合理非効率では世界に勝てない・規制緩和と民営化が日本社会の救世主・コウゾウカイカク完遂のためにはいまの痛みに堪えようではないか・だから福祉関係も切っていく・・・・・・・。

◇思えば、田中康夫の<脱ダム宣言>市場原理主義によるコイズミコウゾウカイカクは、ベクトルこそ違え極端な二元論信奉という点では同根でありきわめてヤバイ!早晩日本社会を破壊する危険なイデオロギーとなる!という観点から02年8月に出版したのが、IFSA初の単著だったという次第。【註】

【註】阿部道生『変わりたい日本人 変わりたくない日本人-日本的閉塞社会論-』(はる書房・02.08)

◇コイズミに反対する、そして田中康夫を弾劾する、IFSAこそ異常ではないかというのが当時のすさまじき潮流で、まさにおまえはひねくれ者の典型!の扱いをうけたのが記憶に新しい。

◇ピーク時、日本人の80%前後がコイズミを支持したし、民主党の議員の半数以上もコイズミを応援するという、それこそ何かに取りつかれたような社会に日本はなっていた。

◇今度首相になる鳩山由紀夫などは、人のよさと政治的甘さを丸出しにし、孤軍奮闘に見えるコイズミを励ましたり支えたりもしていた。何と、テレビを前にした国会の質疑においてさえ。◇このコイズミが、その後の日本社会に何をもたらしたかは、もう付け加えるまでもあるまい。

◇ここで指摘したいのは、以下のような皮肉な現実のほうだ。

◇日本人はバブル崩壊以降、旧来型の利益誘導政治には明確なる嫌悪感を示し始めていたし(=変わりたい日本人)、ただ自分に降りかかるようなリスクだけはとりたくない(=だからこその「変わりたくない日本人」)。◇そのため、先日実現したような脱自民=政権交代にはびびりまくる。

◇そこへ彗星のごとくあらわれた新自由主義のコイズミほど、上記のごときアンビバレントなニーズを満たしてくれる格好の対象はいなかった。◇まさにドンピシャじゃないか。国民が飛びつくのもある意味で当然だった。

◇社会の閉塞感が、国民をコイズミの<理念>へと向かわせた。◇<理念>のうらに、エグイ米国利権や規制緩和派のタナボタ利権がぶら下がっているとも知らずに。◇ましてや、日本社会がガタガタに分断されるなど想像だにせず。

◇国民は戦後の国政史上はじめて、札びらではなく、自民党が標ぼうする<理念>に飛びついた。◇そして自民党はといえば、01年の時点でとうに敗退しているはずが、コイズミのおかげで5年以上も持ちこたえてしまうこととなる。

◇田中眞紀子が、憎き東大出の超エリート外務官僚をこてんぱんにやっつけるのを見ては溜飲(りゅういん)が下がる。これもまた、<理念>からくるカタルシスの一環だった。

◇しかし<理念>自体がペテンそのもの。揚げ句の果てには<郵政民営化>からコウゾウカイカクが開けるなんて大ペテン<理念>にさえ熱狂し、その数年後、さすが自己嫌悪へ陥ることとなる。

◇こうした大失敗を経ながらたどり着いたのが今回の衆院選だ。◇<理念>なるものはどろどろの現実と切り結んではじめて立ち上がるという点を生理的に習得し始めた国民の最初の投票行動。

◇そこを自民・公明はまったく理解できなかった。◇コイズミの失敗は、利益誘導型を排除したこと、だからネジを逆に回すべき。◇定額給付金などはまさにその象徴でしかない。

◇しかし国民のほうはといえば、麻生や細田や石原などの自民党よりもう少し先を行っていた。◇利益誘導型などはとうに10年前から卒業している国民が学習したのは、コイズミ的な<理念>のうさんくささや、田中康夫的市民主義がもつ<絶対善>的なファナティック・イデオロギー。それへの(?)だったからだ。

◇自民党の敗北は、この時点で決まったといっていい。◇そして今回はじめて、<自身に降りかかる変化が怖くて仕方のない国民>も、少しのリスクを負担した。◇<自民党内政権交代>とは別の道を選んだのだから。

◇ここにくるまでには10年以上の時間とコイズミカイカクによる高価な代償を必要とした。◇<理念>と<現実>という複眼的視点の入り口にはじめて立った国民と向き合う民主党。そのしんどさが半端じゃないことだけは間違いがない。◇国民からすれば、選挙による政権のどんでん返しリスクはもはや体験済みなんだし。

◇これら一連の緊張感ある全国民的バトルを経てはじめて、成熟した社会が顔をのぞかせるものと思われる。(敬称略)

★★[IFSA・阿部社会学ラボ]★★阿部道生★

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